【完全版】ハワイの銀行口座開設のメリット・デメリットを徹底解説|日本人が押さえる手順と注意点

目次

なぜハワイの銀行口座開設が注目されるのか?

ハワイの銀行口座が近年注目を集める背景には、国際的な資産分散ニーズとビジネス上の実利があります。特に日本人にとってハワイは地理的・心理的に身近な米国領域であり、比較的簡単に銀行口座を開設できる地域として知られています。米国本土では口座開設に米国のSSN(Social Security Number、社会保障番号)が必要で非居住者にはハードルが高い一方で、ハワイの銀行は観光客や日本在住者でも口座開設可能な柔軟な対応を取っています。

この特殊な環境により、海外口座開設に興味を持つ日本人がハワイに注目しているのです。

▼日本企業のハワイ・アメリカ進出状況(簡易表)

州 / 地域在留邦人数日系企業数
ハワイ州21,000 人300 社
カリフォルニア州180,000 人3,500 社
ニューヨーク州120,000 人2,000 社
テキサス州40,000 人900 社
イリノイ州35,000 人800 社

さらに、近年の経済状況もハワイの銀行口座の人気を後押ししています。米ドル高・円安の進行や米国の高金利政策により、円資産だけでなくドル資産を持つ重要性が再認識されています。「円だけではリスクが高い」という考えから、一定割合を外貨(ドル)で保有しようとする投資家が増えています。

またハワイは観光地・投資先として日本人に馴染み深く、不動産購入や現地ビジネス進出も活発です。ハワイ不動産に投資する際、現地の銀行口座は家賃収入の受け取りや経費支払いなどで大きな役割を果たします。不動産取引の決済もスムーズになり、為替レートのタイミングを計って資金を移動させることでコスト削減も期待できます。

このようにビジネス全般での利便性と資産運用上の利点から、ハワイでの銀行口座開設が注目されているのです。

また、ハワイの銀行は日系企業や日本人顧客へのサービスにも積極的です。例えば主要銀行の一つであるセントラル・パシフィック・バンク(CPB)は、2022年に非居住者向けプラン(NRAプラン)を開始し、 日本在住でもパスポートとマイナンバー(日本の個人番号)だけで口座開設できる仕組みを提供しています。

さらに各銀行では日本語対応スタッフの配置や日本語ウェブサイトの整備も進んでおり、 英語が苦手な方でも安心して利用できる環境が整っています。こうしたサービス拡充により、海外口座初心者でもハワイなら挑戦しやすい状況になっている点も注目される理由でしょう。

ハワイの銀行口座開設のメリット

ハワイで銀行口座を開設する具体的なメリットを整理します。

ドル資産の保有によるリスク分散

ハワイの銀行口座を持つ最大のメリットは米ドル建て資産を直接保有できることです。円だけで資産を持つリスクに備え、ドルで預金すれば為替変動による資産目減りを防ぐヘッジになります。昨今の円安局面でもドル資産を持っていれば購買力を維持でき、資産の一部を外貨で持つことは長期的な分散投資となります。

高金利での資産運用

日本と異なる金利環境も大きな魅力です。米国の金利は日本より高水準で推移することが多く、ハワイの銀行でも預金金利が相対的に高めに設定されています。実際に2023年時点では定期預金で年利4%以上を提供する口座も存在し、安全に資産を増やす選択肢となっています。 日本の超低金利下では考えられない利息収入を得られる点は、資金運用先として大きなメリットです。

▼日本とアメリカの金利比較(2021年~2023年)のイメージグラフ

日本とアメリカの金利比較(2021年〜2023年)

FDICによる預金保護と資産保全

ハワイを含む米国の銀行はFDIC(連邦預金保険公社)に加盟していれば、万一銀行が倒産しても預金者一人あたり25万ドルまで元本が保護されます。日本のペイオフ制度では元本1,000万円まで(外貨は補償対象外)ですが、米国ではドル預金について25万ドルまで補償されるため、 海外にいながら米国の預金保護を享受できるのです。

特に日本で外貨預金をしても日本の預金保険の対象外ですが、ハワイの銀行口座なら外貨資産を保全しやすいメリットがあります。

為替手数料の節約と利便性

ハワイの銀行口座を持つことで、現地通貨での出入金が容易になり為替両替の手間や手数料を削減できます。例えばハワイ旅行時に日本で円をドルに両替する必要がなくなり、現地ATMから直接ドルを引き出せます。

また発行されたデビットカードでドル決済すれば、日本のクレジットカード利用時にかかる海外事務手数料が不要となり、 為替レートの不透明さも解消されます。為替レートが有利なときにあらかじめ多めにドルに換えて口座に入れておけば、 将来円安になっても有利に買い物や支払いに充当できるわけです。

現地ビジネス・不動産取引の円滑化

ハワイで不動産投資やビジネスを行う場合、現地銀行口座の存在が取引をスムーズにします。不動産オーナーであれば家賃収入の受取口座として活用でき、管理費や固定資産税の支払いを口座振替で処理できます。

会社経営や物件管理の経費支払いも現地口座から直接行えるため、国際送金の手間や遅延を回避できます。 将来的にハワイへ移住・長期滞在する可能性がある場合も、生活インフラとして銀行口座を先に作っておくと安心です。

共同名義口座・受取人指定で安心

アメリカの銀行には日本にない共同名義口座や受取人指定の仕組みがあります。ハワイの銀行口座を配偶者や子供、孫と共同名義で開設すれば、名義人の一方に万が一のことがあってももう一方が口座を利用できます。

またあらかじめPayable on Death(POD)の受取人を指定しておけば、口座名義人の死亡時にスムーズに資金を受け取ることも可能です。 日本では口座名義人が亡くなると凍結され相続手続きが完了するまで引き出せなくなりますが、 米国の共同名義・指定制度を活用すれば資産凍結リスクへの備えにもなります。 これは資産承継の観点でもメリットと言えるでしょう。

なお、2025年の海外不動産市場は、世界的な金利サイクルやインフレ状況、地政学的リスクの高まりなどによって、 不動産価値が再評価される局面にあります。テクノロジーが急速に進化しリモートワークが定着する中、ハワイ不動産の魅力は引き続き高い水準で推移すると考えられ、 現地銀行口座を活用することは迅速な投資判断や資金移動において大きなメリットとなるでしょう。

また、プロップテック(不動産テクノロジー)の進展も見逃せません。デジタル技術を活用したオンラインバンキングの進化により、遠隔地からの口座管理や投資手続きが格段に容易になっています。ハワイの銀行でもオンライン完結型の不動産取引サービスを拡充しており、 投資家が現地まで出向かなくても物件選定から資金決済までスピーディーに行える事例が増えています。

さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)要素を考慮した投資の重要性が高まっていることも特徴的です。
ハワイでもサステナブルな不動産開発やエコフレンドリーな住宅への需要が増えており、 こうした物件へ投資する際に銀行口座を活用することで、資金管理の効率化だけでなく環境配慮型の融資プログラムなども活用しやすくなっています。

ハワイの銀行口座開設のデメリット

一方で、ハワイの銀行口座を持つことには注意すべきデメリットやコストも存在します。メリットだけでなく「デメリット」面も理解し、総合的に判断しましょう。

口座管理コスト(維持手数料)の発生

日本の銀行と異なり、米国の銀行口座には毎月の口座維持手数料が設定されている場合が多いです。ハワイの主要銀行でも、一定の条件(最低残高や毎月の直接入金など)を満たさないと月額5ドル~20ドル程度の手数料が自動的に差し引かれる口座が一般的です。

例えばバンク・オブ・ハワイでは、残高が一定額未満の場合にグレード別に月々8ドル〜30ドル程度の維持費が発生する口座プランがあります(2024年改定後)。このため普段使わずに少額を入れたまま放置していると、いつの間にか残高が減ってしまうという事態も起こり得ます。維持費無料の条件(例: 平均残高を1万ドル以上保つ、オンライン明細の利用登録をする等)を確認し、 それを満たすよう管理することが必要です。

各種手数料が日本より高い

現地ATM利用や国際送金などの個別手数料も割高である点に留意しましょう。ハワイの銀行のキャッシュカードを日本のATMで使用して現金を引き出す場合、 利用毎に5ドル程度のATM利用料+為替手数料3%といったコストがかかるケースがあります。海外ショッピングでデビットカード決済をする際も、為替レートに上乗せして数%の手数料が発生する銀行が一般的です (CPBなど為替手数料なしの例外もありますが、その場合でも非現地ATM利用料は必要)。

また日本からハワイ口座へ送金する際の海外送金手数料も、 送金元銀行と受取側双方で合計数千円〜1万円程度かかることがあります。これら手数料は日本国内の銀行サービスに比べて高めなので、 ハワイ口座は日常的な資金移動より必要最低限の用途に留めるのが賢明です。

オンラインバンキング必須によるITスキル要請

口座開設後の残高確認や送金などの各種手続きは、基本的にオンラインバンキングで自己管理する必要があります。日本のように通帳記入や窓口対応に頼ることは難しく、英語のウェブサイトやアプリで操作を行う場面も出てきます。

最近は各銀行が日本語サポートを充実させていますが、取引画面は英語のみの場合もあり (CPBでは将来日本語対応予定)、PCやスマホでの操作に苦手意識がある方にはハードルになるでしょう。「パスワード管理」「セキュリティ質問への回答」「二要素認証」など、米国銀行ならではのオンラインセキュリティ手順にも慣れる必要があります。

したがってITリテラシーの向上やサポートセンターの活用など、利用者側の工夫も求められます。

為替リスクの存在

米ドルで資産を持つことはメリットである反面、為替変動による評価額変動リスクも常につきまといます。円高方向に大きく触れた場合、ドル建てで預けた資産を円換算すると目減りする可能性があります。特に短期で見れば為替相場は読みにくいため、円転・ドル転のタイミング次第では損失が出る点に注意が必要です。ハワイ口座は中長期的な資産分散策と割り切り、短期の為替差益を狙いすぎないことも大切です。

税務上の申告・報告義務

税務リスクとして覚えておきたいのが、日本での申告義務です。ハワイの銀行口座で発生した利息収入は、日本の税法上「国外所得」として申告対象になります。米国では先述のようにW-8BEN(非居住者証明書)を提出すれば預金利息は非課税になりますが、 その場合でも日本では課税対象となり20.315%(復興特別所得税含む)の申告分離課税が課されます。利息が少額でも本来は確定申告が必要となるケースがあるため注意しましょう。

また、その年の12月31日時点で海外金融口座を含む国外資産を合計5,000万円超保有している場合、 「国外財産調書」を税務署に提出する義務が生じます。これを怠ると後日発覚時に加算税など厳しいペナルティの対象となり得ます。 近年は国税当局も海外資産の把握を強化しており、各国間の金融口座情報交換も進んでいます。

ハワイの銀行も口座開設時にマイナンバー提出を求めるなど、日本人顧客の情報を管理しています。 税務コンプライアンスを怠ると将来的に問題になる可能性がありますので、 利息の申告や財産報告の義務を確実に履行することが重要です。

以上のように、ハワイの銀行口座には維持コストや手数料、運用上のリスクが存在します。

しかしこれらは事前に把握し対策を講じておけば多くはコントロール可能です。 例えば「まとまった残高を入れて維持費を免除させる」「日常利用は避け手数料負担を減らす」「税務相談を利用して適切に申告する」等の対応で、 デメリットを最小限に抑えることができます。

メリットとデメリットの両面を理解した上で、自身の投資目的に照らしてハワイ口座を開設・活用するか検討しましょう。

口座開設までの基本ステップと必要書類|初期手続きの流れを押さえる

ハワイで銀行口座を開設する際の基本的なステップと必要書類について、実務的な流れを解説します。
一連の手続きを把握しておけば、渡航時にスムーズに対応できるでしょう。

ハワイの銀行口座開設の流れ(フローチャート)

  • STEP 1: 銀行を選定
    日系向けサービスが充実している銀行(CPBやBank of Hawaiiなど)を比較検討。 JETROなどの公的情報も参照し、信頼できる銀行を選びましょう。
  • STEP 2: 来店予約を行う
    各銀行のウェブサイトを通じて日本語対応スタッフへのアポイントメントを取得。 ハワイ到着前に予約しておくとスムーズです。
  • STEP 3: 必要書類を準備
    有効なパスポート、マイナンバー(個人番号)、現住所の証明書類などを確認。 JETROの各種ガイドも参照し、不備がないよう事前チェックが重要です。
  • STEP 4: 実際の口座開設
    現地支店で担当者と対面し、書類を提出・開設申込書を記入。 この場で口座番号が発行され、仮デビットカードを受け取れる場合もあります。
  • STEP 5: オンラインバンキングの登録
    口座開設後、インターネットバンキングやモバイルアプリを設定。 米国のオンライン利用には追加セキュリティ(KYC/AML)確認があるため、案内に従って登録を完了します。
  • STEP 6: 運用開始
    高金利を生かした定期預金や、不動産投資関連の資金管理をスタート。 日常的に残高や手数料を確認し、長期間放置せずに口座を活用するのがポイントです。

銀行と日時の選定

まずは口座を開設したい銀行を決め、来店予約を行います。主要銀行で日本語対応を希望する場合、メールや電話で日本語スタッフにアポイントを取れるケースがあります。 特にセントラル・パシフィック・バンク(CPB)では日本語ウェブサイトから非居住者向け口座開設予約が可能です。他の銀行でもワイキキ支店など日本人客の多い店舗では予約なしの飛び込みでも対応してくれることが多いですが、 確実を期すなら事前予約がおすすめです。

来店と必要書類の提示

予約当日、指定の支店に行きます。持参すべき必要書類は以下の通りです(個人口座の場合):

  • 有効なパスポート(写真・署名入り身分証明)
  • 日本の住所が確認できる書類(運転免許証や住民票、公共料金請求書などを求められる場合あり)
  • マイナンバー(個人番号)が確認できる書類(銀行によっては通知カードや個人番号カードの提示を要求)
  • 初期預け入れ用の現金(米ドル現金またはトラベラーズチェック)

初回入金額は銀行・口座種別によりますが、目安として100ドル程度持参すれば問題ありません(一部口座は500ドル以上必要な場合あり)。店頭では担当行員と対面し、口座開設申込書に必要事項を記入します。氏名・住所・職業などの基本情報に加え、米国納税義務の有無(米国市民/居住者ではないこと)なども確認されます。

非居住者の場合はForm W-8BEN(米国非居住者であることの宣誓フォーム)の記入提出もここで行います。 これは先述のとおり利息の米国源泉税免除に重要な書類です。

口座開設と口座情報の受け取り

書類手続きが済むと、銀行側で審査・登録が行われ、その場で口座番号が発行されます。通常30分〜1時間程度の手続きで当日中に口座は開設完了します。開設後すぐに仮のデビットカードを発行してくれる銀行もあります。 例えばCPBでは即日でMastercardデビットカードが受け取れ、ハワイ滞在中からショッピング等に利用できます。

一方、正式なATMカード/デビットカードや小切手帳(チェックブック)は、 日本の住所宛に後日郵送される場合が多いです。郵送には通常2〜4週間ほどかかります。 カードが届いたら、記載の指示に従い電話または初回ATM利用でカードを有効化(アクティベート)します。例えば日本のセブン銀行ATMで残高照会を行うことでカードを有効化できるとの報告もあります。

初期設定とオンラインバンキング登録

口座開設後は、インターネットバンキングやモバイルアプリの登録を行いましょう。
オンラインバンキングへの登録には、先ほど受け取った口座番号や一時的なパスワード、登録したメールアドレスへの確認などのプロセスがあります。

米国の銀行ではオンライン利用の初期設定でSSN入力が求められる画面がありますが、 非居住者の場合は別の手続き(例えば専用フォームの郵送提出や電話問い合わせ)で対応可能です。First Hawaiian BankなどではSSN無しでも開設後にマニュアル手続きでオンラインバンキング登録ができる旨を案内しています。オンラインアクセスを有効にすれば、日本に居ながら残高確認や国内外送金指示ができるようになります。

初回入金と運用開始

晴れてハワイに自分の銀行口座が開設できたら、必要に応じて追加資金を入金します。ハワイ滞在中であれば現金やトラベラーズチェックを直接支店で入金できますし、 日本帰国後であれば海外送金サービスを利用して資金を移動します。

近年はWISE(旧TransferWise)などを使い、日本の銀行からハワイ口座へ比較的安価に送金することも可能です。入金が反映されたら、高金利の定期預金に預け替えたり、必要な支払いに利用したりといった運用を始めましょう。

以上が基本的な流れとなります。
なお法人名義の口座開設は個人口座より準備が複雑です。 ハワイで現地法人または外国会社登録をしている場合、

  • ハワイ州DCCA発行の企業登録証明(Certificate of Good Standing 等)
  • EIN(Employer Identification Number、連邦納税者番号)
  • 会社定款や議事録のコピー(銀行により要求)

などを事前に用意しなければなりません。法人の場合も基本手続きは同じですが、口座開設時に会社の経営実態や取引目的について追加質問されることがあります。 必要書類を整え、不備なく提出することでスムーズに法人口座も開設できるでしょう。

主要銀行・口座タイプを選ぶポイント|ビジネス用・個人口座・投資口座の違い

ハワイには複数の商業銀行があり、それぞれ特徴的なサービスや口座タイプを提供しています。ここでは主要銀行の概要と、目的別に適した口座タイプの選び方を解説します。
投資家・ビジネスパーソンの視点で「どの銀行でどの口座を開くべきか」を考えてみましょう。

▼主要銀行4社の主な特徴比較表

銀行名最低残高維持手数料金利の目安日本語サポート
Bank of Hawaii (BOH)$5,000$8〜$30/月約0.5%〜2.0%あり
First Hawaiian Bank (FHB)$5,000$5〜$25/月約0.5%〜1.5%あり
Central Pacific Bank (CPB)$10,000$10〜$20/月約1.0%〜2.5%あり
American Savings Bank (ASB)$2,500$5〜$15/月約0.5%〜1.0%限定的

ハワイの主要銀行と日本人向けサービス

バンク・オブ・ハワイ(Bank of Hawaii)

ハワイ州最大手の銀行で、地域に根ざした信頼感があります。東京に駐在員事務所を持つ唯一のハワイの銀行でもあり、日本人顧客へのサポート体制が充実しています。三井住友信託銀行(東京)と提携し、日米間の送金手数料優遇サービスも提供しています。 口座プランとしてBankohanaシリーズ(バンコハナ)が有名で、残高に応じて三段階の特典や金利優遇があります。

非居住者でもワイキキ支店などで開設可能ですが、オンライン口座開設は米国内住所が無いと難しいため、来店での手続きが基本です。

ファースト・ハワイアン・バンク(First Hawaiian Bank)

1858年創業のハワイ最古の銀行で、BNPパリバグループに属します。ワイキキ支店には日本語スタッフが常駐し、投資・保険・信託など幅広い金融サービスをワンストップで提供しています。オンラインバンキングやモバイルアプリも整備されており、非居住者向けにも使いやすいです。

住宅ローンでは米国外在住者向け融資にも対応しており、不動産投資でローンを利用したい場合にも相談に乗ってくれるでしょう。 総じて富裕層向けサービスに強みがあります。

セントラル・パシフィック・バンク(Central Pacific Bank)

日系人コミュニティと結びつきが強い銀行で、近年は日本在住者向けサービスに注力しています。2022年開始のNRAプラン(非居住者口座プラン)では残高1万ドル以上の維持を条件に日本在住者でも口座開設を受け付けており、 パスポートとマイナンバーのみで比較的簡単に開設できます。

口座開設から利用まで日本語サポートが徹底しており、日本語直通のカスタマーサービスや日本語サイトを提供。 デビットカードも即日発行・Mastercard付きで、日本帰国後も利用可能と利便性が高いです。初めて海外口座を持つ人にはハードルが低く、おすすめの銀行です。

アメリカン・セイビングス・バンク(American Savings Bank)

ハワイではBOH、FHBに次ぐ規模の銀行。地元密着型で店舗網が広く、日系向け特別プランは多くありませんが非居住者の口座開設自体は可能です。コンドミニアム管理組合指定銀行になっているケースもあり、物件購入時に指定口座開設が必要な際などに利用することがあります。預金金利や手数料体系は標準的で、特筆すべき特徴は少ないものの、地元の信用組合的な存在です。

口座タイプの種類と選び方

チェッキング口座(当座預金口座)

日常的な出入金に使う決済用口座です。小切手(チェック)が利用できるほか、デビットカードによる即時決済、ATM引き出しなど全般に使います。利息は付かないか僅少ですが、月々の維持手数料が設定されているため、 銀行指定の条件(例: 毎日一定残高キープ、給与の直接振込設定など)を満たして手数料を免除するのが基本です。

投資家が不動産収入を受け取るならこのチェッキング口座を用い、そこから必要経費の支払いを行う形になります。個人口座として開設し、不動産やビジネス収入を受領するのに利用して問題ありませんが、 複数物件や事業規模が大きい場合は口座を分けて管理することも検討しましょう。

セービング口座(普通・貯蓄預金口座)

資金を貯蓄・運用するための口座です。利息が付与され、残高に応じて利率が変動することもあります。チェックやデビットカードでの直接決済には使えない(あるいは回数制限がある)のが一般的で、 チェッキング口座との間で資金を移し替えて運用します。

ハワイの銀行では、セービング口座も非居住者が開設可能ですが、 一定期間取引が無いと休眠扱いとなりやすいため注意が必要です(多くの銀行で24〜30ヶ月無取引なら休眠認定)。投資家の場合、まとまったドル資金を一時的に寝かせておく際にセービング口座や定期預金(CD)を活用すると良いでしょう。 金利はチェッキングより高めですが、その代わり引き出しの自由度は低い点を理解して使い分けます。

定期預金口座(Certificate of Deposit, CD)

満期まで引き出しを行わないことを前提に高金利を提供する口座です。預入期間は銀行により数ヶ月から数年まで選べ、期間が長いほど利率が上がる傾向です。ハワイの銀行でもCDは非居住者が利用できます。 例えばCPBのNRAプランではチェッキング・セービング・CD合計で1万ドル以上なら維持可能となっており、 CDで金利を稼ぎつつ残高条件も満たす、といった使い方ができます。

短期で使う予定のない資金はCDに入れて安全に増やすのも一策です。 ただし、中途解約すると違約金がかかる(利息の一部没収など)ため、緊急予備資金は避けて運用しましょう。

ビジネス口座

法人や事業主向けの口座で、ビジネス用資金の管理に適します。法人名義で契約し、小切手の発行に会社名が印字されるなどの利点があります。ビジネスチェッキング口座では従業員による不正検知サービスや口座分析レポートなど法人向け機能が付加されることもあります。

ハワイで会社(例: LLC)を設立し不動産を保有するケースでは、そのLLC名義でビジネス口座を開設し、 収入・経費を管理するのが望ましいです。ビジネス口座開設には前述のとおり会社書類が必要で手間はかかりますが、 個人資産と事業資金の明確な分離が図れ、会計処理や税務申告上もメリットがあります。

投資規模が大きくなったり将来的に売買・追加投資を考えるなら、 早めにビジネス口座を用意しておくと良いでしょう。

投資口座・証券口座

銀行によっては投資商品用の口座や証券仲介サービスを提供しています。例えばFHBやBOHでは、自社内に証券部門や提携証券会社があり、 顧客がミューチュアルファンドや株式を購入できるプラットフォームがあります。

こうした口座は純粋な銀行預金ではなく、SIPC(証券投資保護公社)の管轄になる投資商品口座です。 現地で不動産以外にも金融商品に投資したい場合は、銀行のウェルスマネジメント部門に相談するとよいでしょう。ただし日本居住者が米国証券口座を開設・維持するには追加の制約(米国税務番号取得や証券会社の方針)があるケースもあります。

まずは銀行の標準預金口座でドル資金を管理し、必要に応じてその資金を証券会社に送金して投資する、 という段階的な利用を考えるのが現実的です。

さらに、2025年の新たな投資手法として注目されているのが海外不動産クラウドファンディングです。比較的少額から投資が可能で分散投資をしやすいという利点があり、 ハワイの銀行口座を保有していれば資金移動や収益の受け取りがスムーズになります。

具体的には、ハワイの銀行口座から米国内の不動産クラウドファンディングプラットフォームへの送金が国内送金扱いとなるため、 手数料や処理時間の面でメリットが大きいです。また定期的な分配金の受け取りも自動化しやすく、投資ポートフォリオの管理効率を高めることができます。

以上をまとめると、個人投資家としてはまずチェッキング口座+セービング口座の組み合わせで日常管理と資産運用を行い、 余裕資金は定期預金で利息を稼ぐのが基本形です。事業を伴う場合はビジネス口座で財務を整理し、必要に応じて個人口座とも連携させます。

どの銀行でも非居住者が利用できる口座種は限られますが、紹介した主要行であれば一般的な口座は問題なく開設できます。各銀行の最低残高要件やサービス内容を比較し、自身の用途に合った銀行・口座タイプを選択しましょう。

執筆者

オクマン編集部のアバター オクマン編集部 欧米担当チーム

オクマン編集部 欧米担当チームです。イギリス(ロンドン)、アメリカ(ハワイ)を中心に、欧米の不動産市場の専門家が集結し、有益な情報をお届けします。

信頼できる現地物件・現地デベロッパーの紹介なども行ってますので、欧米への不動産投資を検討の際は、オクマンに気軽にご連絡ください。心よりお待ちしております。お客様窓口 https://okuman-go.jp/contact/

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