ドバイの大手不動産会社EMAAR(エマール)を解説!過去の開発実績や今後の開発予定物件を紹介します

目次

EMAARとは?ドバイ最大デベロッパーの企業概要

ドバイ最大手デベロッパーEMAAR(エマール)は1997年にムハンマド・アルアバー氏が設立し、2000年にドバイ金融市場へ上場した公共ジョイントストックカンパニーです。

旗艦プロジェクトのブルジュ・ハリファ、ドバイ・モール、ドバイ・ファウンテンは同社の技術力と資金力を世界に示した代表例になります。現在は住宅・オフィス・商業施設の開発販売に加え、ホテル運営、小売、レジャー、オンライン不動産取引プラットフォームまで事業を多角化しています。

引き渡し済みユニットは累計10万戸超、建設中ユニットは3万戸以上、社員数は約1万人です。ランドバンクは約3.77億平方フィートに達し、潤沢な用地を背景に毎年複数のメガプロジェクトを立ち上げています。

ドバイ政府系ファンドが主要株主で資本基盤も強固なため、海外投資家からは「最も信用度の高い湾岸デベロッパー」と評価され、市場サイクルの荒波を乗り越えつつ都市進化をけん引してきました。今後も革新を続けます。

UAEへの対内直接投資(2023年)業種別シェア円グラフ 不動産24%

企業規模と財務ハイライト

EMAARの財務規模は湾岸地域でも突出しています。2024年通期の連結売上高は355億AED(約1兆3,845億円)で前年比33%増、EBITDAは193億AED(約7,527億円)、純利益は189億AED(約7,371億円)と過去最高を更新しました。

2024年度 主要財務指標 (1 AED ≒ 40 円)
指標 AED 円換算
Revenue 355 bn 14.2 兆円
EBITDA 193 bn 7.7 兆円
Net Profit 189 bn 7.6 兆円
総資産 (Total Assets) 1,023 bn 40.9 兆円
自己資本比率 (Equity Ratio) 37 %

出典:EMAAR Annual Report 2024/円換算は便宜的に 1 AED=40 円 で概算

三つの主要事業セグメント(不動産開発、モール&リテール、ホスピタリティ)の全てが二桁成長を達成し、利益率は54%と高水準です。総資産は1,023億AED(約3兆9,897億円)、自己資本比率は37%台、有利子負債はEBITDAの1.2倍と保守的で、格付けはBBB‐とBaa3でいずれも投資適格になります。

加えて契約済み未計上売上が1,100億AED(約4兆2,900億円)超あるため、今後数年の収益可視性も高いです。2024年には1.41億平方フィートの一等地を追加取得し、ランドバンクは3.77億平方フィートへ拡大しました。

時価総額は394億AED(約1兆5,366億円)でUAE上場企業上位に位置し、潤沢なキャッシュフローを背景に積極的な配当と自社株買いを両立できる体質を確立しています。財務健全性は群を抜きます。

株価推移と配当方針

EMAAR株(ティッカー: EMAAR)は2000年上場以降、ドバイ不動産市況と連動しながらも長期的には右肩上がりを維持してきました。2008年の世界金融危機で急落しましたが、2014年には回復しました。

コロナ後の需要急増を背景に2023年から再び上昇し、2024年末株価は前年比約70%高の13.7AED(約534円)へ到達しました。

EMAAR株価と1株配当の推移 (2018-2024) 複合グラフ

時価総額は約450億AED(約1兆7,550億円)となり、流動性も高いです。配当方針は「安定+成長投資の両立」で、2024年度は史上最高となる1株当たり1.0AED(約39円)を現金配当し、利回りは約7%に達しました。

特別配当も実施しつつ、余剰キャッシュを新規用地取得やJV出資に再投資して企業価値を拡大しています。株式買戻し枠も3年間で50億AED(約1,950億円)を確保しており、需給面の下支え要因になっています。長期投資家にとっては配当と値上がり益の両取りが期待できる魅力的なエントリー水準です。

主要株主とガバナンス

EMAARの筆頭株主はドバイ政府系ソブリンファンドの投資公社(ICD)で、政府関連持分が過半を占める点が同社の安定性を支えます。残り約20%は国内外の機関投資家と個人が保有し、市場で十分な流動性が確保されています。

取締役会は独立社外取締役比率3分の1以上を維持し、監査委員会や報酬委員会を設置しています。CEOアミット・ジャイン氏を中心に、財務・建設・ESG専門家がバランスよく布陣しています。

リスク管理部門は四半期ごとにプロジェクト進捗と資金繰りをストレステストし、コンプライアンス部門が国際基準IFRSとSCAガイドラインに基づき財務開示を行います。

多様性の面では女性役員も複数登用し、サステナビリティ委員会が2050年カーボンニュートラル目標に沿った戦略を監督します。株主総会は年1回オンライン配信を併用し、個人株主の議決参加率向上にも取り組んでいます。政府支援と国際的ガバナンスの融合が高い信用格付けを下支えしています。

EMAARの開発実績:Downtown Dubaiほか主要プロジェクト

📍 ドバイ市内におけるEMAAR主要コミュニティ分布
Dubai Marina 🏖️ Emaar Beachfront 🏙️ Downtown Dubai 🌊 Dubai Creek Harbour 🏡 Arabian Ranches

※イメージ図(距離・縮尺は概念的)。海域を淡青、陸域をグレーで表現し、各コミュニティの相対位置を示しています。

Downtown Dubaiの実績と評価

Downtown DubaiはEMAARが2000年代に開発したフラッグシップ地区で、約2平方キロメートルの敷地にブルジュ・ハリファ、ドバイ・モール、オペラハウス、ラグジュアリーホテル群を配置した複合都市です。

完成後に観光客数と小売売上が急増し、2024年のモール来訪者は1億1,100万人を記録しました。住宅価格は1平方フィートあたり平均3,870AED(約15万1,930円)でドバイ最高水準、賃料利回りも4〜6%と堅調です。

公共交通、歩行者デッキ、噴水ショーなど都市機能とエンタメを融合し、世界中の投資家から「安全なコア資産」として高評価を獲得しています。供給余地が極めて限られるため、完成後も資産価値が維持されやすく、ドバイの都市ブランド向上に大きく寄与した象徴的成功例です。

景観規制と一体管理により街区の美観が保たれ、居住者満足度調査では常に上位にランクインしています。近年はAI制御のスマートライティングやEV充電網を完備し、持続可能性指標でも高スコアを達成しました。

Dubai Marinaの実績と評価

Dubai Marinaは全長3kmの人造運河を中心にそびえる高層タワー群で、EMAARがマスターデベロッパーとしてインフラを整備し200棟超の超高層住宅と商業施設が立ち並ぶ世界最大規模のマリーナ都市を生み出しました。

海と運河の眺望、メトロ直結の利便性、レストランや遊歩道の豊富さが単身・若年層の支持を集め、常時高い賃貸需要を維持します。平均利回りは5〜8%と高く、2020〜2024年の価格上昇率は累計20%以上です。

ヨットハーバー、クルーズ桟橋、マリーナモールの整備で観光名所としても成長し、夜景は「ドバイ版香港」と称されます。供給済み土地がほぼ完売しているため将来の希少性が評価され、投資家の保有期間が長期化している点も特徴です。

EMAAR初期タワー群「EMAAR6」は完工から15年以上を経ても管理品質が高く、リセール市場で常に値付け上位を維持します。運河沿いに導入したスマートマリーナ管理システムにより船舶管理効率が向上し、環境配慮型のブルーフラッグ認証も取得するなど、資産価値と持続可能性を両立した成功モデルになりました。

Arabian Ranchesの実績と評価

Arabian Ranchesは2004年に第1期が始動したEMAAR初の大規模郊外ヴィラコミュニティで、緑豊かな650ヘクタールの敷地にゴルフ場、乗馬クラブ、国際学校、商業センターを配し、ファミリー層に高品質な低層住宅を提供しました。

ゲーテッド方式で防犯性が高く、庭付き一戸建て需要の高まりとともに価格は長期上昇しています。200万AED(約7,800万円)で取得できた初期ヴィラは2024年に400万AED(約1億5,600万円)前後で取引され、賃料利回りは5%前後を維持します。

成功を受けて第2期、第3期も展開され総計2万戸以上へ拡大し、街区間を結ぶバス網とサイクリングロード、砂漠公園を整備して「都市の中の静寂」という独自ブランドを確立しました。パンデミック後は在宅勤務需要で大型ヴィラの人気が再燃し、空室率は一桁台にとどまっています。

さらにスマートホーム設備へのアップグレードプログラムが提供され、旧区画でも最新IoT機能を導入可能な点がリセール価値を押し上げています。

実績データで見るEMAAR物件の資産価値と利回り

2005-2024年の価格推移

ドバイ不動産はこの20年で3度の大きなサイクルを経験しました。2002〜2008年は外国人所有権解禁ブームで価格が約4倍に跳ね上がり、2009〜2011年は金融危機で半値以下へ急落しました。

ドバイ住宅価格指数(2005=100)の推移 折れ線グラフ

12〜14年の反発でほぼ回復しましたが、15〜20年は供給過多と原油安で年5〜10%下落が続きました。21年以降はパンデミック後の富裕層流入と政策支援で上昇に転じ、23〜24年は年20%前後の力強い上昇率を記録しました。

EMAARの人気エリアは指数を上回るパフォーマンスを示し、24年初の不動産価格指数は20年比で33%高です。特にダウンタウンとビーチフロント系は供給制約が強く、平均単価がピークを更新しました。

対照的に郊外アパートはまだ割安感が残るなど、セグメント間の二極化が進んでいる点も投資判断の鍵となります。これらの推移を踏まえると、購入のベストタイミングは市況調整期終盤であり、その後2〜3年の上昇局面で含み益が拡大する傾向が読み取れます。

賃料利回りとキャピタルゲイン分析

EMAAR物件のグロス賃料利回りはアパートで5〜8%、ヴィラで4〜6%が目安となり、固定資産税や個人所得税が無いUAEではこれがほぼネット利回りになります。キャピタルゲインは市場サイクルに左右されますが、底値購入から高値売却まで平均5〜7年で倍近くに達する例が多いです。

たとえばビーチフロントのオフプラン物件を2019年に150万AED(約5,850万円)で購入した投資家は、完成直後の2023年に225万AED(約8,775万円)で転売し、年率約12%の内部収益率を確保しました。

投資家にとって重要な指標のローンカバレッジ比率は平均1.3倍程度と健全で、金利上昇局面でもキャッシュフロー黒字が保ちやすいです。さらに売却益非課税のため出口戦略が立てやすく、複利運用でポートフォリオを拡大することが可能です。

事例:長期保有投資家のリターン

2006年にArabian Ranchesのヴィラを200万AED(約7,800万円)で購入した投資家は、08年の金融危機で評価額が150万AED(約5,850万円)まで下落したものの年間8万AED(約312万円)前後の賃料を維持しました。

14年に価格が回復し200万AED(約7,800万円)を超え、20年の調整局面でも賃料収入で黒字を確保しました。24年には販売価格が400万AED(約1億5,600万円)に達し、18年間の累計賃料約150万AED(約5,850万円)と合わせて総リターンは350万AED(約1億3,650万円)、投下資本比175%になりました。

年率換算すると資本成長約5.8%、賃料利回り平均4.5%で複利10%以上を実現しました。EMAARブランドによる流動性の高さとコミュニティ管理の質がリターンを支えました。

さらにダウンタウンのコンドミニアムでは値上がり幅が大きい一方で変動も大きく、リスク許容度に応じたエリア選択の重要性が際立ちます。

EMAARの開発予定物件2025-2030:Dubai Creek Harbour等

Dubai Creek Harbourの最新計画

Dubai Creek Harbourはドバイクリーク沿いに開発中の560万㎡超のウォーターフロントシティで、完成時には人口17万5千人、住宅4万8千戸を擁する未来型都市となる予定です。

EMAARは22年にプロジェクト持分を完全取得して開発ペースを加速し、24年までにHarbour ViewsやCreek Residencesなど初期タワー群を引き渡しました。

注目は高さ未定ながらブルジュ・ハリファ級の超高層「Creek Tower」で、25年に基礎工事が再開され28〜30年の竣工が目指されています。街区は中央公園、巨大モール「Dubai Square」、3つのマリーナを備え、スマートインフラとカーボンニュートラル設計を採用します。

現時点の平均単価はダウンタウンより約25%安く、完成による評価ギャップ解消で大幅なキャピタルゲインが期待できます。空港やオールドドバイにも近く、居住・観光の両面で需要が見込まれる成長フロンティアです。

The Oasisプロジェクト概要

The Oasisは2023年に発表された総面積940ヘクタール、投資額200億ドル(約2兆1,600億円)規模のウルトララグジュアリー住宅開発で、砂漠の中に人工湖と運河を張り巡らせて「緑のオアシス」を創出します。

全体で7000戸超のヴィラとマンションを予定し、区画面積は平均1,000㎡とドバイ最大級です。敷地の25%を公園、水辺、レクリエーション施設に充て、4つのチャンピオンシップゴルフコースやウェルネスセンター、ハイエンド商業ストリートを配置します。

立地はDubai HillsとArabian Ranchesの中間でダウンタウンまで車20分、高速道路と新空港アクセスも良好です。第1期は24年に完売し、発売価格は1戸950万AED(約3億7,050万円)からです。

供給物件が少ない超富裕層セグメントを狙うため需給タイトで、完成後のプレミアムが大きいと予測されます。EMAARは水資源循環システムと再生可能エネルギーを導入し、ESG投資家の需要も取り込む計画です。

Emaar Beachfrontの進捗状況

Emaar Beachfrontはドバイハーバー人工島で進む27棟合計1万戸規模の高級ビーチレジデンス群で、全物件がプライベートビーチに直結する希少性から発売即完売が続きます。

22〜24年にSunrise BayやMarina Vistaなど初期タワーが竣工し、25〜26年に残り棟が順次完成予定です。平均売価は2018年ローンチ比で約45%上昇し、引き渡し直後から賃料利回り5〜6%を確保しています。

隣接するクルーズターミナルや商業ゾーン、世界最大級観覧車計画が進むことで、観光客と長期居住者を同時に呼び込めます。医療、教育、モビリティサービスを完備したスマートアイランド構想により、完成後は「ドバイ版マイアミビーチ」として国際的なブランドを確立する見通しです。

限定供給ゆえ二次市場での値付けは強含み、長期投資妙味が高いです。将来的にはパームジュメイラとマリーナを結ぶ水上タクシー路線も計画され、交通面の競争力がさらに高まります。

その他注目オフプラン物件

Arabian Ranches IIIは手頃なタウンハウスを中心にファミリー向け需要を取り込み、25年以降に段階的完成予定です。The Valleyはアルアイン高速沿いに人工ビーチと巨大公園を持つ自給自足型コミュニティで、3ベッドタウンハウスが150万AED(約5,850万円)台からと実需層に人気です。

Emaar Southはエクスポシティと新国際空港に近く、ゴルフ場隣接の低層住宅が航空関係者や物流企業勤務者に好まれます。Rashid Yachts & Marinaは旧港湾を高級マリーナへ刷新し、ヨット65隻を収容する水際のレジデンスを提供します。

いずれも価格帯と立地が補完的で、投資家は予算とリスク許容度に合わせたポートフォリオ構築が可能です。分割払いプランや完成後支払いプランなど柔軟なファイナンスも用意され、市況に左右されにくいドル建てインカム源として注目されます。

各プロジェクトともRERAエスクロー保護下で資金が管理されるため、建設リスクが相対的に低い点も安心材料となります。

まとめ:EMAAR物件投資のメリットと次のステップ

EMAAR物件投資のメリット

EMAAR物件はブランド力、施工品質、選り抜いた立地の三点で他社を凌駕し、賃料利回り5〜8%と売却益非課税を組み合わせた高い総合利回りを提供します。政府系資本と投資適格格付けが開発リスクと信用リスクを下げ、市況調整期でも賃貸需要が底堅く長期保有の安心感が高いです。

維持費が比較的低水準である点もネット利回りを押し上げる要因です。加えてゴールデンビザによる長期滞在権、非居住者向けモーゲージ、米ドルペッグ通貨AEDの安定性、固定資産税ゼロといった制度優遇が海外投資家の参入障壁を下げ、インカムとキャピタルの両面でリスク分散と資産保全を後押しします。

さらに完成済みコミュニティは共用部の長期修繕計画が透明で、キャッシュコールの突発性が低いためCF予測が立てやすいです。ESG認証取得物件の割合も年々増え、国際機関投資家による評価が高まっている点もプラス材料になります。

結果としてEMAARは「キャッシュフロー+値上がり益+制度メリット」の三層構造で複利を生む稀有なアセットとなり、中長期の資産形成に最適です。

次に取るべきアクション

投資を検討するなら、まず信頼できる日系またはRERA登録済み現地エージェントへ相談し、最新在庫、支払いプラン、手数料構造を把握することが第一歩です。その上で短期渡航を計画し、候補コミュニティの昼夜・平日休日を視察して賃貸需要や生活動線を体感しましょう。

閲覧後14日間のクーリングオフ期間を活用し、資金計画を再確認して購入意思を固めると失敗が少ないです。予約契約時は手付金10〜20%が一般的で、残金は建築進捗に連動して分割払いできます。

引き渡し後はプロパティマネージャーを選定し、稼働率と維持コストを最適化しつつ、市況好転時には部分売却やリファイナンスでレバレッジを高め、ポートフォリオを段階的に拡大する策略が推奨されます。

また非居住者モーゲージでは金利、保険料、早期返済手数料の比較が不可欠で、複数行に仮承認を申し込むと条件交渉がしやすいです。購入後は公共料金、コミュニティチャージ、家具代を含めた総投資額を毎年レビューし、想定利回りとのギャップを定点観測することで投資効率を維持できます。

執筆者

オクマン編集部のアバター オクマン編集部 中東担当チーム

オクマン編集部 中東担当チームです。ドバイ、アブダビ、エジプトの不動産市場の専門家が集結し、有益な情報をお届けします。

信頼できる現地物件・現地デベロッパーの紹介なども行ってますので、中東への不動産投資を検討の際は、オクマンに気軽にご連絡ください。心よりお待ちしております。お客様窓口 https://okuman-go.jp/contact/

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