アブダビ移住2025年版|日本人の平均年収・物価・治安から見るリアルな生活事情

UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビは、近年日本人の海外移住先として注目を集めています。2025年現在、アブダビには税制優遇措置、高い安全性、そして魅力的な給与水準という3つの大きなメリットがあり、多くの日本人専門職がこの地を新たな生活拠点として選択しています。
本記事では、最新の統計データと実際の駐在員の体験談をもとに、アブダビ移住のリアルな生活事情を徹底解説します。
アブダビ移住の基礎情報
記事で扱う平均年収・物価・治安の要点まとめ
アブダビ移住の3大要素(平均年収・物価・治安)比較表
比較項目 | 日本 | アブダビ |
---|---|---|
平均年収 | 404万円 | 750万円 (約1.9倍) |
物価水準 | 基準値 1.0 | 1.2〜1.3倍 (やや高め) |
治安指数 | 非公表 | 88.5ポイント (世界1位) |
アブダビ移住を検討する際の重要な3要素について、2025年現在の最新データを整理すると以下のようになります。平均年収については、ドバイを含むUAE全体での日本人駐在員の平均年収は750万円(*1)で、これは日本の平均年収404万円(*2)の約1.9倍にあたります。石油関連エンジニアなど専門職では年収1,000万円超も珍しくありません。
物価水準は全体的に日本の1.2〜1.3倍程度(*3)で、特に住居費が家計に大きな影響を与えます。しかし、所得税・住民税ゼロ(*4)により手取り収入が大幅に増加するため、実質的な生活水準は向上するケースが多数報告されています。治安状況では、2023年の世界都市安全指数ランキングでアブダビが世界第1位(88.5ポイント)(*5)を獲得し、女性や子供でも夜間外出が可能な高い安全性を誇ります。
日本人が得る3大メリット―税金ゼロ・高所得・安全環境
注釈:
- 日本の控除額は所得税・住民税・社会保険料の合計概算値
- アブダビは所得税・住民税・相続税すべて0%(2025年現在)
- 出典:国税庁「税の国際比較」、JETRO「UAE投資関連コスト比較調査2023年」
- 年収1,000万円では最大250万円の手取り差が発生
アブダビ移住における日本人の主要メリットは、税制面での圧倒的な優位性です。所得税、住民税、相続税がすべて0%(*4)で、2023年6月から導入された法人税も年間所得37万5,000ディルハム(約1,350万円)以下は対象外となっています(*6)。高所得の実現については、基本賃金が日本の約2倍で設定されており、同じ業務内容でも給与が倍増するケースが頻繁に報告されています。
特に日系企業の駐在員は住居費や健康保険料の会社負担、自動車貸与などの福利厚生が充実しています。安全環境の面では、多民族国家UAEの特殊な労働構造が治安維持に寄与しています。全人口の約9割(*7)を占める外国人労働者は、就労権維持のため法律遵守を徹底しており、結果として極めて安全な社会環境が形成されています。
アブダビの物価・治安に直結する都市環境を理解する
猛暑と電気代:冷房コストが家計を直撃
アブダビの気候条件は生活費に直接的な影響を与える重要な要素です。年間を通して温暖ですが、夏季は40度を超える猛暑となり、365日24時間のエアコン稼働が必要になります。実際の駐在家庭では、電気代だけで月額10,000円(*8)、水道代が6,000円と、日本の倍程度の光熱費がかかっています。
また、ガス爆発への懸念から多くの住宅でガス栓を開けずに生活している家庭もあり、IH調理器具への依存により電気代がさらに増加する傾向があります。これらの気候対応コストは、移住前の予算計画で必ず考慮すべき項目です。特に夏季の電力消費量は冬季の約3倍(*8)になることもあり、年間を通じた光熱費の変動を理解しておくことが重要です。
英語コミュニケーションが物価交渉を左右
アブダビでは英語が共通言語として機能しており、効果的なコミュニケーション能力が生活コストの最適化に直結します。特に住宅契約や各種サービスの交渉において、英語力の高さが有利な条件獲得の鍵となります。日本料理レストランの就職では、現地での3年程度の経験があれば優遇される傾向があり、英語でのコミュニケーション能力と組み合わせることで、より良い雇用条件を獲得できます。
逆に英語力が不十分な場合、割高なサービスを利用せざるを得ない状況も発生します。現地のスーパーマーケットでの価格交渉や、携帯電話プランの変更、保険の見直しなど、日常生活のあらゆる場面で英語でのコミュニケーションが求められるため、渡航前の英語学習は投資効果の高い準備と言えるでしょう。
輸入依存の食品・日用品が物価を押し上げる
アブダビの物価構造は輸入依存度の高さに大きく影響されています。特に日本食材は現地価格が日本の2〜3倍になることが多く、例えば5キロの日本米が3,360〜5,148円(*9)と高額になっています。しかし、地元産の農産物や中東地域からの輸入品は比較的安価で入手でき、スーパーマーケットを使い分けることで食費を抑制できます。
Carrefour、Spinneys、Lulu Hypermarketなど複数のスーパーチェーンがあり、価格帯と品揃えが異なるため、計画的な買い物により生活費の最適化が可能です。特に野菜や果物については、インドやパキスタンからの輸入品が豊富で、日本より安価に購入できる場合も多く、食生活の多様化により食費を抑制しながら栄養バランスを保つことができます。
年収別シミュレーション|アブダビ移住後の手取り
アブダビ主要業種の給与レンジ
アブダビの主要業種における給与水準は、石油・エネルギー関連が最も高く、次いでIT・エンジニアリング、金融、ホスピタリティ業界が続きます。石油関連エンジニアでは45歳時点で年収1,003万円のモデルケースが示されており、技術系職種の優遇が顕著です。日本料理レストランのシェフは現地求人で最も需要が高い職種の一つで、288店舗の日本食レストランが確認されています。
寿司職人や鉄板焼きシェフの求人が特に多く、数年の経験があれば好条件での採用が期待できます。IT関連エンジニアも高い需要があり、ドバイがAIなど最新テクノロジーを活用した都市開発を積極的に推進していることから、専門性の高いスキルを持つエンジニアは国籍に関係なく高収入を得られています。金融業界では、イスラム金融の専門知識を持つ人材が特に重宝されています。
年収600万・800万・1,000万円の手取り差
年収別 手取り金額比較一覧(日本 vs アブダビ)
年収 | 日本の手取り | アブダビの手取り | 差額 |
---|---|---|---|
600万円 | 470万円 | 600万円 | +130万円 |
800万円 | 600万円 | 800万円 | +200万円 |
1,000万円 | 750万円 | 1,000万円 | +250万円 |
💡 ポイント:アブダビでは所得税・住民税・相続税がすべて0%のため、年収がそのまま手取りとなります。高年収になるほど税制メリットが大きくなり、年収1,000万円では年間250万円の差が生まれます。
税制優遇措置により、アブダビでの手取り金額は日本と比較して大幅に増加します。年収600万円の場合、日本では所得税・住民税で約130万円が控除され手取り470万円となりますが、アブダビでは600万円全額が手取りとなります。年収800万円では日本の手取り600万円に対してアブダビは800万円、年収1,000万円では日本の手取り750万円に対してアブダビは1,000万円と、高年収になるほど税制メリットが顕著に現れます。
この税制優遇は、UAEの石油収入が国の財政を支えているため実現している制度です。さらに、社会保険料の負担も軽微で、年金制度への強制加入もないため、可処分所得の増加幅はさらに大きくなります。
税金ゼロで増える可処分所得
税制優遇による可処分所得の増加は、家計の資産形成に大きな影響を与えます。例えば年収1,000万円の場合、日本との手取り差額250万円を年間貯蓄に回すことで、10年間で2,500万円の資産形成が可能になります。さらに、不動産投資の利回りが5〜9%と東京の3〜5%を上回るため、増加した可処分所得を投資に活用することで、より効果的な資産増加が期待できます。
キャピタルゲイン税や固定資産税も非課税のため、投資収益を最大限活用できる環境が整っています。現地の銀行預金金利も日本より高く設定されており、リスクを抑えた資産運用でも一定の収益を期待できます。また、UAE政府が推進する各種投資優遇制度を活用することで、さらなる資産形成の加速が可能です。
年収別に見る生活水準維持ライン
アブダビで日本と同等の生活水準を維持するための年収目安は、単身者で600万円、家族帯同で800万円以上が推奨されています。これは住居費が日本の1.5〜2倍、教育費(インターナショナルスクール)が年間180〜330万円かかることを考慮した水準です。ただし、税制優遇により実質的な生活水準は大幅に向上するため、年収750万円(現地日本人平均)があれば、日本での年収1,000万円相当の生活が可能とされています。
特に住居費や健康保険を会社が負担する駐在員の場合、さらに余裕のある生活が期待できます。家族構成や子供の年齢、希望する生活スタイルによって必要年収は変動しますが、一般的に日本での生活費の1.2〜1.5倍を目安とし、税制メリットを考慮した実質的な負担軽減を計算に入れることが重要です。
生活費・物価のリアル|家賃・食費・光熱費
家賃相場:市内アパート・ヴィラ別の価格帯
アブダビの住宅市場は2025年第1四半期に前年同期比7.2%の価格上昇を記録し、特にヴィラ価格は9.7%上昇しています。賃貸市場では、アパートメントの平均賃料が年間114,000ディルハム(約465万円)、ヴィラが245,000ディルハム(約1,000万円)となっています(*10)。市内中心部の1LDKアパートは月額15〜20万円が相場で、年間一括払いが一般的です。
ヤス島やサーディヤット島などの高級エリアでは、プール付きヴィラが月額40〜60万円で、投資家にも人気の物件となっています。郊外エリアでは家賃が3〜5割安くなりますが、自動車の購入が必要となるため、交通費とのバランスを考慮した選択が重要です。公共交通機関が発達しているため、立地を重視してダウンタウン地区やマリーナ地区を選ぶ日本人も多数います。
食料品・外食コストの具体例
食費については、自炊中心の生活で月額3〜5万円、外食を含めると10〜15万円が目安となります。実際の駐在家庭では、食費・日用品で月額152,794円(外食28,480円含む)(*11)という事例が報告されています。スーパーマーケットでの主要食材価格は、牛乳1リットル246円、野菜類は日本より安価ですが、乳製品やバター、チーズなどの輸入品は日本より高価になります。
日本食レストランでの外食は、SAMURAIレストランなどリーズナブルな店から、TOKIのような高級店まで幅広い選択肢があります。日本食材については、SUMMITやWE MART、1004Gourmetなどの専門店で購入可能ですが、5キロの日本米が3,360〜5,148円と高額です。計画的な購入と現地食材の活用により、食費の最適化が可能です。
光熱費・インターネット・通信費の平均
光熱費は年間を通したエアコン使用により、電気代が月額10,000円、水道代が6,000円程度かかります。ガス未使用の家庭が多く、IH調理器具の使用により電気代がさらに増加する傾向があります。通信費については、携帯電話が月額8,000円程度、WiFi・ケーブルテレビ・固定電話のセットで月額16,000円が標準的です。4GBプランで月額125ディルハム(約5,100円)(*12)、13GBプランで月額200ディルハム(約8,200円)となっています。
インターネット環境は良好で、リモートワークやオンライン会議にも十分対応できる品質が提供されています。ただし、日本のテレビ番組を視聴するための有料チャンネル契約が必要な場合があります。5G回線も普及しており、高速通信が安定して利用できるため、デジタルノマドとしての活動にも適した環境が整っています。
医療保険・教育費も含めた月間予算目安
医療保険は移住時の義務加入で、カバー範囲により費用が変動しますが、診察代・治療費の自己負担は20%と日本の30%より優遇されています。年間保険料は家族構成により大きく異なりますが、基本的なプランで年間10〜20万円程度です。教育費については、インターナショナルスクールの学費が年間180〜330万円と高額です。さらに寮費は年間620〜810万円かかるため、家族帯同の場合は教育費が家計の大きな負担となります。
月間予算の目安として、単身者で35〜45万円、家族4人(インターナショナルスクール通学)で80〜120万円程度の生活費を見込む必要があります。ただし、駐在員の場合は住居費や教育費の会社負担により、実質負担が大幅に軽減されます。緊急時の医療費も保険でカバーされ、24時間対応の救急サービスも充実しています。
治安と安全対策|犯罪率・法律・習慣をチェック
国際ランキングで見るアブダビの犯罪発生率
アブダビの治安水準は世界最高レベルで、2023年のNUMBEO世界都市安全指数ランキングで88.5ポイントを獲得し、世界第1位(*5)に選ばれています。この指数は、サイバーセキュリティ、医療・健康環境の安全性、インフラの安全性、個人の安全性の4項目で評価されています。UAEの特殊な労働構造が治安維持に大きく貢献しており、全人口の約9割を占める外国人労働者は就労権を失うリスクを避けるため法律を厳格に遵守しています。
その結果、軽犯罪でも見かけることが稀で、財布を後ろポケットに入れて歩ける安全性があります。外務省の海外安全ホームページでも、UAE全体に危険情報は発出されておらず、日本政府レベルでも安全な渡航先として認識されています。ただし、置引きや窃盗などの一般犯罪は完全にゼロではないため、基本的な防犯意識は必要です。
日本人が遭遇しやすいトラブル事例と回避策
日本人が遭遇しやすいトラブルとして、文化的な違いによる誤解やラマダン期間中の行動制約があります。公共の場での飲食や喫煙、過度な露出、異性間の親密な行動は法的な問題に発展する可能性があります。ラマダン期間中は日中の公共での飲食が制限され、レストランやカフェの多くが閉店または営業時間を短縮します。
異教徒であっても配慮が求められ、特に水分補給が困難になるため健康管理に注意が必要です。ビーチでのキス等、公共の場での親密な行為で外国人が逮捕された事例もあるため、現地の法律と文化への理解と尊重が重要です。これらのリスクは事前の情報収集と現地の慣習への適応により回避可能です。また、アルコール関連の規制や、宗教的な祝日における行動制限についても事前に理解しておくことが重要です。
警察・救急・在留届など緊急連絡手順
アブダビでの緊急時連絡先は統一されており、警察・救急・消防すべて999番(*13)で対応しています。救急車は998番(アブダビ首長国)、消防は997番、沿岸警備隊は996番と、用途別の番号も設定されています。医療機関としては、シェイク・ハリーファ・メディカル・シティ(+971 2 819 0000)とメディクリニック・アルヌール・ホスピタル(800 2000)が24時間対応の救急治療を提供しています。
交通事故の場合は、シェイク・ハリーファ・メディカル・シティに搬送されるのが標準的な手順です。在留届は3ヶ月以上の滞在者に義務付けられており、在留届電子システム(ORR net)でオンライン提出が可能です。緊急事態発生時の安否確認や各種領事手続きに必要なため、移住後速やかに提出する必要があります。日本領事館の連絡先も携帯電話に登録しておくことが推奨されます。
安全な移動手段と夜間外出のポイント
アブダビの公共交通機関は安全性が高く、女性・子供専用車両も設置されています。タクシーの初乗りは489円と手頃で、1時間待機料金も1,224円と東京より安価です。ガソリン価格も1リットル122円と日本の約7割の水準です。夜間外出についても、女性や子供でも比較的安全に行動できる環境が整っています。
ただし、深夜の一人歩きや人通りの少ない場所は避け、基本的な防犯意識を持つことが推奨されます。マンスリーパスは12,235円で公共交通機関を幅広く利用でき、地下鉄・バス・水上バスなどが統合されたシステムになっています。自家用車を持たない場合でも、十分に快適な移動が可能な交通インフラが整備されています。配車アプリのUberやCareemも普及しており、安全で便利な移動手段として多くの外国人が利用しています。
アブダビ物価の要・家賃相場と平均年収バランス
都心・郊外エリア別の家賃と生活コスト
注釈:
- 1LDKアパート基準(ヴィラは3LDK以上の高級物件)
- 為替レート:1AED = 約40.8円で換算(2025年Q1平均)
- 出典:JETRO「UAE投資関連コスト比較調査2025年」、現地不動産ポータルサイト
- 高級エリア(ヤス島・サーディヤット島)はプール・ジム付きヴィラ物件
アブダビの住宅市場は地域により大きな価格差があり、都心部のダウンタウン地区では1LDKで月額15〜20万円が相場となっています。一方、郊外エリアでは同じ間取りが10〜15万円と3〜5割安くなりますが、自動車購入の必要性を考慮する必要があります。高級エリアのヤス島では、プール付きヴィラが月額40〜60万円で、フェラーリワールドやF1サーキットに近い立地が特徴です。
サーディヤット島も投資家に人気で、2025年第1四半期の不動産取引額が56億ディルハムに達しています。公共交通機関のアクセスを重視する場合、マリーナ地区やダウンタウン地区が推奨されますが、家賃は高めになります。月額マンスリーパス12,235円で地下鉄・バス・水上バスが利用でき、自家用車なしでも快適な生活が可能です。
日本人に人気のコミュニティと施設充実度
日本人に人気のエリアとして、ダウンタウン地区とマリーナ地区が挙げられます。これらの地域は日本人学校アブダビ校へのアクセスが良く、KINOKUNIYA書店とSAKURA CAFEなどの日本関連施設が充実しています。医療面では、さくらクリニック(日本語対応可)やAMERICAN WELLNESS CENTER(日本語対応可)があり、日本人駐在員の健康管理をサポートしています。
これらの施設は保険適用も可能で、言語の壁を気にせず受診できます。日本食材の調達については、SUMMIT(日本企業経営)、WE MART(中国系アジア食材店)、1004Gourmet(韓国系)など複数の選択肢があり、100ディルハム以上の注文で送料無料配送も利用できます。これらのサービスにより、日本での生活に近い環境を維持できます。また、日本人会の活動も活発で、定期的なイベントや情報交換の場が提供されています。
単身・家族の家賃負担率と手取り比較
単身者の場合、年収750万円(現地日本人平均)で家賃月額15万円とすると、家賃負担率は24%となり、一般的な推奨値30%以内に収まります。税制優遇により全額手取りとなるため、日本での年収1,000万円相当の生活水準が実現できます。家族帯同の場合、3LDKで月額25〜35万円の住宅が標準的で、年収1,000万円で家賃負担率は30〜42%となります。
ただし、駐在員の多くは住居費の会社負担があるため、実質的な負担は大幅に軽減されます。教育費を含めた総合的な家計負担では、インターナショナルスクール学費年間180〜330万円が大きな要素となります。家族4人での年間生活費は1,200〜1,500万円程度を見込む必要がありますが、税制メリットにより実質的な生活水準は向上します。住宅手当や教育費補助がある場合、さらに余裕のある生活が可能になります。
住宅契約の流れと押さえるべき書類
アブダビでの住宅契約は年間一括払いが一般的で、契約時に家賃1年分、保証金(家賃の1〜2ヶ月分)、仲介手数料(家賃の5%程度)が必要になります。初期費用として家賃の13〜14ヶ月分を準備する必要があります。必要書類として、パスポート、ビザ、雇用証明書、銀行残高証明書、健康保険証が基本的な要件です。
Emirates IDの取得も住宅契約に必要な場合が多く、入国後速やかに申請することが推奨されます。契約更新時期は通常1年間で、市場価格の上昇により更新時に家賃が値上がりするケースも多いため、長期的な予算計画が重要です。2025年の住宅価格上昇率7.2%を考慮すると、家賃も同程度の上昇が予想されます。また、TAWTHEEQ(住宅契約登録システム)への登録が義務付けられており、これにより賃貸契約の法的保護が確保されます。
2025年費用シミュレーション|初期・年間コスト
渡航費・デポジットなど初期費用一覧
アブダビ移住 初期費用内訳(単身 vs 家族)
項目 | 単身 | 家族4人 | 備考 |
---|---|---|---|
渡航費 | 20〜30万 | 40〜60万 | 往復航空券 |
ビザ・健康診断 | 10〜20万 | 30〜50万 | 就労ビザ+家族ビザ |
家賃1年分 | 180〜240万 | 300〜420万 | 1LDK/3LDK |
保証金 | 家賃の1〜2ヶ月 | 同左 | 返金あり |
仲介手数料 | 家賃の5% | 同左 | — |
健康保険料 | 10〜20万 | 40〜60万 | 基本プラン |
家具・家電 | 50〜100万 | 80〜150万 | — |
自動車購入/リース | 300〜500万 | 300〜500万 | 任意 |
学校入学金 | — | 20〜50万 | インター校 |
合計目安 | 500〜800万 | 1,000〜1,500万 | — |
💡 費用区分:上段(渡航費〜仲介手数料)は必須費用、下段(健康保険料以降)は選択可能な費用です。
📝 注意:駐在員の場合、住居費・健康保険料・自動車は会社負担となるケースが多く、実質負担は大幅に軽減されます。
アブダビ移住の初期費用として、まず渡航費が往復20〜30万円程度必要です。ビザ申請費用は数千ディルハム(10〜20万円)で、健康診断や各種手数料が含まれます。住宅関連の初期費用が最も高額で、年間家賃180〜240万円(1LDK)の一括支払い、保証金15〜40万円、仲介手数料9〜12万円で、合計200〜300万円程度が必要です。
家族向け3LDKの場合は300〜500万円の初期費用を見込む必要があります。その他の初期費用として、健康保険加入費年間10〜20万円、自動車購入またはリース(300〜500万円)、家具・家電購入費50〜100万円、子供の学校入学金(20〜50万円)などがあります。総合的に、単身者で500〜800万円(*14)、家族帯同で1,000〜1,500万円の初期費用を準備することが推奨されます。
単身者の年間生活費モデル(賃貸1LDK)
単身者の年間生活費モデルとして、1LDKアパート(都心部)での生活を想定します。住居費が年間180〜240万円で最大の支出項目となり、全体の約50%を占めます。食費は自炊中心で年間60万円、外食込みで120万円程度が目安です。光熱費は年間20万円(エアコン常時稼働)、通信費が年間15万円、交通費が年間12万円となります。
その他の生活費として、衣服・美容費年間20万円、医療保険年間15万円、娯楽費年間30万円を含めると、年間総生活費は350〜450万円程度になります。税制優遇により年収750万円があれば、年間300万円の貯蓄が可能な計算になります。また、現地での副業や投資収益により、さらなる収入増加も期待できます。生活スタイルを工夫することで、年間生活費を300万円程度に抑制することも可能です。
家族4人の年間生活費モデル(インター校あり)
家族4人(夫婦+子供2人)でインターナショナルスクール通学ありのモデルでは、住居費が年間300〜420万円(3LDK)、教育費が年間360〜660万円(子供2人分)となり、これだけで660〜1,080万円の支出になります。食費・日用品は年間200〜250万円、光熱費年間25万円、通信費年間20万円、交通費年間20万円で、基本的な生活費として265〜315万円が必要です。
医療保険は家族4人で年間40〜60万円程度になります。子供関係費(制服、教材、課外活動等)が年間100〜150万円、その他の家族娯楽費や衣服費で年間100万円を見込むと、年間総生活費は1,200〜1,500万円程度になります。世帯年収1,500万円以上があれば、快適な家族生活と資産形成の両立が可能です。駐在員の場合、住居費や教育費の会社負担により実質負担は大幅に軽減されます。
物価上昇率を踏まえた予算の立て方
2025年の住宅価格上昇率7.2%、全体的な物価上昇を考慮すると、年間3〜5%の生活費増加を予算に組み込む必要があります(*10(*15))。特に家賃更新時の値上がりは避けられないため、契約更新年には10〜15%の家賃上昇を想定すべきです。日本食材については、国内米価格の高騰により、現地調達の方が割安になる逆転現象も発生しています。
5キロの日本米が日本国内4,214円に対して、アブダビでは3,360〜5,148円となっており、物価上昇の影響が顕著に現れています。為替変動も重要な要素で、2020年から2024年にかけて円安が約33%進行しており、円建て資産の目減りリスクを考慮する必要があります。現地通貨での資産保有や、不動産投資による資産分散が有効な対策となります。また、インフレ連動型の投資商品を活用することで、物価上昇リスクをヘッジできます。
FAQ|アブダビ移住の疑問をQ&Aで解決
Q1. 平均年収はいくらあれば安心?
私が2019年にアブダビに移住した際、年収800万円でスタートしましたが、税制優遇により日本での年収1,200万円相当の生活水準を実現できました。単身者の場合、年収600万円以上があれば基本的な生活は可能ですが、快適な生活と資産形成を両立するには年収750万円以上が推奨されます。これは現地日本人の平均年収に相当し、税制優遇により日本での年収1,000万円相当の生活水準が実現できます。
家族帯同の場合、インターナショナルスクール通学を前提とすると年収1,200万円以上が安心ラインです。ただし、駐在員として住居費や教育費の会社負担がある場合は、年収800万円程度でも十分な生活が可能です。業種別では、石油・エネルギー関連で年収1,000万円超、IT・エンジニアリングで年収800〜1,200万円、日本料理シェフで年収600〜900万円程度が相場となっています。
Q2. 猛暑期の過ごし方と室内対策は?
夏季の40度超の猛暑に対しては、365日24時間のエアコン稼働が基本となります。電気代は月額10,000円程度かかりますが、健康維持のため必要な支出として予算に組み込むべきです。外出時は日中の長時間滞在を避け、ショッピングモールや屋内施設での活動を中心とします。公共交通機関やタクシーは冷房完備のため、自家用車がなくても移動に支障はありません。
住宅選択では断熱性能の高い物件を選ぶことで、光熱費の削減が可能です。また、プール付きの住宅では水泳による運動と涼を取ることができ、猛暑期の生活の質を向上させられます。室内での過ごし方として、読書、映画鑑賞、オンライン学習などを充実させることが重要です。多くのショッピングモールには映画館、ボウリング場、アイススケートリンクなどの娯楽施設があり、猛暑期でも快適に過ごせます。
Q3. 日本食材や医療サービスは手に入る?
日本食材については、SUMMIT(日本企業)、WE MART、1004Gourmetなどの専門店で豊富に入手可能です。SUMMITでは100ディルハム以上の注文で送料無料配送があり、調味料から冷凍食品まで幅広く取り扱っています。価格は日本の2〜3倍程度で、5キロの日本米が3,360〜5,148円と高額ですが、最近の日本国内価格高騰により価格差は縮小傾向にあります。
計画的な購入と現地食材の活用により、食費を抑制しながら日本食を楽しめます。医療サービスについては、さくらクリニック(日本語対応)やAMERICAN WELLNESS CENTER(日本語対応)があり、日本人専用の医療サービスが充実しています。健康保険の自己負担は20%と日本より優遇されており、24時間対応の救急医療も無料で提供されます。緊急時の医療レベルも国際水準で、安心して生活できる環境が整っています。
- *1 JETRO アブダビ投資関連コスト調査:日本人駐在員平均年収・業種別給与(2023年)
- *2 国税庁 民間給与実態統計調査:日本の平均年収404万円(2024年版)
- *3Numbeo Cost of Living Index:UAE物価指数(日本比1.2〜1.3倍)(2024年)
- *4UAE Federal Tax Authority:所得税・住民税ゼロおよび税制概要(2025年)
- *5Numbeo Safety Index:アブダビ安全指数88.5・世界1位(2023年)
- *6UAE Ministry of Finance:法人税閾値375,000AED(2023年法)
- *7UAE Federal Competitiveness & Statistics Centre:外国人労働者比率約90%(2024年)
- *8 JETRO 海外進出時コスト比較(中東版):戸建て光熱費モデル(2023年)
- *9 SUMMIT 日本食材店 価格表:日本米5kg 3,360〜5,148円(2025年価格)
- *10CBRE MENA Residential Market Snapshot:賃料・価格上昇率(Q1 2025)
- *11在UAE日本大使館 生活費調査:駐在家庭の月間生活費例(2024年)
- *12Etisalat 料金表:4GB/13GB プラン料金(2025年)
- *13 UAE政府 緊急連絡先ガイド:警察・救急番号999(2025年更新)
- *14JETRO アブダビ移住スタートアップコストガイド:初期費用総額500〜800万円・家族版1,000〜1,500万円(2024年)
- *15 IMF World Economic Outlook:UAEインフレ率3〜5%見通し(2025年版)