カンボジアの不動産エージェント・仲介会社を選ぶ5つのポイント!

この記事では、カンボジアの不動産市場や最新の法規制、リスクに関する情報を織り交ぜながら、不動産エージェント(仲介会社)の選び方を解説します。カンボジア特有の制度や市場動向を理解し、優良エージェントを見極めることで、リスクを最小限に抑えながら不動産投資を成功に導けるはずです。
【導入】なぜカンボジアの不動産エージェント選びが重要なのか
近年、カンボジアは東南アジアの中でも投資家から注目を集めている新興国の一つです。観光業や縫製業など既存の産業に加え、建設ラッシュとインフラ開発が進むことで、首都プノンペンや観光都市シェムリアップ、港湾都市シアヌークビルを中心に不動産への需要が拡大してきました。
実際、カンボジアの経済成長率は2022年に5.2%、2023年には5.5%まで回復し、さらに2025年には6.1%、2026年には6.4%に達すると予測されているといわれます。成長の余地が大きい一方で、都市部では供給過剰や需要の伸び悩みが問題視されはじめ、2025年頃まで市場が厳しい状況になるとの見方も出ています。こうした不透明感のある市場環境では、投資家が単独で情報を集め、適切な判断を下すことは決して容易ではありません。
また、カンボジアでは外国人が土地を直接所有することは禁じられており、コンドミニアムなどの区分所有においても「建物全体の70%を上限とし、2階以上の区画に限る」といった特有の制限があります。さらに契約書の言語や法令の解釈、通貨(ドル/リエル)に関するリスクなど、他国にはない独自のルールやリスクが存在します。
そこで重要になるのが、現地事情を深く理解し、最新法規制や商慣習を把握したうえで投資家に代わって調査・交渉を行ってくれる不動産エージェント(仲介会社)の存在です。本記事では「カンボジアの不動産エージェント・仲介会社を選ぶ5つのポイント!」を軸に、カンボジア投資の要となる法規制やリスク対策、チェックすべき情報などをまとめてご紹介します。
カンボジア不動産市場の現状:投資機会とリスク
カンボジアのGDP成長率推移

経済成長とインフラ開発
カンボジアは、急速な経済成長が期待される国として注目を浴びてきました。2022年に成長率が5.2%に回復し、2023年には5.5%とさらなる上昇が見込まれています。今後、2025年には6.1%、2026年には6.4%に達するとの予測もあり、成長余地の大きさが魅力となっています。
一方で、不動産市場に目を向けると、高層ビルや大規模商業施設などの建設が相次いだ結果、供給過剰が懸念されているエリアも増えてきました。特にプノンペン都心部では、大型コンドミニアムや商業施設が供給される一方、パンデミック後の景気回復がまだ追いつかず、需要の低迷が続くセクターもあると言われています。市場の回復時期については、2026年以降が一つの目安とされる見方もあるため、短期転売(キャピタルゲイン狙い)には慎重な姿勢が求められます。
不動産投資の魅力とリスク
魅力
- 他の東南アジア諸国と比べると、まだ不動産価格が割安とされるエリアが存在する
- 政府や海外企業による投資拡大で、長期的な経済成長が期待される
- カンボジア国内ではドル経済が浸透しており、家賃収入や取引の多くが米ドル建てで行われる
指標 | 数値(目安) | 備考 |
---|---|---|
総人口 | 約1700万人(2022) | 若年層が多く労働力豊富 |
名目GDP | 約280億ドル(2021) | 工業・サービス業が拡大中 |
主要産業 | 縫製業、観光業等 | 不動産・建設セクターも成長 |
1人当たりGDP | 約1600ドル(2021) | 年々増加傾向 |
通貨 | リエル(KHR) / 米ドル | 市場取引の多くがドル建て |
リスク
- 市場の成熟度が低く、情報公開が不十分なケースが多い
- 政治・経済情勢の変動や、法整備の不透明さが依然として存在
- 為替リスク:日本円からドルへ交換する際の変動リスクが残る。さらに一部ではリエルが使われる場合もあり、完全なリスク回避は難しい
- 供給過剰による賃貸需要や価格の伸び悩み
- 名義貸し規制(Sub-Decree 111)が導入され、外国人が間接的に土地を所有することが難しくなった
こうしたリスク要因をしっかり理解し、投資判断するうえで必要なのが、現地情報を正しく提供してくれる信頼できるエージェントです。法的リスクを含めた詳細な説明や契約サポートが受けられるかどうかが、投資成功の分岐点になります。
ポイント1:実績豊富で専門知識があるかを見極める
実績と評判のチェック方法
最初に重視すべきなのは、エージェントや仲介会社の実績と評判です。具体的には、以下の観点でチェックしましょう。
- 過去に扱った物件数・契約数
- 日本人など外国人投資家との取引実績
- 公式サイトやSNS、口コミサイトの評価
- 現地オフィスの所在地やスタッフの対応レベル
カンボジアは法整備や市場がまだ成長途上であるため、新規参入した仲介会社も多く存在します。短期間で撤退する業者も少なくないので、必ず企業の設立年数や運営実績を確認し、連絡した際の対応スピードや質も見極めることが重要です。
専門知識の例:法律・契約形態・マーケットインサイト
カンボジアには、独特の法律や契約形態があります。たとえば以下の点を理解し、丁寧に説明できるエージェントかどうかを見極めてください。
- 外国人が土地を直接所有できないことや、コンドミニアム所有の70%規定・2階以上の制限
- ハードタイトル・ソフトタイトル・スポーツタイトルという異なる土地権利証書制度
- 不動産取得税(Transfer Tax)4%や、2020年7月に導入が決定しつつも2025年12月31日まで施行が延期となったキャピタルゲイン税(20%)の存在
- 現在進行中のインフラ開発や主要エリアの賃貸需要などのマーケット動向
投資家が把握しづらい情報をわかりやすく整理し、最新動向をアップデートしてくれるエージェントは、専門知識の蓄積と市場調査に力を入れている証拠と言えます。
ポイント2:法規制や契約周りをきちんとサポートしてくれるか
外国人投資家向けの法規制
カンボジアでは、外国人が土地を直接所有できないのが大原則です。コンドミニアムなどの区分所有については、外国人が所有できる範囲が建物全体の70%まで、かつ地上階(1階)を除く2階以上に限定されます。これにより、マンションの1階部分は外国人は所有できないこととなるため、物件選びには慎重な検討が必要です。
外国人によるカンボジア不動産所有フロー
できない(カンボジア憲法第44条などで制限)
可能(ただし下記条件あり)
- 建物全体の70%までが外国人所有可
- 2階以上(地上階の所有は不可)
原則禁止。違反すると契約無効リスクが高まる
- 不動産取得税(Transfer Tax):4%
- キャピタルゲイン税(20%):
2025年末まで施行が延期中
さらに、Sub-Decree 111によって名義貸しを通じた間接的な所有が以前より厳しく規制されており、ペーパーカンパニーや個人名義を使った迂回的な所有形態はリスクが高まっています。最新の法改正を把握せずに進めてしまうと、後々の契約無効や強制売却につながる可能性もあるため、必ず法規制に精通したエージェントのサポートを受けましょう。
契約書の翻訳・法律専門家との連携
多くの契約書は英語やクメール語で作成されますが、日本語訳が必ずしも用意されているとは限りません。専門用語や法律を正しく理解しないまま署名すると、後々トラブルになるリスクも高いでしょう。優秀なエージェントであれば、日本語翻訳や契約内容のポイントを丁寧に説明してくれます。
加えて、必要に応じて弁護士や司法書士など法律の専門家を紹介してくれるかどうかも大切な判断材料です。特に登記関連では、ハードタイトルやソフトタイトルの扱い、さらにはスポーツタイトルという中間的権利証書の有効性など、一般投資家には判断が難しい事項が多く含まれます。法律面に強いエージェントや提携先があれば安心度が高まります。
ポイント3:コミュニケーションとサポート体制は十分か
コミュニケーションの重要性
カンボジアと日本の時差は約2時間ほどですが、言語や文化の違いがコミュニケーションを複雑にする場合があります。大きな投資をするうえで疑問や不安を速やかに解消できないと、リスクを見逃したり、適切な判断が遅れたりする可能性が高まるでしょう。
優れたエージェントは、問い合わせに対するレスポンスの早さや、難解な専門用語を噛み砕いて説明する力に長けています。日本語スタッフが常駐しているか、英語であってもスムーズなやり取りができる体制があるかなど、事前にしっかり確認しましょう.
物件引き渡し後のサポート
契約締結や物件引き渡しが終わったあとも、オーナーとして税金の支払いや賃貸管理、修繕手配といった業務が継続して発生します。海外在住の投資家にとっては、現地の管理会社とのやり取りやトラブル対応が大きな負担になるかもしれません。
そのため、エージェントがアフターサービスを提供しているかどうか、具体的には以下のようなポイントを確認しましょう。
- 賃貸募集やテナント対応、家賃回収などを含む賃貸管理サービス
- 修理やメンテナンスの手配、費用見積りの相談などの修繕サポート
- 物件管理報告書の定期的な送付や、緊急時の日本語サポート窓口
これらが整備されているエージェントを選べば、遠隔地からの不動産運用のハードルが大きく下がります。
ポイント4:現地ネットワークと情報力の違いを比較する
地域・開発業者とのパイプ
カンボジアの不動産情報は、日本のように一元管理されていないため、地域やディベロッパー(開発業者)ごとに断片的な情報が流通しています。優秀なエージェントは、長年の取引実績や現地での広い人脈を通じて、一般には流通しないプレセール物件や開発予定情報を入手していることが多いです。
また、不動産会社や金融機関、行政とのパイプが強いエージェントは、融資条件の優遇や、特別な割引、迅速な契約手続きを実現できる可能性があります。このような人脈や情報力は、投資成功の大きな要素となるでしょう。
価格交渉や追加サービスへの影響
コンドミニアムやサービスアパートメントを購入する際には、価格交渉が結果を左右することがあります。提示された額が相場より高い場合、信頼できるエージェントは開発業者や売り主と交渉し、値引きや家具家電の無償提供、管理費の一定期間割引などの特典を引き出してくれるでしょう。
一方、情報力や交渉力が乏しいエージェントに依頼してしまうと、割高な契約や不利な条件を受け入れるリスクが高まります。エージェントのネットワーク力や交渉実績を事前に確認することが重要です。
ポイント5:費用やサービス内容のバランスは適正か
仲介手数料の仕組み
カンボジアで不動産を購入する場合、仲介手数料や諸経費が発生します。手数料率は日本と異なる形態が多く、例えば売買価格の数%を手数料として設定していたり、物件の種類や契約規模に応じて変動したりします。
注意すべきは、「手数料が安い=優良エージェント」とは限らない点です。安さを強調するあまり、サービス内容が著しく不足していたり、アフターサポートが無かったりするケースもあるため、費用対効果のバランスを見極めることが大切です。
契約前に要確認:見積もりとサービス範囲
契約締結前に、見積書や契約書にサービス範囲と費用がきちんと明記されているかを確認することで、後からの追加請求やサービス不足トラブルを防げます。具体的には以下のような項目をチェックしましょう。
- 仲介手数料の内訳と計算方法
- 契約書類の作成や翻訳費用の有無
- 物件引き渡し後のサポート内容(賃貸管理、修繕手配、税務相談など)
- 不動産取得税(4%)やその他の行政手続き費用
- キャピタルゲイン税(20%)導入スケジュール(2025年末まで延期中)への対応策
不明点や不安がある場合は、契約書類にサインする前に必ずエージェントに質問してください。誠実なエージェントであれば、誤魔化さずに丁寧に説明してくれるはずです。
失敗しないためのエージェント選びチェックリスト
上記のポイントを踏まえ、エージェント選びで見落としがちな点をチェックリストとしてまとめました。複数のエージェントに相談しながら比較検討すると、失敗リスクが大幅に減少します。
会社の実績・評判
設立年数、過去の契約数、日本人投資家との取引実績は十分か
オンラインの口コミ、SNS上での評価はどうか
専門知識・法規制理解
外国人が所有可能なコンドミニアムの制限や名義貸し規制への最新情報を把握しているか
ハードタイトル・ソフトタイトル・スポーツタイトルなどの登記制度をきちんと説明できるか
コミュニケーション体制
日本語または英語での円滑な対応が可能か
レスポンスや進捗報告が迅速かつ丁寧か
ネットワーク力
開発業者、金融機関、行政機関などとのパイプがあるか
未公開物件や優遇融資の情報など、独自の付加価値を提示してくれるか
手数料・サービス内容の明確化
仲介手数料の仕組みと金額が妥当かどうか
アフターサービス(管理、修繕、賃貸サポートなど)の範囲を明確に提示しているか
カンボジア不動産投資で注意したいリスクと対策
リスク1:政治・経済情勢の不透明さ
カンボジアは先進国と比べると法整備や社会インフラが未成熟であり、選挙や国際関係の影響を受けやすい面があります。急な規制変更や通貨リスクが表面化する可能性も否定できません。投資額の分散や、最新情報の定期的なチェック、安易な長期投資に踏み切らないなどのリスクコントロールが重要です。
リスク2:開発プロジェクトの頓挫
大規模な開発プロジェクトが多いカンボジアですが、すべてが予定通り完了するわけではありません。開発中に資金不足や行政許可の問題が発生し、中断・頓挫するケースもあります。契約前にディベロッパーの財務状況や過去プロジェクトの実績を調べるのはもちろん、エージェントから追加情報を得るようにしましょう。
リスク3:管理・運営のトラブル
物件を保有する以上、賃貸管理や修繕対応、税務申告などの長期的な運営が必要になります。遠隔地からの管理となる場合、現地管理会社の対応が資産価値や利回りに直結すると言っても過言ではありません。エージェントが紹介する管理会社の実績や費用も含め、複数社を比較検討して信頼できるパートナーを見つけることが肝要です。
【事例紹介】成功者の声から学ぶエージェント活用法

事例:Aさん(日本在住・40代ビジネスマン)の場合
- 投資対象:プノンペン中心部のコンドミニアム1室
- 物件価格:約10万ドル(約1300万円相当)
- エージェント選定:日系を含む3社に相談
- 決め手:
- 日本語スタッフが在籍し、やり取りがスムーズ
- 名義貸し規制などの最新法改正に詳しく、リスク回避策を丁寧に説明してくれた
- 家具セットや管理費割引など、開発業者との交渉で追加サービスを獲得できた
Aさんは当初、他のエージェントで提示された物件の購入を検討していたものの、複数社を比較するなかで、より割安で条件の良いコンドミニアムの情報にたどり着きました。実際に現地視察を行い、内装や周辺インフラの整備状況、管理会社のサービス水準を確認したうえで契約に踏み切りました。
購入後は賃貸需要が順調に推移し、年間利回り6%程度をキープ。2026年以降の市場回復が進めばキャピタルゲイン(売却益)も期待できるとされています。Aさんは「自分では知らなかった名義貸し規制のリスクを回避し、納得の条件で契約できたのは、エージェントの情報提供と交渉力のおかげ」と語っています。 この事例からも分かるとおり、比較検討と情報収集、そしてエージェントの交渉力は投資成果に直結するポイントです。
不動産エージェント以外に相談できるサポート先
カンボジアで不動産投資を行う際、エージェントだけでなく必要に応じて専門家のサポートを受けることで、より安心して投資を進められます。以下に代表的なサポート先を挙げます。
弁護士・司法書士
契約書のリーガルチェック、所有権の確認、紛争時の代理人など
カンボジアではハードタイトル・ソフトタイトル・スポーツタイトルが混在するため、専門知識が不可欠
会計士・税理士
資産所得や税務申告をサポート
キャピタルゲイン税(2025年末まで延期中)について最新動向を把握
金融機関(銀行)
ローン利用時の相談窓口
円/ドル為替のリスク管理や送金手数料を含めた金融プランニング
行政機関・投資促進機関
カンボジア開発評議会(CDC)などから公的情報を収集
大使館や領事館を通じた安全情報やビザ関連手続きを確認
不動産管理会社・プロパティマネジメント会社
賃貸管理や修繕、日常的な維持管理を専門的に代行
エージェントのアフターフォローだけでカバーしきれない部分を補完
こうした専門家や機関を組み合わせることで、法務・税務・資金調達など、さまざまなリスクを多角的に検証できるようになります。
まとめ:理想のエージェント選びでカンボジア投資を成功させよう
カンボジアは、経済成長率の高さや割安感のある不動産価格帯など、多くの投資家を惹きつける魅力を持つ国です。一方、法整備の不備や供給過剰の懸念、名義貸し規制の強化など、リスクや注意点も少なくありません。だからこそ、現地事情を深く理解し、最新法規制を把握しつつ、サポート体制の整った優良エージェントの存在が、投資成功の鍵を握ります。
- 実績・評判を徹底的に調べる
- 外国人所有制限や名義貸し規制などの法的リスクへの理解を確認する
- コミュニケーションやアフターサポートの質を見極める
- 現地ネットワークと情報力を比較する
- 費用対効果が納得できるか確認する
上記の5つのポイントを軸に、複数のエージェントを比較検討することで、最適なパートナーを見つけやすくなります。さらに、弁護士や税理士、管理会社といった専門家と連携することで、契約リスクや運用リスクを最小限に抑えることが可能です。
不動産投資には常にリスクが伴いますが、正しい知識と頼れるエージェントのサポートがあれば、そのリスクを管理しながらリターンを追求できるでしょう。カンボジア不動産市場の先行きには不透明な部分もありますが、長期的な経済成長の期待がある限り、魅力的な投資先であることは変わりありません。ぜひ、本記事で紹介したポイントを参考に、理想的なエージェントを選び、カンボジア投資を成功へと導いてください。