不動産投資家向けの「プノンペン中心部のエリアガイド」:首都ならではの不動産物件の魅力と最新情報

プノンペンはカンボジアの首都であり、近年急速な都市開発により不動産投資先として注目を集めています。 中心部には外国人駐在員や富裕層に人気のエリアが点在し、それぞれ独自の特徴と市場相場があります。

本記事ではプノンペン中心部のエリアガイドとして主要地域の特徴と相場、最新の不動産投資動向と市場予測、そして投資後の出口戦略(転売・賃貸運用)について解説します。カンボジア不動産市場の現状を把握し、賢い投資判断に役立ててください。

目次

エリア別の特徴と相場

プノンペン中心部には複数の主要エリアがあり、それぞれ居住者層や物件タイプ、賃料・価格帯に違いがあります。代表的なエリアであるBKK(ボンケンコン)、ダウンペン、トゥールコック、リバーサイドについて、その特徴と不動産相場を見ていきましょう。

BKK(ボンケンコン)エリア

BKKはBoeung Keng Kang(ボンケンコン)の略称で、プノンペン随一の高級住宅街として知られるエリアです。特にBKK1は「外国人居住区」とも呼ばれ、1990年代以降に国際NGOや各国大使館が集まり始めた歴史があり、多くの外国人駐在員が住む人気地区です。周辺にはレストランやバー、ショッピング施設などが充実しており、都市の商業・文化の中心地でもあります。高級コンドミニアムやサービスアパートが建ち並び、ビラ風の邸宅も一部残っていますが、近年は老朽家屋が次々と高層コンドミニアムに建て替えられています。

居住者層と生活環境

BKKエリアには欧米やアジア各国からの駐在員や起業家、富裕層のカンボジア人が多く居住しています。 インターナショナルスクールや各国大使館も所在し、治安が比較的良くインフラも整っていることから「安全で暮らしやすい高級エリア」と評価されています。カフェやレストランは国際色豊かで、24時間営業の店舗や高級スーパーマーケットもあり、生活利便性が高いのが特徴です。

不動産相場

BKKはプノンペンで最も不動産価格・家賃相場が高いエリアの一つです。 コンドミニアムの売買価格は1平方メートルあたりで見ると高級物件で3,000ドル前後にも達しうる水準で、低層住宅用地の地価も他エリアより突出しています。家賃相場も高めで、サービスアパートの月額賃料は1ベッドルームで数百ドルから、3ベッドルーム以上の高級物件では月額数千ドルにも及びます。

実際、BKK1の賃貸相場は月600ドル〜6,000ドル程度と報告されており、これはカンボジア国内でもトップクラスの水準です。高額にも関わらず需要が高いため稼働率も非常に高いとされ、特にサービスアパートは2019年時点で都市内最多の供給がBKKに集中していました。高級コンドミニアムの増加により景観は急速に近代化していますが、その分手頃な価格の物件を見つけるのは難しいエリアと言えます。

BKKエリアの高級コンドミニアム街

ダウンペンエリア

ダウンペン(Daun Penh)はプノンペン中央北寄りの歴史地区で、王宮やワットプノン(仏塔)、国立博物館、セントラルマーケットなど主要観光名所が集まるエリアです。同時に官公庁や本社機能も集中しており、伝統と商業が融合した地域となっています。川沿いのリバーサイド地区もダウンペン管轄で、外国人旅行者で常に賑わう活気ある中心街です。

居住者層と生活環境

ダウンペンは「プノンペンの心臓部」ともいえる歴史と行政の中心であり、日中はビジネスパーソンや観光客で賑わいます。 周辺には飲食店、ホテル、バー、カフェが立ち並び、ナイトライフも盛んなエリアです。特にストリート51周辺のバー街や、川沿いの遊歩道沿いのレストラン街は有名です。長年発展してきた都心部のため、住宅は古いフランス殖民地時代の建物から新築コンドミニアムまで混在しており、観光客向けゲストハウスやホステルも点在します。外国人居住者も一定数いますが、上述のBKKやトンレバサック地区に比べると短期滞在者や旅行者が多い印象です。

不動産相場

ダウンペンの不動産は立地によって二極化しています。リバーサイドや王宮周辺の一等地は商業用途の需要も高く、ショップハウス(一階が店舗の長屋)賃料はプノンペン最高水準と言われます。一方で裏通りには比較的安価なアパートもあり、ローカル向け物件も存在します。コンドミニアムの売買価格はBKKほど高騰していませんが、観光客向けの短期賃貸ニーズが高いため投資物件としての人気は根強いです。

家賃は物件グレードにより差がありますが、例えば築浅の1ベッドルームで月500〜800ドル程度、内装が古いアパートではそれ以下も見られます(リバーサイド沿いはビューが良い分やや高め)。総じて歴史的景観や観光地至近という価値があるため都心プレミアムはありますが、築年数や設備による幅が大きいエリアと言えるでしょう。

トゥールコックエリア

トゥールコック(Toul Kork)はプノンペン中心部の北西に位置する新興住宅エリアです。近年急速に開発が進み、都心から少し離れているものの中間層のカンボジア人家庭や長期滞在の外国人に人気のベッドタウンとして注目されています。高層コンドミニアムだけでなくヴィラ風の戸建てやボレイ(郊外型分譲住宅地)も多く見られ、ゆとりある街並みが特徴です。

居住者層と生活環境

トゥールコックには国防省や農村開発省など複数の政府省庁があり、公務員や富裕層の自宅も点在しています。 また郊外型の大型モール「TK Avenue」をはじめ、ショッピングセンターや国際学校も開業し、ファミリー層が暮らしやすい環境が整備されつつあります。

中心部ほどの喧騒はなく、住宅街として落ち着いた雰囲気ですが、ここ数年で飲食店や商業施設も増加し生活利便性は向上しています。都市の成長に伴いプノンペンの市街地が拡大する中で、トゥールコックは「旧中心部の延長」として機能し始めており、新興のミックスユース開発プロジェクト(Gateway、TK Square、Phnom Penh City Centerなど)が複数進行中です。

不動産相場

トゥールコックの魅力は都心に比べて不動産価格が比較的リーズナブルな点です。 土地や住宅価格はBKKやダウンペンより割安で、2020年前後でも「BKKより手頃な価格で広い土地や住宅が手に入る」と言われてきました。実際、2023年時点のトゥールコック地区の土地価格は1平方メートルあたり1,900〜6,100ドル程度で推移しており、年々着実に上昇しています。コンドミニアム価格も中級クラスが中心で、平均的な新築分譲価格は1,800〜3,000ドル/㎡程度と報告されています。

一方、賃貸相場も中価格帯で、1〜2ベッドルームのコンドミニアムが月額400〜800ドルほどから選択可能です。高級サービスアパートは少ないものの、その分実需層の長期賃貸ニーズが堅調で、中流〜富裕層のカンボジア人や一部のexpat教師・専門職が住むケースが多いです。将来的な都市インフラ整備も見込まれ、今後の資産価値上昇に期待して中長期投資として購入する動きも見られます。

リバーサイドエリア

リバーサイド(Riverside)はトンレサップ川沿いのエリアで、上記ダウンペン地区の一部ですが、不動産投資の文脈では特に観光客に人気の川岸通り(シソワットキー周辺)を指します。王宮やナイトマーケット、船着場など観光スポットが集まり、美しい川沿いの景観から旅行者向け短期滞在需要が非常に高いエリアです。高級ホテル(例えばリッツカールトン計画など)や格式あるレストラン・バーも多く、プノンペンの表玄関的な顔を持ちます。

居住者層と生活環境

リバーサイドは昼夜問わず観光客や在住外国人で賑わい、英語も広く通じる国際的な雰囲気があります。 川沿いのプロムナードでは朝夕の散歩やジョギングを楽しむ人も多く、市民の憩いの場となっています。エリア内の住宅は、古いフレンチコロニアル様式のアパートをリノベーションしたものから、新築の高層コンドミニアムまで様々です。ただしエリア的に土地が限られているため供給物件数は多くなく、良質な物件は限られる傾向があります。また観光地ゆえに短期賃貸(Airbnb等)の運用もしやすく、投資家にとっては日々の管理ができれば高収益を見込める地域です。

不動産相場

リバーサイド地区の物件価格と賃料はロケーション価値を反映しています。例えばリノベ済みの小規模フラット(30㎡程度のワンルーム)が3万5,000ドル台から購入可能との報告もあり、築年数次第では意外に手頃な中古物件も存在します。

一方で眺望の良い高層コンドミニアムやサービスアパートではBKK並みの高値が付くこともあります。短期賃貸の需要が高いため、投資利回りの点では市内でもトップクラスです。 ある調査によれば、リバーサイド地区の高級アパートは賃貸利回り6〜12%にも達しうるとのデータがあります。

実需の長期賃貸というよりは、観光客や出張者向けの短期・中期滞在を念頭に置いた運用が中心となるため、ホテル的な運営ノウハウが求められる側面もあります。将来的には沿川部の再開発計画も控えており、観光産業の回復・成長とともにこのエリアの不動産価値も維持・向上していく可能性が高いでしょう。

主要エリアの相場比較

エリアコンドミニアム売買価格 (USD/㎡)土地価格 (USD/㎡)賃料相場 (1BR〜3BR)主な居住者層
BKK12,500〜3,000高水準 (※突出)600〜6,000外国人駐在員、富裕層カンボジア人
ダウンペン2,000〜2,800
(立地により変動大)
地域による二極化500〜800
(※古い物件は400以下も)
旅行者、官公庁勤務者など
トゥールコック1,800〜3,0001,900〜6,100400〜800中間層カンボジア人、
長期駐在員
リバーサイド1,500〜3,000
(ビュー付高額あり)
(供給少、
個別見積)
~高級だと数千ドル観光客、短期出張者、
投資家

執筆者

高橋 卓のアバター 高橋 卓 海外不動産のオクマン 代表

2014年:はぐくみカンパニー株式会社、代表取締役に就任
2017年:株式会社純な、代表取締役に就任
2018年:はぐくみカンパニーカンパニー株式会社を株式譲渡し退任
2023年以降:日本企業の進出コンサルティングと海外不動産メディアの運営に注力(バンコクのベイカリーショップ、小麦の王国立ち上げ等)

現在バンコク在住。海外不動産投資のことならお気軽にご相談ください。

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