日本人必見!マレーシアの不動産のメリット・デメリットを徹底解説

なぜ今マレーシア不動産投資が注目されるのか(日本人投資家視点の背景)

まず、日本人投資家の視点からなぜ今マレーシア不動産なのかを整理します。背景には以下のような要因があります。
海外資産で円安リスクヘッジ
日本では長引く低金利と円安傾向により、資産防衛のため外貨建て資産への関心が高まっています。実際、円安が続く中でマレーシア不動産は円資産の目減りを防ぐ有効な手段とも言われています。外国通貨建ての不動産に投資することで、円の価値下落に対するヘッジ効果が期待できるためです。
マレーシア市場の堅調な成長
マレーシアの不動産市場は2024年に取引額過去最高を記録する(*1)など活況を呈しており、低金利や政府の支援策もあって今後も成長が期待されています。経済基盤も安定しており、不動産取引額の増加は市場の信頼性を示しています。2025年に入っても安定成長が続いており、クアラルンプールやペナンなど主要都市の高級物件需要は堅調との最新報告があります。
外国人投資への追い風
政府が外国人投資家向けの規制緩和や各種支援策に積極的で、投資しやすい環境整備が進んでいます。例えば2024年の予算方針では、「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」ビザの条件緩和が表明されました。その後、2025年3月現在では実際に財政証明要件が引き下げられるなど、さらに取得しやすい制度へと変化しています。政府が海外からの資金流入を歓迎する姿勢を明確にしていることは、市場参入の好機と言えます。
日本人に馴染みのある国
マレーシアは長年「日本人が移住したい国」ランキングでトップに選ばれてきた実績があり、治安の良さや親日的な国民性など日本人にとって魅力的な要素が揃っています。既に2〜3万人規模の在留邦人コミュニティが存在し、生活情報やサポートネットワークも整いつつあります。
このように心理的ハードルが低い点も注目度を上げる一因です。
円資産の分散先としての魅力や市場成長と政策支援、そして日本人との親和性が相まって、今マレーシア不動産投資が脚光を浴びています。
- *1 The Edge Malaysia:マレーシア不動産取引価値が2024年にRM2,323億で過去10年最高を記録(2025年2月)
マレーシア不動産投資のメリット①:比較的自由度の高い外資規制と物件取得
マレーシア不動産投資の最大のメリットの一つは、外国人による不動産取得の自由度が高いことです。他の東南アジア諸国では外国人の不動産所有に厳しい制限がある場合も多い中、マレーシアは比較的オープンな規制となっています。
州名 | 最低購入価格 (MYR) | 主な購入制限 | 許可審査期間 |
---|---|---|---|
クアラルンプール | 1,000,000(*2) | 一般住宅の場合は価格要件のみ | 約2~3か月 |
ジョホール | 1,000,000(*2) | 一部エリアで追加規定あり | 約2~3か月 |
ペナン | 1,000,000~3,000,000(*3) | 物件種別やエリアによって変動 | 約2~3か月 |
サラワク | 500,000(*4) | 一部地域では外国人不可物件あり | 約2~3か月 |
他国のように現地法人設立や名義人を立てるといった煩雑なスキームは不要で、個人として堂々と不動産資産を保有できる点は大きな魅力です。加えて、政府主導の外国資本誘致策(MM2Hの条件緩和や長期滞在ビザ「プレミアム・ビザ・プログラム(PVIP)」導入など)も追い風となり、今後さらに投資しやすい環境が整うでしょう。
- *2 Emerhub Malaysia Property Guide:クアラルンプール・ジョホール州の外国人最低購入価格RM100万(2025年2月)
- *3 Emerhub Malaysia Property Guide:ペナン州の外国人最低購入価格(物件種別・立地別)(2025年2月)
- *4 Emerhub Malaysia Property Guide:サラワク州の外国人最低購入価格RM50万(2025年2月)
メリット②:英語環境による情報収集のしやすさ
情報収集の容易さもマレーシア不動産投資の大きなメリットです。マレーシアではマレー語が国語ですが、ビジネスや高等教育では英語が広く使われています。日本人投資家が現地情報を収集しやすく、他国よりスムーズに投資判断を行えます。
- 英語が広く通用:行政やビジネスの現場では英語が一般的で、不動産契約書や法律文書も英語で用意されます。専門用語も把握しやすく、重要情報の見落としを減らせます。
- 豊富な英語情報源:「The Edge Malaysia」や「The Star」といった英字メディアが市場ニュースを報じ、2025年現在はウェビナーやオンラインセミナーも多数開催。最新動向へアクセスしやすい環境です。
- 不動産ポータルサイト:PropertyGuruやiPropertyなど大手サイトは英語対応で、多数の売買・賃貸物件情報が掲載されています。エリアや価格帯で検索しやすく、市場調査にも便利です。
- 専門レポートや統計データ:JLLやSavillsなど大手不動産コンサル企業や政府機関(NAPIC)が英語で市場分析レポートを公開。外国人でも一次情報を直接入手しやすい点は強みです。
- コミュニケーションの容易さ:多くの不動産エージェント、弁護士、銀行員が英語対応可能。日本語対応業者も存在するため、契約や交渉が比較的スムーズに進められます。
海外不動産投資でありがちな「情報不足」「言語の壁」を大幅に緩和できるのがマレーシアの特徴です。日本人投資家にとっては大きな安心材料となるでしょう。
メリット③:安定した需要と利回りの可能性

マレーシア不動産市場は、急激なバブル的成長よりも中長期的な安定成長を辿るタイプで、比較的リスクが読みやすい点が魅力です。
- 人口増加による住宅需要拡大:2030年代以降も生産年齢人口が多く、若年層の住居ニーズが底堅いです。2050年には総人口4,000万人を超える見込み(*5)があります。
- 経済成長と都市化:政府のインフラ開発や先進国入りビジョンにより、クアラルンプールやジョホールバルを中心とした都市エリアが継続的に成長。政治的安定性も市場の信頼度を高めています。
- 不動産価格の堅調な上昇:過去17年で累計240%の上昇実績があり、年5%前後の緩やかな価格上昇が続きました。バブル崩壊リスクが低く、堅実なキャピタルゲインを狙える可能性があります。
- 賃貸利回りは4~5%前後(*6):日本国内より高い利回りが期待できる一方、極端にハイリスクではない中庸の投資先として位置づけられます。
- 堅調な賃貸需要:駐在員・留学生・現地富裕層が高級コンドミニアムを好み、日本人駐在員向け物件は安定した家賃収入が見込めます。
- 通貨先高観と実質リターン:将来的にリンギットが対円で上昇すれば為替差益も含めたリターン拡大が期待できる点は魅力です。
「低金利政策の継続」「政府の住宅支援策」などの追い風により、今後も投資機会が広がる可能性があります。5%前後の利回り(*6)と年数%のキャピタルゲインを合わせて狙える点は、日本人投資家にとって大きなメリットです。
- *5 Population of Malaysia:マレーシア人口予測、2050年に41,729,000人(2025年5月)
- *6 Global Property Guide Malaysia:平均総賃貸利回り5.10%(2025年第1四半期)
マレーシア不動産投資のデメリット①:為替リスクと資金移動の手間
海外送金・為替管理の流れ
日本で資金準備
海外送金
(銀行・フィンテックサービス)
リンギット口座への着金
現地の不動産購入
(または管理費用支払い)
このフローは、海外送金や為替手数料に関するリスク管理の重要性をイメージ化しています。 実際には銀行やフィンテックサービスの送金手数料、為替レートなど を比較しながら最適なルートを選択し、資金移動の手間・コスト を最小化できるよう進めることが大切です。
海外不動産投資で避けて通れないのが為替リスクです。リンギット建ての収益を円に換算する際、為替レート次第でリターンが上下します。
- 為替変動による収益変動:1リンギット=30円が25円へ円高に振れれば収入は目減りし、逆に35円になれば増収となります。日本の金利動向や世界経済の影響を受け、相場は常に変動するため、為替差損のリスクは見逃せません。
- リンギット自体のボラティリティ:過去にアジア通貨危機の前例もあり、対ドルで急変動する可能性を完全には排除できません。ただし近年は安定化傾向にあり、極端な通貨危機のリスクは低めとされています。
- 資金移動・両替の手間:銀行送金時の為替スプレッドや手数料が大きく、収益を圧縮する要因になる場合があります。フィンテック系送金サービスの普及で手数料は下がりつつあるものの、海外送金特有の煩雑さは残ります。
- 現地通貨の持ち出し制限:リンギットの国外持ち出しには規定があり、実際の運用では一旦米ドル等に換金して送金する流れが一般的です。想定外の資本規制リスクにも注意が必要です。
- 税務上の煩雑さ:マレーシアの家賃収入には30%の源泉課税(*7)が行われ、売却時の譲渡益にもRPGTがかかります。日本における確定申告との二重管理や財産債務調書など、国内投資にはない手続き負担が発生します。
このように「為替」と「送金」の壁は避けられませんが、長期保有やヘッジ手段の活用、あるいは送金コストの削減などで対策することは可能です。
- *7 Emerhub Malaysia Property Guide:マレーシア外国人家賃収入源泉課税30%(2025年2月)
マレーシア不動産投資のデメリット②:現地情報の不足と物件精査の難しさ
日本から遠隔で投資する場合、現地の最新情報や物件管理を十分に把握するのは容易ではありません。
- 市場の局所的な事情を把握しづらい:供給過剰エリアや値上がりしにくい物件を避けるには、ローカルの肌感覚や詳細データが必要ですが、日本にいながらでは得られる情報に限度があります。
- 物件選定・精査の難易度:写真や説明だけでは分からない建物管理状態、周辺環境などが投資判断を難しくさせます。バーチャルツアー等が充実してきたとはいえ、現地視察はほぼ必須です。
- 信頼できるパートナー探し:経験や実績の乏しい仲介業者も多く、誇大広告に惑わされるリスクがあります。複数の情報源を当たって慎重に選ぶ必要があります。
- 開発プロジェクトのリスク:オフプラン物件は引渡し遅延や開発中止の懸念があり、ディベロッパーの信用力を見極める必要があります。
- 賃貸運用・管理の課題:遠隔地管理で空室対応や修繕が遅れれば、利回りが低下します。プロパティマネジメント会社の良し悪しで結果が大きく変わるでしょう。
- 法制度・契約実務の理解:永久所有権、借地権物件の違いやRPGT、相続時の手続きなど、日本とは異なる法制度を理解する必要があります。専門家を雇うコストも考慮が必要です。
これらのリスクは、購入前に複数回の現地視察や実績ある専門家への依頼で軽減可能です。最新情報を継続的に入手し、管理体制を整えることで失敗リスクを抑えられます。
まとめ:マレーシア不動産は日本人にとって最適解となり得るか?
ここまでメリット・デメリットを詳しく見てきましたが、結論として「長期分散投資の一環として検討する価値が高い」と言えます。
外国人に開かれた投資環境や英語での情報収集のしやすさ、堅実な利回りと安定した需要は大きな魅力です。一方で、為替リスクや遠隔地管理の難しさ、税制・手続きの煩雑さなど、海外不動産ならではのデメリットも無視できません。
特に以下のような投資家にはマレーシア不動産が適しています。
- 中長期の資産形成を目指す人:「5~10年スパンで着実に増やしたい」堅実志向の投資家なら、年4~5%前後の利回り(*6)とキャピタルゲインをあわせて狙いやすいでしょう。
- 自己資金に余裕がある人:最低取得金額が高めなので、ある程度まとまった資金を用意できる人が有利です。
- リスク分散を重視する人:先進国と新興国の中間に位置するマレーシアをポートフォリオに加えることで、資産全体のバランスを取れます。
- 現地滞在や移住を視野に入れる人:MM2Hビザなどの長期滞在ビザと組み合わせれば、セカンドホームとしても活用可能です。
逆に、短期的な売買益を求める投機的投資や、現地調査を行う時間が全く取れない人には不向きかもしれません。マレーシア不動産は「じっくり育てる」スタンスが重要です。
2025年以降もマレーシア市場は成長が期待されますが、金利やインフレ動向などリスク要因も併存しています。メリットを最大限活かし、デメリットを最小化するためにも、常に最新情報を把握しながら専門家の力を借りるのがおすすめです。
「絶好の投資先」と断言はできませんが、「適切な知識と戦略があれば非常に有望な選択肢」と言えるでしょう。
- *6 Global Property Guide Malaysia:平均総賃貸利回り5.10%(2025年第1四半期)