拡大するカンボジアの不動産賃貸市場の最新動向。投資チャンスを探る

カンボジア・プノンペンの中央市場(Psar Thmei / プサー・トゥメイ) と高層ビル群
目次

カンボジア不動産賃貸市場が拡大する背景とは?

カンボジアはここ数年、東南アジアの新興国の中でも特に高い注目を集める国の一つとなっています。その背景としてまず挙げられるのは、政治的安定と比較的高い経済成長率です。内戦を経て1990年代後半から再建の道を歩み始めたカンボジアは、海外からの支援や投資を積極的に受け入れる姿勢を示してきました。結果として、外資企業の進出が加速し、国内産業の多角化や都市部の開発が進行しています。

さらに、カンボジアは国民の平均年齢が若いことでも知られており、大量の若年労働力が産業を支える要因となっています。特に、都市部への人口流入が進む首都プノンペンや観光地であるシェムリアップ、港湾都市として注目のシアヌークビルなどでは、インフラ整備の加速とともに住宅需要が急増。これに伴い、不動産開発プロジェクトや賃貸物件の供給が一気に増えました。

カンボジアの人口ピラミッドや若年層イメージ

合計人口:約1,700万人前後(2023年時点推計)

また、カンボジア政府が外貨建て取引を奨励し、米ドル(USD)を実質的にセカンド通貨として認めていることも、外国人投資家にとって魅力的なポイントとなっています。賃貸契約や物件売買においても米ドルが主体であり、為替リスクを比較的抑えやすいという面があります。

その結果、海外からの投資資金が流入し、都市部の地価や家賃相場も右肩上がりを続けています。特にプノンペン中心部では、高級コンドミニアム建設ラッシュが見られ、利回りも高止まりする傾向にあります。このようにさまざまな要素が絡み合い、カンボジア不動産賃貸市場は近年大きく拡大しているのです。

最新家賃相場と契約形態:物件選びで押さえておきたい基礎知識

カンボジアの賃貸物件には多様な価格帯や契約形態が存在します。とくにプノンペン中心部では、高級サービスアパートメントからローカル向けアパートまで幅広い選択肢があり、その分家賃相場も大きく変動します。

家賃相場の一例

  • プノンペン中心部(BKKエリアなど)
    1ベッドルームの高級コンドミニアムで月500~1,000USD前後。2ベッドルーム以上となると1,000USD~2,000USD超える物件も珍しくありません。
  • ローカル向けアパート(郊外)
    築年数や設備にもよりますが、月300USD程度から探せる場合があります。
  • シェムリアップ・シアヌークビル
    地域によってはプノンペンと同等、もしくはそれ以上の家賃が設定されている物件も存在。特に観光エリアや海沿いのリゾート物件は高価格帯になる傾向が強いです。

2025年の最新データによると、プノンペンの高級コンドミニアムの販売価格は平均2,650USD per平方メートルとなっています。また、Aグレードのサービスアパートメントの賃料は平均19.3USD per平方メートルです。

契約形態

  • 短期賃貸
    観光客や短期出張者向けに、1週間~1か月単位で貸し出す形態。Airbnbのような民泊プラットフォームを利用する投資家も増えています。
  • 長期賃貸
    一般的には1年契約で、契約更新時に家賃の見直しが行われることが多いです。保証金(デポジット)は家賃1~2か月分が相場です。
  • サービスアパートメント
    家具・家電付き、光熱費込みなどの物件が多く、外国人駐在員などに好まれます。その分、家賃は割高になる傾向があります。

契約の際は、契約書をクメール語(カンボジア語)か英語で作成することが一般的です。細かいトラブルを避けるためにも、内容をしっかり把握したうえで契約を結ぶようにしましょう。

メリットとリスクを徹底比較:カンボジア賃貸投資の成功要因

カンボジア不動産への賃貸投資には、大きな可能性がある一方で見逃せないリスクも存在します。ここでは、メリットとリスクを整理してみます。

メリット

  • 高い利回りを期待できる
    新興国ならではの成長余地があり、プノンペン中心部などは10%前後の高利回りを狙えるケースもあります。
  • 参入障壁が比較的低い
    物件価格がまだ周辺国(タイ・ベトナムなど)に比べて安い傾向があり、初期投資額を抑えやすいです。
  • 外国人にも開放的な市場
    コンドミニアム所有が認められるなど、法整備が進んでおり、海外投資家が比較的スムーズに参入できる環境です。

リスク

  • 法整備の未成熟
    先進国に比べて法律や規制が変わりやすく、紛争時の裁判制度が整っていない面があります。
  • 過剰供給リスク
    地域によっては新築物件が大量に供給され、将来的に空室率が高まる可能性が指摘されています。
  • 管理面の不安
    賃貸事業を円滑に行うには、信頼できる管理会社や現地パートナーが不可欠です。管理体制が不十分だと家賃未払い・物件損傷などのリスクが上昇します。

2025年の最新データによると、オフィスの占有率は65.1%、小売スペースの占有率は61.8%と、需要の低下が見られます。これは投資家にとって潜在的なリスクとなる可能性があります。

成功のためには、投資目的を明確化し、信頼できる専門家のサポートを受けながら、複数物件・エリアへの分散投資を検討するなどリスクヘッジを講じることが重要です。

まとめ:拡大するカンボジア賃貸市場を制する投資戦略

カンボジアの不動産賃貸市場は、政治的安定と高い経済成長、そして若年層人口の豊富さを背景に、今後も拡大が期待されます。主要都市であるプノンペン、シェムリアップ、シアヌークビルはそれぞれ異なる魅力と投資チャンスを秘めており、インフラ整備の加速と外国資本の流入がさらなる市場拡大を後押しするでしょう。

一方で、法整備の未成熟や過剰供給リスク、現地管理の難しさなど、押さえておくべき注意点も少なくありません。こうしたリスクを適切にコントロールするためには、

  • 綿密な情報収集と現地視察
  • 信頼できる管理会社・専門家との連携
  • 長期目線と分散投資によるリスクヘッジ

が欠かせません。カンボジアはまだまだ発展途中でありながら、外国人に開かれた市場という点で大きな魅力を持つ国です。賃貸需要が高まるエリアを的確に見極め、多角的な視点から物件を選定できれば、高い利回りと将来の資産価値上昇という恩恵を同時に狙うことも可能です。

東南アジアの中でも成長余地の大きいカンボジアで、不動産賃貸投資に乗り出してみたい方は、ぜひ本記事の情報を参考に、自分の投資スタイルに合った最適な戦略を立ててみてください。適切な準備と慎重な判断を重ねることで、拡大を続けるカンボジア賃貸市場を制するチャンスをしっかりとつかむことができるはずです。

執筆者

高橋 卓のアバター 高橋 卓 海外不動産のオクマン 代表

2014年:はぐくみカンパニー株式会社、代表取締役に就任
2017年:株式会社純な、代表取締役に就任
2018年:はぐくみカンパニーカンパニー株式会社を株式譲渡し退任
2023年以降:日本企業の進出コンサルティングと海外不動産メディアの運営に注力(バンコクのベイカリーショップ、小麦の王国立ち上げ等)

現在バンコク在住。海外不動産投資のことならお気軽にご相談ください。

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