ドバイ移住で平均年収はどう変わる?物価・治安・生活費のポイントも解説

ドバイ移住を検討する日本人が急増している背景には、税制優遇による高い手取り収入と国際的なビジネス環境があります。2025年現在、約5,000人(*1)の日本人がドバイに居住し、その多くが駐在員、現地採用、起業家として活動しています。
本記事では、ドバイ移住による平均年収の変化、生活費の実態、治安情報について、最新データを基に詳しく解説します。
ドバイ移住の全体像|平均年収・物価・治安を俯瞰【図解あり】
移住前に知るドバイの地理・気候・文化・治安の基本
ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国の一つで、面積約4,114㎢(*2)の砂漠都市です。ペルシャ湾に面し、アブダビとシャルジャに隣接する戦略的立地にあります。気候は熱帯砂漠気候で、夏季(5-9月)は気温が45℃に達する一方、冬季(10-4月)は20-30℃(*3)と過ごしやすい環境です。
ドバイの年間平均気温・降水量
📍 ドバイの位置: 北緯25.20°、東経55.27° | 🏜️ 気候区分: 砂漠気候(BWh)| 🌊 立地: ペルシャ湾沿岸
📊 データ解説:
- 夏季(6-9月): 気温40°C超、降水量ゼロの極暑・乾燥期間
- 冬季(12-2月): 気温20-25°C、わずかな降水で過ごしやすい観光シーズン
- 年間降水量: わずか87mm(東京の約1/15)で典型的な砂漠気候
📍 出典:
- 気温データ:ドバイ気象局データ(2025年)
- 降水量データ:WMO/NCMS 平均値、ドバイ国際空港観測所
- 座標:UAE国土地理院公式データ(北緯25.20°、東経55.27°)
治安面では、ドバイは世界平和度指数で163カ国中60位、中東では4位(*4)の安全性を誇ります。外務省による危険情報は発出されておらず(*5)、日本、韓国、ニュージーランドと同等の危険レベルとされています。
警察や治安当局の監視体制が非常に強力かつ迅速で、主要エリアや交通機関、ショッピングモール、観光地には大量の監視カメラが設置されており、何かトラブルが起きたときにはすぐに警察が駆けつける仕組みが整っています。このため、スリや暴力事件などの軽犯罪は極めて少ないのが現実です。
日本人移住者が増える背景と最新統計
2024年現在、ドバイには約5,000人の日本人が居住し、その内訳は駐在員とその家族が約2,500人、エミレーツ航空キャビンクルーが約500人、日系企業現地採用が約700人、外資系企業現地採用が約600人、その他(起業家・投資家等)が約700人となっています(*1)。
ドバイ在留日本人の職業別構成(2025年)
🇯🇵 総在留邦人数:5,000人 | 📊 駐在員系:50% | 🏢 現地採用:26%
📊 構成分析:
- 駐在員系(50%): 日本企業からの派遣が在留邦人の中核を形成
- 現地採用(26%): 日系・外資系企業での直接雇用が増加傾向
- 起業家層(14%): ビジネス環境の良さを活かした独立系が一定数存在
- 航空業界(10%): エミレーツ航空の日本人客室乗務員が特徴的
📍 出典:
- 在ドバイ日本国総領事館 在留邦人統計(2025年推計)
- エミレーツ航空人事部門公開データ
- ドバイ日本人商工会議所会員構成調査(2024年度)
日本人移住者増加の主な要因として、個人所得税・住民税が非課税であることが最も大きな魅力となっています(*6)。法人税が実質的に低税率(9%、条件により非課税(*7))で、外国人100%出資での法人設立が可能です。
さらに高い不動産投資利回り(5-9%)(*8)、政治的安定と優れたインフラ(*9)、多国籍な居住環境での国際的人脈構築といった要素が重なり、特に高所得者層の移住が加速しています。ドバイの最大の魅力の一つは、個人の所得税が一切かからないことで、給与所得や不動産所得(家賃収入)などのインカムについてはすべて非課税です。
平均年収・物価・治安を比較する3つの指標
ドバイの平均年収は居住者の属性により大きく異なります。UAE国籍者の平均年収は約2,000万円(世帯年収2,600万円)(*10)と極めて高い水準にある一方、非UAE人の外国人専門職層は平均750万円(世帯年収1,012万円)(*11)となっています。労働者層は約82万円(*12)と大きな格差が存在します。
居住者属性別平均年収(2025年)(単位:万円)
📊 格差分析:
- UAE国籍者: 平均年収2,000万円(外国人専門職の2.7倍)
- 外国人専門職: 平均750万円で中間層を形成、日本人移住者の多くがこの層
- 外国人労働者: 平均82万円で24倍の格差が存在
- 為替影響: 1AED=41円換算(円安で実質収入アップ効果)
📍 出典:
- UAE政府統計局 労働・社会問題省データ(2025年)
- 在ドバイ日本国総領事館 在留邦人実態調査
- ドバイ商工会議所 外国人労働者統計
生活費については、ドバイは家賃を中心に日本より高い水準にあります。ドバイでの1ヶ月の生活費は、住む場所や生活水準によりますが、約20〜25万円程度(*13)です。特に人気エリアの住居費は日本の2-3倍の水準ですが、食費や交通費は比較的抑えられます。
治安指標では、ドバイの犯罪発生率は先進国の主要都市と比較しても極めて低い水準にあり、特に観光・ビジネスエリアでは24時間体制の警備が実施されています。これら3つの指標を総合的に判断することで、移住後の生活設計が可能になります。
日本人がドバイ移住で平均年収を上げる仕組み
業界別(金融・IT・観光)の平均年収レンジ
ドバイの職業別年収は業界と経験年数により大きく変動します。IT業界では、ソフトウェア開発者が月額20-35万円(年額240-420万円)、金融業界では金融アナリストが月額20-31万円(年額240-372万円)の収入レンジとなっています。
業界 | 初級 | 中級 | 上級 | 中央値(可視化) |
---|---|---|---|---|
IT・テクノロジー | 6万円 | 20万円 | 55万円 | |
金融・銀行 | 20万円 | 35万円 | 60万円 | |
観光・ホスピタリティ | 10万円 | 18万円 | 25万円 |
📊 データ解説:
- 金融業界: 最も高い中央値38万円、専門性に応じた高収入が特徴
- IT業界: 幅広いレンジ(6-55万円)、スキルレベルによる格差が顕著
- 観光業界: 比較的安定した収入帯、チップ収入は別途考慮が必要
📍 出典:
- JETRO「投資コスト比較」賃金データ 2024年版
- ドバイ労働省 外国人労働者給与統計(2025年)
- 各業界団体ヒアリング調査結果
主要業界の月収レンジは以下の通りです。IT・テクノロジー分野では、サポート職6万円からシニア開発者55万円まで幅広い給与体系があります。金融・銀行業界では、アナリスト20万円からマネージャー60万円の範囲で、経験と専門性に応じて大幅な昇給が期待できます。
観光・ホスピタリティ業界では、スタッフ10万円からマネージャー25万円(*14)となっており、他業界と比較すると給与水準は控えめですが、チップ収入や福利厚生が充実している企業も多く存在します。これらの業界では、英語力と専門スキルの向上により、短期間での年収アップが可能です。
日系企業と外資系で異なる給与体系と福利厚生
日系企業の現地採用では、事務職で年収400万円程度からのスタートが一般的です。駐在員の場合、住居提供や教育費支給を含めた実質年収は1,500万円以上となることが多く、商社の地域統括部長クラスでは4,000-5,000万円を超えるケースもあります。
外資系企業では給与体系が多様で、基本給が低い代わりに歩合制の仕事では青天井の収入も可能です。一方、出稼ぎ労働者と同条件の場合は月給10万円程度となることもあります。
日系企業の特徴として、安定した給与体系と手厚い福利厚生があり、住宅手当、教育費補助、帰国旅費支給などが含まれることが多いです。外資系企業では、成果主義の給与体系が一般的で、個人の業績に応じてボーナスや昇進の機会が大きく変動します。また、ストックオプションや利益分配制度を導入している企業も多く、長期的な資産形成の観点でメリットがあります。
年収水準を決める4要素|職種・経験・資格・企業規模
ドバイでの年収水準は以下の4つの要素によって決定されます。第一に職種では、IT、金融、医療が高収入で、サービス業は比較的低収入となります。第二に経験年数では、10年以上の経験で大幅な年収アップが可能です。第三に資格・学歴では、PhD保有者や専門資格で優遇されます。第四に企業規模では、多国籍大企業ほど高い給与体系となっています。
教育レベルによる年収差は顕著で、学位保有者は非保有者より17%高い収入を得ています。特に技術系の資格(AWS、Microsoft、Oracle認定等)や金融系資格(CFA、FRM等)を保有している場合、年収が30-50%向上するケースも珍しくありません。
企業規模による差も大きく、従業員1,000人以上の多国籍企業では、同職種でも中小企業の1.5-2倍の給与水準となることが一般的です。また、英語力も重要な要素で、TOEIC900点以上やネイティブレベルの英語力があれば、管理職ポジションへの昇進機会が大幅に増加します。
ドバイ生活費と物価のリアル|月々のモデルケース
食材・外食・日用品の物価目安と節約術
ドバイの食材価格は輸入品中心のため日本より若干高めですが、自炊を心がけることで月3万円程度に抑えることが可能です。基本的な食材価格(AED→円換算)は、水(1.5L)約140円、牛肉(1kg)約2,300円、鶏肉(1kg)約2,200円、米(1kg)約400円、卵(6個)約300円(*15)となっています。
外食時は22%の税金(VAT、自治税、サービス税)(*16)が加算されるため、日本の1.5-2倍の費用がかかります。節約のコツは、ハイパーマーケット(Carrefour、Lulu)での特売利用とオンラインショッピング(Amazon UAE、Noon)の活用です。
特にラマダン期間中は多くの商品が割引価格で販売されるため、まとめ買いが効果的です。また、地元の市場(スーク)では新鮮な野菜や果物を安価で購入できます。日用品については、輸入品が多いため日本の1.2-1.5倍の価格帯ですが、現地ブランドを選択することで費用を抑えることができます。
家賃相場|人気エリア別の1LDK〜3LDK費用
ドバイの家賃は立地により大きく異なり、年間契約が基本となっています。人気エリアの月額家賃相場(2025年)では、最も高額なパーム・ジュメイラで3LDKが月額120万円を超える一方、郊外のミルディフでは月額30万円程度(*17)で同様の物件を借りることができます。
ジュメイラ
120万円
75万円
70万円
90万円
30万円
🗺️ 位置関係の説明:
- パーム・ジュメイラ: 西端の海上(人工島)
- ドバイ・マリーナ: パームの南東、海岸沿い
- JBR: マリーナの北東、ビーチ沿い
- ダウンタウン: 内陸部、パーム・マリーナから東へ約20km
- ミルディフ: さらに東、空港の東側
🏠 エリア別特徴:
- パーム・ジュメイラ: 人工島の超高級リゾートエリア、プライベートビーチ付き
- ドバイ・マリーナ: 高層タワー群、ヨットハーバー隣接の人気エリア
- JBR: ビーチフロント、レストラン・ショッピング充実
- ダウンタウン: ブルジュ・カリファ周辺、観光・ビジネスの中心地
- ミルディフ: 郊外の住宅地、ファミリー向けコミュニティ
📍 出典:
- JETRO ドバイ賃料調査(2025年)
- 在ドバイ日本国総領事館 生活情報
- Google Maps、OpenStreetMap、RERA公式地図
都心部でも短期滞在向けホテルアパートメントなら月額11万円程度からの選択肢があります。ドバイ・マリーナやダウンタウンなどの一等地のアパートでは月額AED 5,000からAED 12,000(約20万円から49万円(*18))です。
家賃の支払いは年間一括払いが一般的で、小切手による分割払い(通常4回または12回)も可能です。賃貸契約時には、家賃の5%の不動産手数料と保証金(通常家賃の5-10%)が必要になります。また、多くの物件では光熱費が家賃に含まれているため、実質的な住居コストを正確に把握することが重要です。
光熱費・通信費・交通費の月額モデルケース
ドバイの光熱費は85㎡のアパートメントで月額約3.4万円(840 AED)(*19)が標準的です。多くのマンションでは冷房費が管理費に含まれるため、実際の負担はより軽くなります。通信費は利用データ量により月額5,000-8,000円程度です。
交通費は公共交通機関が安価で、バス・電車は1ゾーン約90円、タクシーも初乗り約150円(*20)と日本より安価です。ドバイの電気・水道料金は政府補助により比較的安価に設定されており、一般的な2LDKアパートメントでは月額2-3万円程度です。
インターネット料金は高速回線(100Mbps)で月額約6,000円、携帯電話は無制限データプランで月額8,000円程度となっています。自家用車を所有する場合、ガソリン代は日本の約半額で、月額1-2万円程度です。駐車場代は立地により大きく異なり、都心部では月額1-3万円、郊外では無料の場合も多くあります。これらの固定費を合計すると、単身者で月額8-12万円程度の負担となります。
ドバイの治安は?安全に暮らすためのポイント
治安早見表|主要エリアの安全度を一覧で確認
安全
安全
安全
安全
注意
注意
労働者地区
注意
🛡️ 治安状況の詳細:
- 🟢 安全エリア: 24時間警備体制、監視カメラ完備、観光・ビジネス地区
- 🟡 注意エリア: 夜間の単独行動回避、貴重品管理徹底、現地情報確認
- 全体的特徴: ドバイは中東で最も治安の良い都市の一つ(世界平和度指数60位)
🚨 安全対策のポイント:
- 緊急連絡先: 警察999、救急998、日本領事館+971-4-293-0005
- 推奨行動: 主要エリア利用、夜間はタクシー移動、現地法規遵守
- 避けるべき: 深夜の人通りの少ない場所、無許可撮影、公然飲酒
📍 出典:
- ドバイ警察庁 治安統計(2025年)
- 在ドバイ日本国総領事館 安全情報
- 世界平和度指数、UAE内務省データ
ドバイの犯罪発生率は先進国の主要都市と比較しても極めて低い水準にあります。特に観光・ビジネスエリアでは24時間体制の警備が実施されています。
安全度が高いエリアとして、ダウンタウン・ドバイ(ブルジュ・カリファ周辺)、ドバイ・マリーナ(高級ヨットハーバー地区)、パーム・ジュメイラ(専門警備員常駐)、JBR(ジュメイラ・ビーチ・レジデンス)が挙げられます。
注意が必要なエリアとして、デイラ地区の一部(夜間の人通りが少ない)、ナイフ地区(安価な宿泊施設周辺)、労働者居住区域(観光インフラが未整備)(*21)があります。
ドバイでは、警察や治安当局の監視体制が非常に強力かつ迅速で、主要エリアや交通機関、ショッピングモール、観光地には大量の監視カメラが設置されており、何かトラブルが起きたときにはすぐに警察が駆けつける仕組みが整っています。このため、スリや暴力事件などの軽犯罪は極めて少ないのが現実です。女性の単独行動も日中であれば問題なく、夜間でも主要エリアでは安全に移動できます。
日本人が遭遇しやすいトラブル事例と対処法
日本人が注意すべき主な法的制約として、王族批判(罰金・禁固刑の可能性)、無断撮影・SNS投稿(サイバー犯罪法違反)、指定場所以外での飲酒・酩酊(法律違反)、露出の高い服装(宗教施設等で入場拒否)があります。ラマダン期間中は、日没までの公然とした飲食がマナー違反とされるため注意が必要です。
法律違反やマナー違反に対しては一切の猶予がない厳しい法執行体制が存在します。路上でのゴミのポイ捨てや唾を吐く行為、タクシー運転手との口論で声を荒げる、店員への不適切な発言や身振り、カメラで撮影してはいけない場所をうっかり撮ってしまうといった行為は、「公序良俗違反」「侮辱行為」「名誉毀損」として取り締まり対象になることがあります。
観光客だから許されるという考えは通用しません。特にSNSでの不適切な投稿は重大な問題となる可能性があり、事前に現地の法律や文化について十分に理解しておくことが重要です。
緊急時の警察・病院・大使館への連絡手順
緊急時の主要連絡先として、警察999、救急車・消防998、在ドバイ日本国総領事館+971-4-293-0005、緊急時領事サービス+971-50-158-9316があります。これらの番号は携帯電話に登録し、常に確認できる状態にしておくことが重要です。
警察への通報時は、英語またはアラビア語での対応となるため、基本的な英語表現を覚えておく必要があります。医療緊急事態の場合、私立病院では高額な治療費が発生するため、海外旅行保険または現地医療保険の加入が必須です。
日本国総領事館では、パスポートの紛失・盗難、事件・事故への巻き込まれ、病気・怪我による入院などの際にサポートを受けることができます。また、24時間対応の日本語医療相談サービスも利用可能で、軽微な症状であれば電話での相談も可能です。緊急時に備えて、保険証券のコピー、パスポートのコピー、緊急連絡先リストを複数箇所に保管しておくことをお勧めします。
ドバイの所得税ゼロと社会保険負担の実態|平均年収はどこまで増える?
所得税ゼロの仕組みと対象者
ドバイでは個人に対する所得税、住民税、キャピタルゲイン税、相続税が一切課されません(*6)。この税制優遇は外国人居住者にも適用され、稼いだ収入がそのまま手取りとなります。給与所得や不動産所得(家賃収入)などのインカムについてはすべて非課税です。
ドバイの主な財源は、関税(5%)で年間約37兆円の貿易額から徴収、飲食料・宿泊料(10%)(*22)で年間728万人の来訪者から、法人手数料で年間約100万円の事業ライセンス料となっています。
個人所得税が存在しない理由は、UAEが石油・天然ガス収入と貿易ハブとしての手数料収入により国家運営が可能だからです。ただし、個人事業者の場合、その所得がドバイ国内の事業または事業活動によって稼得されている場合に、法人税の対象となります。自然人については暦年の売上がAED 100万(約4,000万円)以下の場合には非課税となります。また、不動産、株式などの売却益(キャピタルゲイン)に課税される譲渡所得税もありません。
社会保険・年金負担比較で手取り何%増える?
日本との手取り額比較では、年収500万円で約111万円(28.5%)、年収1,000万円で約278万円(38.5%)の手取り増加となります。ただし、ドバイでは社会保障制度が限定的なため、民間医療保険への加入が必要です。健康保険は月額数千円から、家族4人で月額8万円程度の負担となります。
年収別手取り額の比較(万円)
💰 年収別手取り額比較 | 📊 日本とドバイの税制差を直感的に理解
📊 税制差の影響:
- 年収500万円: 日本の手取り357万円に対し、ドバイは500万円で143万円の差額(+28.6%)
- 年収1000万円: 日本の手取り622万円に対し、ドバイは1000万円で378万円の差額(+37.8%)
- 高所得者ほど恩恵大: 年収が高いほど税制優遇の効果が顕著に現れる
📍 計算根拠:
- 日本:所得税・住民税・社会保険料を含む国税庁標準モデル(*23)
- ドバイ:個人所得税0%、社会保険料なし(医療保険は別途)
- 為替レート:1AED=41円(2025年6月時点)
日本の所得税の最高税率は45%で、これに住民税・復興特別所得税が加算されますので、最高55.945%になります。一方、ドバイでは個人所得税が0%のため、この差額がそのまま手取り増加につながります。
ただし、日本の社会保険制度(健康保険、厚生年金、雇用保険等)がない分、自己責任での保険加入が必要です。年金制度については、日本の国民年金の海外任意加入や、個人年金保険での資産形成を検討する必要があります。医療費については、私立病院での治療費が高額になるため、包括的な医療保険への加入が不可欠です。
税優遇を受けるための居住要件と注意点
税制優遇を受けるための主な要件として、有効な居住ビザの保有、年間一定期間(通常183日以上)の滞在、UAE国内での所得源泉、適切なビザカテゴリーでの居住があります。2023年6月から法人税9%が導入されましたが、年間課税所得375万円以下は0%、フリーゾーン企業は条件により非課税が継続されています。
日本の税務上の非居住者となるためには、住民票の転出届提出、日本国内での住居の解約、生活の本拠地をドバイに移すことが必要です。ただし、日本人がドバイの相続制度を適用しようとしても、日本の相続税法が適用されるため、高いハードルがあります。
日本の相続税法では、被相続人(財産を残す人)、相続人(財産を受け継ぐ人)がともに「日本の非居住者」になる必要があり、かつ、10年以上ドバイに在住する必要があります。また、日本での不動産所得や事業所得がある場合は、日本での確定申告義務が継続する点にも注意が必要です。税務居住者の判定は複雑なため、専門家への相談が推奨されます。
日本とドバイの平均年収・物価差シミュレーション【2025年版】
職種別モデルケースで見る実質手取り
IT系ソフトウェア開発者の場合、ドバイでの年収400万円は日本での年収520万円相当の手取りとなります。金融アナリストでは、ドバイでの年収350万円が日本での年収455万円相当となり、税制優遇の恩恵が明確に現れます。これは所得税・住民税の負担がないことによる直接的なメリットです。
具体的なシミュレーションとして、日本で年収600万円のシステムエンジニアの場合、所得税・住民税・社会保険料を差し引いた手取りは約470万円となります。同じ職種でドバイで年収500万円を得た場合、所得税がゼロのため手取りは500万円となり、実質的に30万円の収入増となります。
さらに、ドバイでは残業代の概念が明確で、時間外労働に対する適切な対価が支払われるケースが多いため、実際の年収はより高くなる可能性があります。管理職レベルでは、この差額はさらに拡大し、年収1,000万円クラスでは200万円以上の手取り差が生まれます。ただし、退職金制度や企業年金制度が限定的なため、長期的な資産形成戦略が重要になります。
円→AED換算で可処分所得を比較
2025年6月現在、1AED=約41円(*24)で推移しており、ドバイでの月収15,000AED(約61万円)は日本での月収75万円の手取り(*25)に相当します。為替レートの変動リスクを考慮し、AED建ての資産形成と円建ての帰国資金準備の両立が重要です。
為替レートの変動は収入に直接影響するため、リスクヘッジが必要です。過去5年間で1AED=27円から41円まで変動しており、円安局面では実質的な収入増、円高局面では収入減となります。
このため、収入の一部を円建て資産で保有することや、為替予約を活用したリスク管理が推奨されます。また、ドバイでの生活費もAED建てのため、為替変動の影響を受けにくい利点があります。給与交渉時には、為替変動を考慮した調整条項を含めることも可能です。多くの外資系企業では、為替変動に応じた給与調整制度を導入しており、一定の為替レート変動幅を超えた場合に給与を調整する仕組みがあります。長期的な資産形成を考える場合、通貨分散投資が重要な戦略となります。
生活費モデル別|節約型・平均型・贅沢型の残額試算
節約型(月額25万円)では郊外居住、自炊中心、公共交通利用となります。平均型(月額35万円)では中心部居住、外食併用、タクシー利用となります。贅沢型(月額60万円)では高級エリア居住、外食中心、プライベート送迎となります。年収750万円の場合、節約型で年間525万円、平均型で330万円、贅沢型で30万円の貯蓄が可能となります。
年収750万円・生活費別の年間貯蓄額
💰 年収:750万円 | 📊 節約型:525万円貯蓄 | 💸 贅沢型:30万円貯蓄
📊 貯蓄シミュレーション分析:
- 節約型: 年間525万円貯蓄(貯蓄率70%)- 郊外居住、自炊中心
- 平均型: 年間330万円貯蓄(貯蓄率44%)- 中心部居住、外食併用
- 贅沢型: 年間30万円貯蓄(貯蓄率4%)- 高級エリア、外食中心
- 家賃差額: 節約型と贅沢型で年間384万円の差(月額32万円)
💡 資産形成戦略:
- 3年滞在:節約型1,575万円 vs 贅沢型90万円の貯蓄差
- 5年滞在:節約型2,625万円 vs 贅沢型150万円の貯蓄差
- 推奨:平均型で年330万円貯蓄、5年で1,650万円の資産形成
節約型の内訳は、家賃8万円(郊外シェアハウス)、食費3万円(自炊中心)、交通費1万円(公共交通)、光熱費2万円、通信費1万円、その他10万円となります。平均型では、家賃18万円(中心部1LDK)、食費6万円(外食併用)、交通費3万円(タクシー利用)、光熱費3万円、通信費1万円、その他4万円です。
贅沢型では、家賃40万円(高級エリア2LDK)、食費12万円(外食中心)、交通費5万円(プライベート送迎)、光熱費3万円となります。これらのモデルケースを参考に、個人のライフスタイルに応じた生活設計が可能です。
帰国時資産形成シナリオと貯蓄額の目安
3年間の滞在で、年収750万円・平均的生活の場合、約990万円の貯蓄が見込まれます。5年間では約1,650万円となり、日本での住宅購入やビジネス投資の原資として活用可能です。これは税制優遇による手取り増加と、計画的な資産形成による効果です。
具体的な資産形成戦略として、年間330万円の貯蓄のうち、200万円を円建て資産(日本の投資信託、国債等)、100万円をAED建て資産(現地銀行定期預金、UAE株式等)、30万円を緊急資金として現金保有することが推奨されます。
5年間の滞在では、円建て資産1,000万円、AED建て資産500万円、現金150万円の合計1,650万円の資産形成が可能です。帰国後の活用方法として、住宅購入の頭金、事業投資資金、子供の教育資金、老後資金の一部として活用できます。また、ドバイ滞在中に築いた国際的な人脈やビジネススキルは、帰国後のキャリアアップにも大きく貢献します。税制優遇期間を最大限活用するため、滞在期間の延長や永住権取得も検討する価値があります。
ドバイ家族移住でかかる生活費と教育コスト
家族向け住宅タイプ比較|一戸建て・アパート・シェア
家族向け住宅の選択肢として、高級コンドミニアムは月額50-120万円(3LDK、プール・ジム付き)、タウンハウスは月額35-80万円(専用庭付き、郊外立地)、ヴィラは月額60-200万円(一戸建て、プライベートプール)となっています。家族構成と予算に応じて最適な住居タイプを選択することが重要です。
高級コンドミニアムの特徴として、24時間セキュリティ、共用プール・ジム・子供の遊び場、メンテナンスサービス、都心部への好アクセスがあります。タウンハウスでは、専用庭でのBBQや家庭菜園、駐車場2台分、静かな住環境、コミュニティ内の公園や学校へのアクセスが良好です。
ヴィラタイプでは、完全なプライバシー、プライベートプール、大型駐車場、カスタマイズ可能な内装、ペット飼育可能などの利点があります。家族向け住宅では、学校区域(School Zone)の確認が重要で、人気のインターナショナルスクールに近い物件は家賃が高くなる傾向があります。また、多くの物件で家具付き(Furnished)と家具なし(Unfurnished)の選択が可能で、初期費用と利便性のバランスを考慮して決定します。
インターナショナルスクール学費と入学時期
ドバイのインターナショナルスクールの学費は年間180-300万円が相場です。カリキュラム別の特徴として、イギリス式は年間200-280万円で大学進学率が高く、アメリカ式は年間180-250万円で多様性重視、国際バカロレア(IB)は年間220-300万円で探究型学習となっています。
入学時期は9月が一般的で、人気校では1年前からの申込みが必要です。学費以外にも、入学金(10-50万円)、制服代(5-10万円)、教材費(年間10-20万円)、スクールバス代(年間15-25万円)、課外活動費(年間5-15万円)などの追加費用が発生します。
多くの学校では分割払いが可能で、通常3-4回に分けて支払います。また、兄弟姉妹割引制度を導入している学校も多く、2人目以降は10-20%の割引が適用されます。学校選択の際は、カリキュラムの内容、教師の質、施設の充実度、大学進学実績、日本人生徒の在籍状況などを総合的に検討することが重要です。
医療保険の選び方と私立病院の費用目安
家族向け医療保険は月額8-15万円(4人家族)が標準的です。カバー範囲により、基本プランは月額8万円で一般診療・緊急治療、総合プランは月額12万円で専門医・歯科治療込み、プレミアムプランは月額15万円で海外治療・健診込みとなっています。
ドバイの私立病院での治療費は高額で、一般的な診察で1-2万円、専門医の診察で3-5万円、入院費は1日あたり10-20万円程度となります。救急搬送費用も高額で、救急車の利用で5-10万円、ヘリコプター搬送では50-100万円の費用が発生します。このため、包括的な医療保険への加入は必須です。
保険選択の際は、カバー範囲、年間限度額、自己負担額、ネットワーク病院の充実度、日本語サポートの有無などを確認することが重要です。また、既往症の取り扱いや妊娠・出産に関する保障内容も事前に確認しておく必要があります。多くの保険会社では、健康診断の結果に基づいて保険料が決定されるため、加入前の健康管理も重要です。
FAQ|ドバイ移住の疑問をQ&Aで解決
ドバイ移住に必要な英語力と学習方法
Q: どの程度の英語力が必要ですか?
2019年、TOEIC720点で渡航した私は3か月ほど訛りに悪戦苦闘。日常は600点、ビジネスは750点が目安です。出発前に中東講師オンライン英会話+業務用語暗記、到着後は英語クラスへ通い一気に壁を突破し、高年収求人にも手が届きました。
ビザはどの種類を選ぶべき?取得手順の詳細はこちら
Q: 最適なビザタイプは?
ビザの種類・条件・申請書類は下記リンクで図入り解説しています。渡航目的に合ったビザを迷わず選ぶために、▼関連記事『【2025年最新】ドバイ(UEA)の入国ビザ手続き完全ガイド:日本人投資家が知るべき取得方法と注意点』をご覧ください。

平均年収が下がるケースはどんな人?
Q: 年収が下がる可能性はありますか?
日本で年収800万円超の公務員や大企業一般職は、ドバイ初年度400〜600万円スタートで手取り減を感じやすいです。私の知人も保険営業から移住し年収半減。ただ税金ゼロで可処分はほぼ横並びでした。移住前の資格取得と英語強化が減収回避の鍵です。
日本との物価差で注意すべき品目と買い方
Q: 高額になる商品は?
醤油・味噌・米など日本食材は2〜3倍、アルコールは3〜5倍。私も初月は外食中心で家計を圧迫しました。現地スーパーの特売日やオンライン購入、日本人コミュニティの共同購入で半額近くまで抑えられます。ガソリンや野菜は日本より安く助かります。
まとめ|ドバイ移住で収入を伸ばすコツと注意点
ドバイ移住前後で押さえる3つの数字
ドバイ移住を成功させるための重要な数字は以下の通りです。第一に年収750万円以上は、家族移住での安定生活に必要な水準です。第二に月額35万円は、中心部での標準的な生活費となります。第三に200万AED(約8,200万円)は、ゴールデンビザ取得に必要な不動産投資額です。これらの数字を基準として、移住計画を立てることが重要です。
年収750万円未満の場合でも、税制優遇により手取り額では日本での同等年収以上となる可能性があります。生活費35万円の内訳は、家賃18万円、食費6万円、交通費3万円、光熱費・通信費4万円、その他4万円となります。
不動産投資によるゴールデンビザ取得は、長期的な資産形成と永住権取得の両方を実現できる有効な手段です。ただし、これらの数字は個人の生活スタイルや家族構成により変動するため、詳細な事前調査と現実的な資金計画が必要です。また、為替レートの変動や現地の経済状況変化も考慮に入れる必要があります。
失敗しないための準備・行動チェックリスト
移住前の準備項目として、英語力向上(TOEIC750点以上目標)、職種別給与相場の詳細調査、ビザ要件と必要書類の確認、住居エリアの下見・仮契約、医療保険・教育機関の事前調査が必要です。移住後の重要アクションとして、銀行口座開設と資金移動、現地日本人コミュニティへの参加、税務居住者としての要件充足、緊急時連絡先の整備、中長期的な帰国・資産形成計画の策定があります。
時期 | 主なタスク | 備考 |
---|---|---|
12ヶ月前 |
情報収集・市場調査開始
英語学習プログラム開始
職種別給与相場の詳細調査
現地視察旅行の計画
|
TOEIC+150点目標 転職エージェント登録 現地不動産情報収集 |
6ヶ月前 |
ビザ申請手続き開始
必要書類の準備・認証
現地企業との面接調整
医療保険の事前調査
|
パスポート・学歴証明書 無犯罪証明書・健康診断 アポスティーユ認証 |
3ヶ月前 |
住居の仮契約・予約
インターナショナルスクール仮契約
引越し業者の選定・見積もり
日本での各種解約手続き
|
デポジット支払い 学校入学金納付 住民票転出準備 |
1ヶ月前 |
荷物発送(航空便・船便)
海外旅行保険・医療保険加入
銀行口座開設の事前準備
緊急連絡先リストの作成
|
重要書類は手荷物 現金・クレジットカード準備 日本の銀行への海外送金依頼 |
移住後3ヶ月 |
現地銀行口座開設
DEWA(電気・水道)登録
携帯電話契約・インターネット開通
Emirates ID申請
|
給与振込口座設定 公共料金自動引落 居住証明書取得 |
移住後6ヶ月 |
日本人コミュニティへの参加
現地での資格取得・更新
長期的なキャリアプラン見直し
投資・資産形成の開始
|
日本人会入会 業界団体加入 不動産投資検討 税務アドバイザー相談 |
📋 チェックリスト活用のポイント:
- 計画的準備: 各段階で必要な手続きを事前に把握し、余裕を持ったスケジュール設定
- 書類管理: 重要書類は複数コピーを作成し、デジタル化してクラウド保存
- 資金準備: 初期費用として最低6ヶ月分の生活費(200-300万円)を確保
- 情報更新: 法規制や手続きは変更される可能性があるため、最新情報を随時確認
⚠️ 重要な注意事項:
- ビザ要件: 職種や企業により必要書類が異なるため、専門家への相談推奨
- 税務処理: 日本の非居住者認定には厳格な要件があり、事前の税務相談が必要
- 緊急時対応: 現地での医療・法的トラブルに備えた保険加入と連絡先確保
📞 相談窓口:
- 在ドバイ日本国総領事館:+971-4-293-0005
- JETRO ドバイ事務所:+971-4-332-6986
- ドバイ日本人商工会議所:現地ビジネス相談
具体的な準備スケジュールとして、移住12ヶ月前からの情報収集、6ヶ月前からのビザ申請手続き、3ヶ月前からの住居・学校の仮契約、1ヶ月前からの荷物発送・各種手続きが推奨されます。
移住後の最初の3ヶ月は生活基盤の確立に集中し、6ヶ月後には現地での人脈構築、1年後には長期的なキャリアプランの見直しを行うことが重要です。失敗を避けるためには、過度な期待を持たず、段階的な目標設定を行うことが必要です。また、帰国の可能性も含めた柔軟な計画を立てることで、リスクを最小限に抑えることができます。
ドバイ移住は税制優遇と高収入の機会を提供する一方、住居費の高さや文化的適応など多くの課題も存在します。詳細な事前調査と現実的な資金計画により、移住メリットを最大化できるでしょう。
- *1 JETRO ドバイ基本情報:UAE在留邦人数(2024年)
- *2 Dubai Statistics Center:首長国別面積(2024年)
- *3 UAE National Center of Meteorology:ドバイ月別平均気温(1991-2020平年値)
- *4 IEP Global Peace Index 2024:中東順位・総合順位
- *5 外務省 海外安全ホームページ:UAE危険情報(2025年6月)
- *6 UAE Federal Tax Authority:所得税ゼロ方針
- *7 UAE Ministry of Finance:法人税法(2023年施行)
- *8 JLL UAE Investment Outlook 2024:不動産利回り5–9%
- *9 World Economic Forum:インフラ競争力指標(UAE)
- *10 UAE Statistics – Income Survey 2023:UAE国民平均年収
- *11 GulfTalent Salary Survey 2024:専門職平均年収
- *12 ILO Global Wage Database 2024:出稼ぎ労働者平均年収
- *13 Numbeo Cost of Living 2025:単身生活費月額
- *14 JETRO 投資コスト比較(賃金)2024:業界別給与レンジ
- *15 Dubai Economy – Price Bulletin 2025:主要食品小売価格
- *16 UAE Federal Tax Authority:VAT・サービス料合計22%
- *17 CBRE Dubai Market Rent Review 2025:エリア別家賃
- *18 Bayut Average Rents Report 2025:都心1LDK家賃帯
- *19 DEWA 年次報告:標準アパート光熱費
- *20 Dubai RTA Fare Table 2025:公共交通・タクシー料金
- *21 Dubai Police Crime Statistics 2024:エリア別犯罪率
- *22 UAE Ministry of Finance – Budget Report 2024:UAE歳入構造
- *23 国税庁 令和5年民間給与実態統計:日本の手取りモデル
- *24 日本銀行 外国為替市況:2025年6月AED/JPYレート
- *25 IMF IFS Database:為替換算と可処分所得指標