カンボジアへの不動産投資のリスクを解説!失敗事例や対処法も紹介

カンボジア不動産契約

近年、アジアの新興国がもたらす投資チャンスに注目が集まっています。その中でもカンボジアは、2010年代に平均7%前後の経済成長率を誇り、多くの外国人投資家から不動産投資先として注目を浴びてきました。ただし、2020年以降はコロナ禍の影響で成長率が一時的に大きく低下し、2022年には5.2%、2023年には5.5%程度の成長が見込まれています。首都プノンペンでは高層ビルの建設や新興住宅地の開発が進み、観光需要の回復も期待されていますが、法整備や情報透明度の面で懸念があるのも事実です。

本記事では「カンボジア不動産投資のリスクを解説!失敗事例や対処法も紹介」というテーマのもと、カンボジアが不動産投資先として注目される理由から、見落としがちな投資リスク、実際の失敗事例、そしてその対処法や将来展望までを幅広く解説していきます。カンボジアでの不動産投資を検討している方、あるいは既に投資を始めておりリスクを再確認したい方にとって、有益な情報源となることを目指しています。


目次

カンボジアが不動産投資先として注目される理由

高い経済成長率と都市化の進行

カンボジアは2010年代に平均7%前後の経済成長率を記録し、新興国の中でも存在感を示してきました。コロナ禍の影響により一時的に落ち込みましたが、2022年から2023年にかけては5%台の成長へ回復が進んでおり、今後も堅実な伸びが期待されています。世界銀行やIMFのレポートによれば、観光収入や縫製産業、農業セクターなど多方面での成長要因が挙げられています。

首都プノンペンでは、高層ビルの建設ラッシュにより都市景観が急速に変化しており、それに伴って不動産価格も上昇傾向が見られます。また、海外からの直接投資の増加やインフラ開発の進展も相まって、経済全体がダイナミックに動いている点が投資家にとって魅力的です。

カンボジアのGDP成長率を示すグラフ
カンボジアのGDP成長率推移(JETROなどのデータをもとに作成)

外国人投資家に対する比較的オープンな姿勢

カンボジア政府は、経済活性化のために海外からの投資を積極的に受け入れる姿勢を示しています。不動産投資においては、外国人がコンドミニアムの所有権を持てる制度があり、建物全体の70%まで外国人所有を認めるという制限を設けつつも、アジア圏の中では比較的開放的な制度といえます。また、地上階(1階)を除く2階より上の階の所有が可能と定められている点も特徴的です。法整備がまだ十分とは言えない面もありますが、他の国と比べると投資へのハードルはやや低いと言えるでしょう。

観光需要の伸びと潜在的な賃貸需要

カンボジアには世界遺産のアンコール・ワットを有するシェムリアップをはじめ、歴史的・文化的に魅力ある観光スポットが点在しています。コロナ禍で一時落ち込んだ観光客数は規制緩和以降に回復傾向にあるものの、2019年の約660万人から2022年には約220万人へと大幅に減少し、2023年現在も完全には戻っていません。ただし、今後も世界的に旅行需要の回復が見込まれ、ホテルやゲストハウス、コンドミニアムといった宿泊施設への投資需要は底堅い可能性があります。

また、首都プノンペンには出稼ぎ労働者や留学生が多く集まり、住宅やオフィスの需要が増加している点も、不動産投資の魅力を高める要因です。

ドル経済の浸透

カンボジアでは現地通貨のリエル(KHR)だけでなく、米ドルが日常的に流通しています。外資系投資家にとって米ドルを使った取引は便利に見えますが、日本円から投資を行う場合には円ドル為替の変動リスクを常に考慮する必要があります。また、カンボジアが将来的にドル依存からの脱却を進める可能性もあるため、為替に関する完全なリスク回避は難しいという点を理解しておきましょう.


見落としがちなカンボジア不動産投資のリスク一覧

海外不動産投資は、日本国内とは異なる経済・政治・社会情勢が大きく絡むため、リスク管理が欠かせません。カンボジアの不動産投資において特に見落としがちなポイントを以下にまとめます。

  • 法整備の未成熟
    不動産に関する法律や契約の取り扱いが未整備、または流動的な部分がある。
  • 外国人所有制限
    土地の直接所有が難しく、コンドミニアムにおいては建物全体の70%までなど、一定の制限が設けられている。
  • 権利関係の不透明さ
    登記情報や権利証の信頼性が不十分な場合、トラブルに巻き込まれる可能性がある。
  • 為替リスク
    米ドルとリエルの二重通貨体制だが、日本円からの投資の場合は依然として円安・円高の変動リスクが大きい。
  • 経済・政治リスク
    新興国特有の政治的不安やインフラ未整備による経済変動リスクが存在する。
  • 情報の非対称性
    最新の市場情報が不透明であったり、クメール語・英語など多言語ソースを参照する必要がある。

カンボジアでの不動産投資は、比較的高いリターンが期待できる反面、リスクに対する十分な理解と対策が求められます。

リスク項目概要
法整備の未成熟 カンボジアでは法律や契約の取り扱いが十分に整備されておらず、
新たな法改正が頻繁に行われるなど、不動産取引の安定性を欠く要因になっています。
外国人所有制限 外国人は土地を直接所有できず、
コンドミニアムの70%までしか購入できないなどの制限が存在します。
権利関係の不透明さ ハードタイトルやソフトタイトルなど複数の土地権利制度があり、
登記情報の信頼性が低い物件はトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
為替リスク 米ドルとリエルが併用されている一方、日本円から投資を行う場合は
円ドル為替の変動による利益変動リスクが大きく影響します。
経済・政治リスク カンボジアは新興国ゆえに政治情勢やインフラ整備の不安定さが存在します。
政策変更や汚職問題などが投資に影響を及ぼす可能性があります。
情報の非対称性 不動産に関する最新情報がクメール語や英語で提供されることが多く、
正確な市場動向を得るのに時間とコストがかかる場合があります。

法制度の不透明さと権利関係で起こるトラブルとは

土地所有権の制限

カンボジアの憲法では外国人が土地を直接所有することは認められていません。そのため、「区分所有」が認められるコンドミニアム、あるいは現地企業との合弁による間接的な所有スキームなどが主流です。しかし、合弁スキームは契約書の内容や権利分配、撤退時の手続きなどが複雑化するリスクもあります。所有権や登記に関するトラブルはこうした法制度の曖昧さが背景にあることが多いです.

登記の信頼性と「ハードタイトル」「ソフトタイトル」「スポーツタイトル」

カンボジアでは主に3種類の所有権証書が存在します。
ハードタイトル(Hard Title):政府当局が正式に認可した公的な権利証で、最も信頼性が高い。
ソフトタイトル(Soft Title):地方自治体レベルの認可など、法的効力がやや弱い場合がある。
スポーツタイトル(Sports Title):ハードとソフトの中間的な立ち位置とされることがあるが、実態は地域や慣習によって差があり、必ずしも明確ではない。

タイトル種別認可主体信頼度特記事項
ハードタイトル (Hard Title) 政府当局 高い 正式登記が行われ、物件所有権がより明確 (政府による認可で、トラブル発生時の処理が比較的スムーズ)
ソフトタイトル (Soft Title) 地方自治体 中程度 慣習に基づく場合や法的効力が限定的な場合あり (現地行政レベルの発行のため、法的根拠が弱い可能性がある)
スポーツタイトル (Sports Title) ケースによる 中~高 地域や慣習によって大きく異なるため注意が必要 (ハードとソフトの中間的存在で、実態の確認が不可欠)

投資家がソフトタイトルやスポーツタイトルの物件に投資した場合、あとになって第三者から所有権を主張されるといったトラブルが起きる可能性があります。

事前調査・弁護士の重要性

不動産投資において契約書の精査やデューデリジェンス(物件の法的状況や所有権確認)は欠かせません。カンボジアの法制度や慣習は流動的な部分も多いため、現地の弁護士やコンサルタントと連携して最新の情報を入手し、リスクを洗い出しておくことが重要です。


為替リスク・経済情勢から見るカンボジア投資の不安要素

米ドルとリエルの二重通貨システム

カンボジアの大きな特徴は、米ドルとリエルの二重通貨システムが根付いている点です。都市部では米ドルが広く流通しており、日常生活でもドル建てでの取引が一般的です。しかし、地方や一部の取引ではリエルが使われる場面もあり、資金の出し入れや賃貸収入の通貨が複雑になることがあります。さらに、日本円で投資する場合には円ドルレートの変動リスクが常に付きまとうため、為替ヘッジや複数の通貨口座を使い分けるなどの対策が必要です。

カントリーリスクと政治的要因

カンボジアは新興国であるため、政治状況が安定しているかどうかが投資成否のカギとなります。選挙時の政局変動や汚職問題の表面化、あるいは労働問題など、投資家にとってはマイナス要因になりうる事柄が存在します。インフラ開発や公共事業もまだ十分に行き届いていない地域があるため、国内の政治・行政の動きには注意を払う必要があります。

景気変動と不動産価格への影響

2010年代の高成長期には、カンボジアの不動産価格は急速に上昇しました。しかし、世界的な経済情勢の変化やコロナ禍に伴う観光客減少など、外部要因が需要に大きな影響を与える点は見逃せません。主要産業である観光や縫製業が低迷した場合、不動産需要が落ち込んで価格が下落するリスクもあります。投資家は複数のシナリオを想定し、中長期的な視点で市場を分析することが大切です。


実際にあった失敗事例:原因と学ぶべきポイント

不動産投資で失敗した事例をイメージしたイラスト

事例1:不十分な契約書に起因する所有権トラブル

ある投資家は、購入したコンドミニアムの所有権が自分の名義で確立していると思っていましたが、実際にはソフトタイトルしか取得しておらず、後になって第三者から所有権を主張される事態に発展しました。追加の法的手続きと費用が必要となり、大きく予定が狂ってしまったのです。
学び:契約書・権利関係を現地弁護士にしっかり確認してもらい、ハードタイトルの有無や法的効力を慎重にチェックする必要があります。

事例2:為替リスクを甘く見た結果の利益減

米ドル建ての物件を日本円で投資したケースで、購入時期の円ドルレートを深く考慮せずに投資した結果、想定以上の円安・円高により支出・利益計算が大きく乱れたという事例があります。賃料収入や売却益をドル換算で考えていたため、円に転換する段階で思わぬ損失が生じたのです。
学び:投資前に複数の為替変動シナリオをシミュレートし、必要に応じて為替ヘッジ策を講じることが重要です。

事例3:仲介会社の倒産で連絡が取れなくなる

カンボジアの不動産取引に不慣れな投資家が、知人の紹介だけで仲介会社を選んだ結果、その会社が突然倒産。管理や家賃送金が途切れ、テナント対応もできないまま物件の価値が下がってしまったという事例です。
学び:仲介会社を選ぶ際には実績や評判を徹底的に調べ、万が一のトラブルに備えて複数の連絡経路や管理体制を確保しておくことが大切です。


トラブルを防ぐための物件選定・現地調査のコツ

立地選びは都市部を中心に検討

カンボジアでは、プノンペン、シェムリアップ、シアヌークビルなどの主要都市に需要が集中しており、地方や郊外部ではテナント確保や売却が難しいケースが多々あります。投資初心者の場合、まずは人口や経済活動が活発な都市部を中心に物件を探すのが無難でしょう。

物件の完成度や施工品質をチェック

急速に開発が進むカンボジアでは、建築基準や施工品質にばらつきがあるのが現状です。大規模なコンドミニアムやホテルでも完成が遅延したり、品質が原因で引き渡し後に修繕費がかさむケースがあります。物件見学や、専門家による建物診断などを通じて施工品質を十分に確認することが大切です。

周辺インフラとコミュニティの確認

カンボジアはまだインフラ整備が遅れている地域も多く、道路や公共交通機関、上下水道、電気・通信インフラなどが不十分な場合があります。物件を選定する際には、将来的な再開発計画や治安状況、生活利便性を含め、総合的に調査する必要があります。最終的に売却を検討する際の資産価値にも直結するため、周辺環境の質は見逃せません。


仲介会社・パートナー選びで重要視すべきポイント

実績と専門知識を確認

カンボジアの不動産仲介会社は玉石混交のため、法人としての実績や外国人投資家向けの取引事例を多く持つ会社かどうかを確認しましょう。インターネット上の広告だけでは判断が難しいので、可能であれば現地を訪れ、オフィスの所在地やスタッフの対応などを直接チェックすることをおすすめします。

コミュニケーション体制と言語

契約書の作成や物件管理でのやり取りにおいて、英語・クメール語・日本語など複数言語が絡んでくる場合があります。コミュニケーション不良が生じると、トラブル対応や家賃回収が滞る可能性が高まります。日本語対応スタッフがいる会社や、通訳・翻訳サービスを利用できる体制が整っているかどうかを事前に確認しましょう。

透明性と手数料の妥当性

仲介手数料や物件管理料などの料金体系が明確かつ妥当であることを確認するのは基本です。複数の仲介会社から見積もりを取り、極端に高額な費用が請求されないか注意を払いましょう。とくに海外投資に不慣れな投資家の場合、曖昧なコスト設定によって損失を被るリスクが高まります。


リスクを最小限に抑えるための対処法と予防策

1. 専門家との連携

カンボジアの不動産市場に精通した弁護士や不動産コンサルタント、会計士などの専門家と連携し、契約書や所有権のチェック、納税手続きなどをサポートしてもらうことは必須といえます。最新の法改正情報や条例に対応できる体制を整えておきましょう。

2. 情報収集と定期的な現地視察

海外不動産投資では、情報の非対称性が大きなリスク要因です。英語やクメール語の情報源をフォローするだけでなく、定期的に現地を訪れ、都市の変化や物件の運用状況を自分の目で確かめることが重要です。信頼できるネットワークがあれば、最新の開発情報や優良物件をいち早くキャッチできます。

3. 投資ポートフォリオの分散

1カ国だけに投資を集中すると、政治・経済情勢の急変リスクが大きくなります。株式や債券など他の資産クラスとの分散投資、あるいは複数の国・地域への分散を検討することで、全体のリスクを低減できるでしょう.

4. 保険や保証制度の活用

カンボジアでの保険商品はまだ発展途上の面がありますが、火災保険や損害保険、修繕保証などを提供する大手グローバル保険会社も存在します。契約条件を比較検討し、万が一のトラブルに備えておくことはリスク管理の要です。


売却や出口戦略を考慮した投資プランの立て方

どのタイミングで売るべきか

不動産投資の成否は「安く買って、高く売る」または「安定した賃料収益を得る」ことにかかっています。カンボジアは今後もインフラ開発などで成長が見込まれる一方、観光・縫製産業などが不調に陥るシナリオも考えられます。数年後の再開発計画や経済見通しを踏まえ、物件購入の時点から出口戦略を練っておくことが重要です。

中長期保有か短期転売かの選択

多くの投資家は長期的に保有して賃料収入を得ながらキャピタルゲインを狙う戦略をとります。しかし、開発ラッシュで短期的に値上がりしている地域や物件も存在するため、短期転売という手段も視野に入るでしょう。ただし、仲介手数料や税金、売却時期の需要動向などを考慮し、慎重にリスクとリターンを比較する必要があります.

代替出口としての「借り換え」や「共同投資」

不動産を売却せずに、ローンの借り換えで資金を確保し、他の投資に回すことも一つの選択肢です。また、近年はファンド形式や複数投資家による共同購入など、資金を集めてグレードの高い物件に投資するスキームも増えています。こうした柔軟な出口戦略を組み合わせることで、思わぬ局面にも対応しやすくなるでしょう.


税制面・諸経費から見る投資コストの実態

所得税・キャピタルゲイン課税

カンボジアでは賃料収入に対して10〜20%前後の所得税が課される場合があります。加えて、2020年7月から導入されたキャピタルゲイン税は、一律20%となりました。ただし、特定の条件を満たす場合は軽減措置が適用される可能性があるため、最新の税制情報を確認し、適切に申告・納税を行う必要があります。

物件取得時の諸費用

コンドミニアムなど新築物件を購入する際には、デベロッパーへの契約金や仲介手数料、登記費用などが必要です。また、カンボジアでは不動産取得税(Transfer Tax)が物件価格の4%で固定されており、これを見落とすと初期投資額が大きく膨れ上がります。こうした諸費用をしっかり把握したうえで投資計画を立てましょう.

運用時の管理費・メンテナンス費用

コンドミニアムでは共用部分の管理費やメンテナンス費用、修繕積立金などの支出があります。プールやジムなどが充実している物件ほど管理費が高い傾向にあるため、利回りに与える影響を正確に試算することが必要です。また、入居者募集や賃貸管理を委託する場合の手数料など、運用時にかかる費用も考慮しましょう.


投資前に知っておきたいカンボジアの文化・商習慣

礼儀やコミュニケーションの取り方

カンボジアは仏教を基盤とした文化を持ち、礼儀や伝統を重んじる風土があります。ビジネスシーンでも、相手を立てる姿勢や遠回しな表現を好むなど、国によって異なるコミュニケーションスタイルに配慮が必要です。英語が通じる若い世代も増えてはいますが、全員が流暢に話せるわけではないため、必要に応じて通訳や翻訳を手配することを検討しましょう.

時間感覚と契約文化の違い

日本では時間厳守が当たり前ですが、カンボジアでは多少ゆるやかな感覚がある場合があります。契約交渉が長引いたり、スケジュール通りに進まないことも珍しくありません。また、口約束を重んじる風土が一部残っており、正式契約を交わすまで気が抜けない面もあります。投資家としては、リスク管理のために必ず文書で契約を取り交わす姿勢を貫くことが望ましいでしょう.

汚職や贈答文化への注意

カンボジアは汚職リスクが高い国の一つとされ、国際的な腐敗認識指数(CPI)では2022年時点で180カ国中150位と、依然として改善の余地が大きい状況です。政府や公務員との手続きを行う際に、不透明な金銭の要求が発生する可能性も否定できません。ただし、国際的な批判を受けて汚職対策も進められており、都市部や大手不動産関連企業ではコンプライアンス意識が高まりつつあります。投資家としては、疑わしい場面に遭遇したら速やかに専門家や信頼できるパートナーに相談してください.


リスクとリターンを踏まえたカンボジア不動産投資の将来展望

インフラ整備と観光需要のさらなる拡大

カンボジア政府や国際機関によるインフラ整備プロジェクトが着実に進めば、道路網や公共交通機関、空港拡張などが充実し、地域全体の利便性が向上することが期待されます。観光客数は2019年の約660万人に比べるとまだ大幅に減少した状態ですが、2023年以降の海外旅行再開や国際線の増便により、ホテルやサービスアパートメントへの需要が再び高まる可能性があります.

地方都市や周辺地域への投資チャンス

プノンペンやシェムリアップなど主要都市への投資が活発ですが、近年はシアヌークビルをはじめとする周辺地域や地方都市にも注目が集まりつつあります。地価が比較的安価な地域に早期参入して将来的な値上がり益を狙う手法もありますが、その分リスクも高まるので注意が必要です。綿密な現地調査と将来の開発計画の把握が欠かせません.

リスク管理が成功の鍵

カンボジアは魅力的な成長ポテンシャルを持つ一方、法整備の遅れや汚職リスク、政治的リスク、為替リスクなど、新興国ならではの不確実性が存在します。こうしたリスクを正しく理解し、信頼できる専門家や現地パートナーと協力して投資プロセスを進めることが、成功へとつながる最短ルートと言えるでしょう.


まとめ

カンボジア不動産投資は、2010年代に目覚ましい成長を遂げた実績やドル・リエル併用の通貨体制、観光需要の今後の回復見込みなど、多くの魅力を備えています。一方で、法制度の未成熟さや為替変動、情報の非対称性といったリスク要因は避けて通れません。実際に失敗した投資家の事例からも、所有権トラブルや仲介会社の倒産、為替リスクへの甘い見積もりといった課題が浮き彫りになっています.

しかし、正確な情報収集と現地調査、そして専門家との連携をしっかり行うことで、これらのリスクを大きく低減しながらカンボジアの成長恩恵を享受することは十分可能です。以下のステップを踏むことが推奨されます。

  • 法制度や登記の理解:ハードタイトル、ソフトタイトル、スポーツタイトルの違い、外国人所有の制限などを事前に把握
  • 投資目的の明確化:キャピタルゲイン狙いか賃貸収入狙いかによって物件選定や売却戦略が大きく変化
  • 専門家・仲介会社選び:信頼できる実績豊富な会社を探し、手数料やサービス内容の透明性をチェック
  • 定期的なモニタリング:現地を訪問し、経済動向・政治情勢・為替リスクに柔軟に対応できる体制を整える
  • リスク分散:投資金額や投資対象を複数に分け、一極集中を避けることでリスクを抑制する
ステップ1
情報収集
ステップ2
専門家依頼
ステップ3
現地調査
ステップ4
リスク分散
ステップ5
出口戦略

2023年現在、コロナ禍からの回復途上にあるカンボジアの都市開発には、まだまだ伸びしろがあります。今後の経済成長や観光需要の回復、インフラ整備の進捗次第では、大きなリターンを得られる可能性があるでしょう。その一方で、汚職リスクや政治的リスクなどは依然として課題が残っており、新興国特有の不確実性をしっかりと把握する姿勢が求められます.

海外不動産投資には「正確な情報」と「人的ネットワーク」が欠かせません。現地の最新事情をアップデートし、複数の専門家や現地パートナーと連携することで、リスクを管理しながら投資を進めることが成功の鍵です。カンボジアの成長ポテンシャルを味方につけ、リスクを理解しつつ魅力ある投資ライフを構築してみてはいかがでしょうか。

執筆者

高橋 卓のアバター 高橋 卓 海外不動産のオクマン 代表

2014年:はぐくみカンパニー株式会社、代表取締役に就任
2017年:株式会社純な、代表取締役に就任
2018年:はぐくみカンパニーカンパニー株式会社を株式譲渡し退任
2023年以降:日本企業の進出コンサルティングと海外不動産メディアの運営に注力(バンコクのベイカリーショップ、小麦の王国立ち上げ等)

現在バンコク在住。海外不動産投資のことならお気軽にご相談ください。

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