【2025年最新】ドバイの法人設立を徹底解説!フリーゾーン活用から9%法人税のメリットまで完全ガイド

日本人投資家の間で近年注目を集めるドバイでの法人設立。2025年現在、ドバイは中東のみならず世界でも有数のビジネスハブとして存在感を高めています。
「2025年最新」の情報を織り交ぜつつ、ドバイ法人設立に関するビジネス環境やメリット、具体的な手続きまでを専門的かつ客観的に解説します。フリーゾーン(自由貿易区)の活用や導入された法人税9%のポイントまで網羅することで、検索ユーザーが求める情報を余すところなく提供します。
2025年最新:ドバイ法人設立が注目される背景とビジネス環境
中東の経済中心地ドバイは、税制優遇や政治的安定性、優れたインフラを背景に長年ビジネス拠点として人気を博してきました。特に法人税・所得税が実質ゼロ(一部条件下)という魅力から、多くの外国企業や起業家を引き付けてきました。
しかし2023年6月よりUAE(アラブ首長国連邦)全体で法人税が導入され、税率9%が適用されています。それでも9%という税率は国際的に見ても非常に低く、例えば日本の法人税実効税率(約30%)と比べても圧倒的に低負担であるため、ドバイの税制上の優位性は今なお健在です。むしろ適度な課税導入により国際基準への適合や透明性が高まり、法的安定性が増した点は投資家にとってプラスと言えるでしょう。

上記のグラフは、2019年から2024年にかけてUAEのFDI(対内直接投資)が増加している様子を可視化したものです。こうした投資誘致力の強化こそ、ドバイをはじめとするUAE全体がビジネス拠点として高い注目を集める理由になっています。
ドバイのビジネス環境はここ数年でさらに整備が進みました。外国資本100%での法人設立が2010年代にはフリーゾーン内に限られていましたが、2021年6月以降はドバイ本土(メインランド)でも大半の業種で外資100%出資の法人(LLCや株式会社)の設立が認められるようになりました。従来必要だったUAE人パートナーの出資要件が緩和されたことで、日系企業を含む海外企業にとって参入ハードルが大きく低下しています。
またビザ制度の拡充も背景の一つです。近年、投資家向けの長期居住ビザである「ゴールデンビザ」の導入や、リタイアメントビザ、リモートワークビザなど多彩なビザ制度が整備され、ビジネスのみならず生活面でもドバイに拠点を置きやすくなりました。
さらに、ドバイ政府は経済多様化と規模拡大の長期戦略「ドバイ経済アジェンダ(D33)」を掲げ、「2033年までに経済規模を2倍にする」という野心的目標を打ち出しています。この一環で新たな産業育成や外資誘致策が次々と実施されており、例えば世界初のスポーツ・エンターテインメント専用フリーゾーン創設が2025年に計画されるなど、ビジネスチャンスが広がる動きが活発です。こうした政府主導の政策も、今まさにドバイで法人設立が注目される背景と言えるでしょう。
ドバイの国際競争力はデータからも裏付けられます。UAE全体ではコロナ禍においても対内直接投資(FDI)が増加を続け、2018年比で2023年の投資額は約3倍に拡大したとの報告もあります。日本企業の進出動向を見ても、2023年時点で350社以上の日系企業がドバイに拠点を設けており、中東・北アフリカ地域のハブとしてドバイを活用しています。
税制優遇やフリーゾーンの活用によってドバイを戦略拠点とする動きが進む一方、現地の規制やビジネス慣習への適応といった課題もあります。しかしそれらは信頼できる現地専門家のサポート等で克服可能であり、総じて2025年のドバイは「リスクよりメリットが大きい」投資先として評価されています。
以上のように、最新の制度変更とビジネス環境の整備によって、ドバイは今なお法人設立先として大きな魅力を放っています。次章では、その中でも特に重要なフリーゾーン(自由貿易区)について、メリットと最新動向を詳しく解説します。
フリーゾーンとは?法人設立のメリットと最新動向
フリーゾーン(Free Zone)とは、UAEの各首長国政府が外国企業誘致のために指定する経済特区のことです。法的には「オフショア(UAE国外)」とみなされるエリアで、UAE全土に40以上、ドバイ首長国内だけでも約25〜30箇所ものフリーゾーンが存在します。フリーゾーンごとに管轄当局(フリーゾーン・オーソリティ)が置かれ、独自の企業登録・運営ルールを定めていますが、共通しているのは外国資本に対する優遇措置が極めて手厚い点です。
フリーゾーンを活用する最大のメリット
税制面の優遇
フリーゾーン内に登記した企業は原則として法人税が免除されます(※)。2023年にUAEで法人税9%が導入された後も、この「フリーゾーン免税」措置は条件を満たす限り継続されます。
つまり、UAE本土企業に9%課税されても、フリーゾーン企業は引き続き0%(免税)となる可能性があります。ただし免税を享受するには「UAE本土(メインランド)との取引がない」など施行規則で定められた条件をすべて満たす必要があり、たとえ課税所得がなくとも税務当局への申告義務は発生します。加えて、従来から輸入関税の免除(フリーゾーン内に貨物を留める限り関税0%)、個人所得税ゼロといった恩恵もそのまま享受できます。
外資100%出資と資金の自由
フリーゾーン企業は株主が全員外国人でも100%出資で設立可能です。これはドバイ本土企業で2021年以前に要求されていたUAE人出資比率の制限を気にせずに済むことを意味します。また、資本・利益の海外送金が自由であり、現地通貨(ディルハム/AED)は米ドルと連動して安定しているため、為替リスクも比較的抑えられます。外貨規制がなく投資資金の出し入れが容易な点は、海外投資家にとって大きな安心材料です。
事業運営の柔軟性
多くのフリーゾーンでは、労働法や各種規制が緩和されており、ビジネス開始までの行政手続きが簡素化されています。例えば会社設立に要する時間が短かったり、現地採用の従業員に関する規制が本土よりも寛容だったりします。外国人労働者の雇用数にも制限がないため、人材面でも柔軟に対応できます。
またフリーゾーンによっては、オフィス物件や倉庫を低コストで提供していたり、ビジネスネットワーキングの支援を行ったりするなど、企業誘致のためのサービスが充実しています。
業種特化とクラスター効果
ドバイの各フリーゾーンはそれぞれ特定の産業分野に焦点を当てているケースが多くあります。例えば、輸出入・物流拠点の「ジュベル・アリ自由港 (JAFZA)」、金融特区の「ドバイ国際金融センター (DIFC)」、IT・電子メディアの集積地「ドバイ・インターネット・シティ / メディア・シティ」などです。
業種特化型のフリーゾーンに進出すれば、同業他社や関連業界とのネットワーク構築が容易になり、クラスター効果によるビジネス拡大も期待できます。自社事業に適したフリーゾーンを選ぶことは、進出後の成功確率を高める戦略とも言えるでしょう。
最新動向:フリーゾーン企業を取り巻く規制強化と緩和
その一つが「フリーゾーン企業の本土進出解禁」です。ドバイ首長国では2025年3月、ハムダン皇太子の発令によりフリーゾーン所在企業がドバイ本土(フリーゾーン外)で営業活動を行うことを認可する新制度が導入されました。これにより、従来は「フリーゾーン内限定」だった事業活動の範囲が広がり、所定の追加ライセンスと許可を取得すればフリーゾーン企業でもドバイ国内市場に直接アクセスできるようになります。
この改定は、前述のドバイ経済アジェンダD33の目標達成を意識したもので、内需拡大を図る政策の一環です。これまで多くの外国企業が優遇を求めてフリーゾーンを選択していましたが、本土進出へのハードルが下がることで、ドバイ市場を直接狙うオプションも取りやすくなったと言えるでしょう。
他方で、国際的な税制改変の波もフリーゾーン戦略に影響を与えています。OECD主導の多国籍企業に対する最低法人税率(いわゆるグローバル・ミニマム課税、15%)の導入に伴い、UAEでも売上規模の大きい多国籍企業については法人税率を15%に引き上げる方針が発表されました。
ただし、これは全企業ではなく大規模企業グループが対象であり、中小企業やフリーゾーン企業の多くには直接影響しません。むしろUAE政府は従来からフリーゾーンに入居する中小企業・スタートアップを重視しており、9%法人税施行後も「条件を満たす場合は引き続きインセンティブ(免税措置)を得られるようにする」と公式にコメントしています。
要するに「大企業には国際基準並みの課税、小規模企業には引き続き優遇」という二本立て戦略で、フリーゾーンの魅力を維持しているのが現状です。
以上のように、フリーゾーンはドバイで法人設立する上で強力な武器となります。次の章では、2023年に導入された9%の法人税について、その基本と日本人投資家が享受できるメリットを整理します。
9%法人税導入の基本:適用範囲と投資家が得られるメリット
2023年6月、UAEで初めて法人税が導入されました。税率は一律9%で、同年6月1日以降に開始する事業年度から適用されています。ここでは、その法人税制度の基本と、日本人投資家にとってのメリットを解説します。
●法人税導入の基本概要: UAEはこれまで法人税ゼロを売りにしてきましたが、国際的な課税強化の流れを受けて税制改革に踏み切りました。具体的な適用範囲は以下のとおりです。
課税対象となる企業と所得
UAE国内に登記された企業で、年間の課税所得が37万5,000ディルハム(AED)超の部分に対して9%の法人税が課されます。この37.5万AEDという基準額は日本円で約1,300万〜1,400万円(1AED≒30円換算)に相当し、それ以下の所得については小規模事業者扱いで課税対象外となります。つまり、利益が少ない中小企業には引き続き実質ゼロ税率が適用され、負担増とならない配慮がなされています。
免税・非課税所得の範囲
従来どおり個人の所得(給与や個人事業収入)には課税されません。加えて、外国人投資家がUAE国内で事業を行っていない場合の所得や、株式配当・キャピタルゲイン(投資で得た利益)についても課税対象外と明記されています。例えば、日本に居住する投資家がドバイの会社に出資し配当を受け取っても、その投資収益自体はUAE側では非課税となります(日本の居住者の場合、日本国内の課税は別途考慮)。
さらに先述のとおり、フリーゾーン登録企業については「この施行規則で指定されたすべての条件を満たす場合」に限り法人税免除(0%)が認められています。原則としてフリーゾーン企業が域内(本土)取引を行わなければ課税されない仕組みで、従来の恩恵が維持されています。
その他の特例
上記以外にも、天然資源の採掘事業(産油企業等)には首長国レベルの既存税制があるため連邦法人税の適用外とされています。また一般に組合や信託など特殊な事業体も一定条件下で課税除外される場合がありますが、通常の法人設立においてはあまり関係のないケースです。
以上が基本的な制度の枠組みですが、日本人投資家にとって気になるのは「法人税導入後もドバイに法人を置くメリットはあるか」という点でしょう。結論から言えば、「メリットは十分にある」といえます。その理由をいくつか挙げます。
依然として低い税負担
税率9%は主要国と比べ格段に低い水準です。日本法人税が30%前後、欧米先進国も20〜30%台が一般的な中、単純比較ではドバイに法人を置くだけで税負担が数分の一になります。仮に年間1億円の課税所得が発生した場合、日本では約3,000万円の税金が生じるのに対し、ドバイ法人なら9%の約900万円で済みます。たとえ法人税がゼロから9%に変わったとはいえ、この「差額」こそが依然として大きな節税メリットです。
租税条約による恩恵
日本とUAEの間では2014年に租税条約が発効しており、両国間の二重課税防止措置が講じられています。これまではUAE側に法人税がなかったため日本側で外国税額控除を使う場面はありませんでしたが、
今後は9%とはいえ課税が発生します。租税条約により、例えばドバイ子会社の利益に対してUAEで課税(9%)されても、日本の親会社が受け取る配当に対する日本の課税で二重課税調整がなされるなど、適切に税負担を調整する仕組みが活用できます。結果として、合法的な範囲でグループ全体の税負担を最小化することが可能になります。
国際的信用の向上
法人税ゼロのままでは一部でタックスヘイブン視される懸念もありましたが、9%課税導入によりUAEは「国際基準を満たした税制」を整えたと評価されています。これはグローバル企業にとって重要な意味を持ちます。現地法人を設立した際に、銀行口座の開設や他国との取引で「ドバイの会社だから」という理由で警戒されるリスクが下がり、むしろ税制の透明性が向上した分だけ信頼感が増す効果が期待できます。
また、各国のブラックリスト等に入る可能性も低減し、健全な企業経営がしやすくなるでしょう。
依然残る無税分野の活用
先述したように、法人税はあくまで事業所得に対する課税です。依然として個人の給与所得・不動産売却益・株式譲渡益などはUAEでは非課税であり、投資家個人として享受できる無税メリットは多数あります。また、フリーゾーン免税措置を適用できる事業であれば法人税も払わずに済みます。
要するに、新税導入後も「非課税」の余地が多分に残されているため、投資スキーム次第でほぼ税負担ゼロの状態を維持することも可能です。例えばドバイ法人がUAE国外のみで事業を行うような場合(典型例は国際貿易の持株会社など)、課税所得が発生しない範囲に収める工夫も考えられます。
以上より、9%の法人税導入は確かに制度変更ではありますが、投資家にとっての「ドバイの魅力」を根本から損なうものではないことが分かります。それどころか、税制面の信頼性向上と依然低水準の税率により、より安心してビジネス展開できる土壌が整ったともいえるでしょう。ただし、新税制下では税務申告や会計管理が必要になる点には留意が必要です(この点は後述の「税務・会計実務」の章で触れます)。
次に、具体的にドバイで法人を設立する手順について、必要書類から完了までの流れをガイドします。
他国と比較したUAEの法人税率一覧
国名 | 法人税率 (約) | 課税対象所得 | 備考 |
---|---|---|---|
UAE | 9% | 37.5万AED超の所得 |
0%は小規模企業やフリーゾーン免税対象の場合に適用。 (フリーゾーンでは条件を満たす限り引き続き0%) |
日本 | 30%前後 | 全所得 |
地方税含む実効税率。 中小企業向け軽減税率あり。 |
米国 | 21% | 全所得 |
連邦法人税率のみ。 州法人税が上乗せされる場合あり。 |
ドイツ | 約30% | 全所得 |
連邦法人税+連帯税+自治体課税を合算。 地域差あり。 |
フランス | 25% | 全所得 |
中小企業には軽減措置あり。 段階的に税率を引き下げてきた経緯あり。 |
法人設立のステップガイド:必要書類から設立完了まで
ドバイで法人を設立する手続きは、日本で会社を設立する場合と大枠は似ていますが、言語や現地特有の要件もあるため事前準備が重要です。ここでは、主にフリーゾーンで新規法人(LLC形態が一般的)を設立する場合を念頭に、必要なステップを順を追って解説します。なお、ドバイ本土(メインランド)で会社を作る場合も流れは概ね共通しますが、フリーゾーンとは管轄機関や一部要件が異なりますので適宜補足します。
ドバイ法人設立フローチャート
業種・形態の決定
商号予約
書類準備
出資金の払込
法人登記完了
ビザ申請
銀行口座開設
事業開始
設立費用と維持コストの実態:フリーゾーン別に比較するポイント
ドバイで法人を設立・維持するにあたって、コスト面も重要な検討材料です。ここでは、初期設立費用と年間維持費用の概算、およびフリーゾーンごとのコスト差について解説します。あらかじめ費用感を把握しておけば、予算計画とフリーゾーン選定の助けになるでしょう。
法人設立の初期費用
まず設立時にかかる費用ですが、これは選ぶフリーゾーンやライセンス種類、利用するサービスによって変動します。一般的な範囲として、初年度合計で約30,000〜50,000 AED(ディルハム)程度が一つの目安です。日本円にして約90万〜150万円に相当します。この金額には以下のものが含まれます。
ライセンス発行料
会社登録料・営業許可料としてフリーゾーン当局に支払う費用。業種によって料金テーブルがあり、貿易業やサービス業の一般的なライセンスなら中程度の費用帯、金融業など特殊業種は高額になる傾向があります。
名前予約・法定手数料
商号予約費用、定款認証料(本土の場合)などの行政手数料。これは数百〜千ディルハム単位の小さな費用ですが、積み上がるとそれなりの額になります。
オフィス/デスク契約費用
登記用オフィススペースの契約料。最安はフレキシデスク契約で年間数千AEDから、専有オフィスの場合は広さや場所により数万AEDにもなるケースがあります.
ビザ取得費用(初回)
投資家ビザ発給料・健康診断・ID発行料など、一人当たり数千ディルハム程度。例えば2年ビザ×1名なら約4,000AED前後が目安です。家族ビザを同時に取るならその人数分が追加となります。
代理人サービス費(任意)
設立手続きを代行するエージェント等に依頼する場合のサービス料金。日本人エージェントにフルサポート依頼すると設立〜ビザ取得まででおよそ200万円程度(エージェント手数料込み)かかるケースも報告されています。語学や現地対応に自信があれば自力で手続き可能ですが、スピードと確実性を買ってプロに任せる企業も多いです。
具体例として、ドバイ・マルチ・コモディティーズ・センター(DMCC)という人気フリーゾーンでコンサルティング会社を設立した場合、初年度費用は概ね以下のようになります。ライセンス料約1.0万AED、登録料0.5万AED、フレキシデスク契約料0.5万AED、ビザ関連0.3万AED(1名分)で、合計約2万AED(約60万円)程度。ただしDMCCでは最低資本金5万AEDのデポジットが必要なので、資金拘束分を考慮すると実質的な初期コストはもう少し高くなります。
こうしたようにフリーゾーンにより要件や料金が異なるため、一概には言えませんが、近年増えている低コスト志向のフリーゾーン(例:IFZA、Sharjah Media Cityなど)では1万AED台から設立パッケージを提供しているところもあります。
法人維持の年間コスト
一度設立した後、毎年発生する維持費用も予め見積もっておきましょう。主な項目は以下です。
ライセンス更新料
フリーゾーンでは毎年のライセンス更新が必要で、その際に更新料を払います。初年度と同額かやや安い程度で、年15,000〜20,000 AED(約45万〜60万円)が相場です。更新時に事業報告書類の提出を求める場合もあります。
オフィス賃料
オフィスやデスクの賃貸契約も年更新が基本です。費用は契約内容によりますが、最小構成なら年10万前後の日本円(数千〜1万AED程度)で維持可能です。社員数が増えて広いオフィスに移れば当然コストも上がります。
ビザ更新料
取得した投資家ビザ・家族ビザは2年または3年ごとに更新が必要です。更新時にも健康診断等を含め数千AEDがかかります。ただし毎年ではなく数年おきの負担です。
会計・監査費
フリーゾーンによっては年次監査レポートの提出義務があります(DMCCやJAFZA等)。その場合、監査法人への支払いが必要で、小規模企業でも年5千〜1万AED程度は見込むべきでしょう。義務がなくとも、取引先や銀行から監査済財務諸表の提示を求められることもあり、自主的に監査を受ける場合もあります。
プロフェッショナルサービス費
現地のPRO(渉外担当)サービスや郵便受取代行など、業務を委託する費用が発生することもあります。会社の状況によりますが、例えばビザ手続き代行を毎回依頼すればその都度数千AEDなどがかかる場合もあります。
総合すると、フリーゾーン法人の年間維持コストは安い所で約100万円、内容次第では数百万円になる場合もあります。例えば従業員を複数雇用してオフィスも大きく構えると、人件費や賃料が嵩みますので維持費用は増大します。一方、オーナー一人で小規模に運営する場合はかなりコストを抑えられます。
フリーゾーンごとの費用差と比較ポイント
フリーゾーン選びにおいて費用面の比較ポイントはいくつかあります。
ライセンス料金の違い
有名どころのフリーゾーン(例えばDIFCやDMCC)はサービスや信用度が高い反面、料金設定もやや高めです。一方、新興のフリーゾーン(例:Ras Al KhaimahやSharjahのフリーゾーンなど)は低価格プランを打ち出しており、初年度1万AED以下というケースもあります。自社の予算に応じて無理のないプランを提供しているフリーゾーンを選ぶことが重要です。
資本金要件の有無
前述のとおりフリーゾーンによって最低資本金が異なります。「なるべく資金拘束を避けたい」のであれば、資本金ゼロで良いフリーゾーンや少額で済む所を選ぶべきでしょう。逆に、資本金を積んで信用力を示したい場合は、あえて高い資本金要件のエリアで設立する手もあります。
オフィス要件
常設オフィスの有無もコストに直結します。例えばドバイ南部のフリーゾーンでは仮想オフィス可で維持費が安いところが多いです。一方、空港近くのDAFZAなどは物理オフィス入居が前提となり、その分賃料がかさみます。事業形態上オフィス不要ならバーチャルオフィス対応フリーゾーンを選ぶことでコストを圧縮できます。
サービス内容
各フリーゾーンが提供するサービス差も費用に表れます。銀行口座開設支援やビジネスマッチング支援が充実しているところは料金が高めでも付加価値があります。また法人口座開設のしやすさにも違いがあるといわれ、銀行側が口座開設審査で好むフリーゾーン(規制がしっかりしている所)だとスムーズに進む場合があります。
業種適合性
費用とは直接関係ありませんが、業種によって選べるフリーゾーンは限定されることがあります。例えば金融サービスならDIFC、軽工業ならDubai Industrial Cityといったように専門特区がある場合はそこを使うのが自然です。
まとめると、ドバイ法人の維持費用は日本で会社を維持する場合と比べても大きく違わないか、むしろ安い場合もあるといえます。オフィス不要・人件費ゼロであれば年間数十万円程度で存続できますし、本格展開しても日本並みのコスト感で済むことが多いです。自社の戦略と予算に合わせてフリーゾーンを選び、適切な費用管理を行えば、コスト面の不安はさほど大きくないでしょう。
フリーゾーン別の代表的な設立・維持費用例
フリーゾーン | 初年度費用 (AED) | ライセンス更新料 (AED) | 最低資本金要件 (AED) |
---|---|---|---|
DMCC | 20,000 | 15,000 | 50,000 |
IFZA | 13,900 | 13,900 | 0 |
Sharjah Media City | 11,500 | 11,500 | 0 |