【最新版】日本人向けエジプトへの不動産投資の魅力とリスクを解説

エジプト不動産投資が注目される理由:世界の投資家が見逃せないポイント
エジプトは近年、不動産投資先として世界中の投資家から熱い視線を集めています。その背景には、1億人を超える巨大な人口と旺盛な住宅需要があります。
国連の統計によれば、エジプトの総人口は2024年時点で約1億660万人に達し、労働適齢人口(15~64歳)が全体の60%を占めます。平均年齢はわずか24.1歳と若く、人口構成はピラミッド型です。さらにカイロ首都圏だけで約2,000万人が暮らし、住宅不足が顕著となっています。
こうした圧倒的な需給ギャップに支えられ、不動産市場への内需は極めて強固です。実際、エジプトの不動産市場を支えるのは主に国内需要であり、人口増加に伴ってニーズが一層高まることは確実です。その将来性と安定性の高さから、エジプトは世界中の投資家にとって注目の的となっているのです。
▼エジプト人口増加推移(イメージグラフ)

加えて、エジプトの不動産は価格の安さも大きな魅力です。例えばエジプトの不動産価格は、東京の約20分の1、他のアジア新興国の約5分の1程度と格安だと指摘する声もあります。中東・北アフリカ地域で比較しても、同じ高級ブランド物件でドバイの4分の1ほどの価格というデータもあり、少ない資金で高品質な物件への投資が可能です。
そのため、高利回りが期待できる投資先として脚光を浴びています。実際、エジプトではインフレに伴い賃料も毎年5~8%程度上昇しており、不動産収益の向上と資産価値の上昇が見込める点も魅力です。こうした事情から、「安価に取得でき高い賃貸収入が得られる」エジプト不動産は、ポートフォリオの中で収益源となり得る存在として期待されています。
さらに、エジプト政府の国家戦略「エジプトビジョン2030」も不動産市場の追い風です。2016年に策定されたこの長期ビジョンでは、2030年までに実質GDP成長率12%という野心的な目標が掲げられ、その達成に向けて新首都の建設やインフラ整備、海外からの直接投資誘致が推進されています。
首都機能の移転を含む新都市開発計画はまさにその一例で、現在カイロ東方45kmの砂漠地帯で「新行政首都(ニューキャピタル)」の建設が進行中です。この新首都は東京23区と同等の約709平方キロメートル(計画人口650万人規模)の巨大プロジェクトであり、政府機関や企業の移転に伴う経済効果と不動産需要の高まりが期待されています。
実際、新首都の経済発展に伴って周辺不動産価格の上昇が見込まれるため、世界の投資家にとっても「今世紀最大級のチャンス」とも称される注目エリアとなっています。こうした要因が相まって、エジプトの不動産市場は大きな注目を集めています。
特に日本人投資家にとっては、日本国内や他の先進国では得られない高い成長性と収益性を秘めており、分散投資の受け皿として検討する価値が十分にあるでしょう。
投資環境の伸びしろを解説:経済成長・インフラ整備がもたらす恩恵
エジプトの投資環境は、力強い経済成長と積極的なインフラ整備によって着実に改善しています。近年のエジプト経済は改革の成果もあって堅調で、2021/2022年度には実質GDP成長率6.6%を記録しました。直近では世界的な逆風の中で成長ペースこそ緩やかになったものの、中期的には年5%前後の安定成長が見込まれています。
政府はIMFとも協調しつつマクロ経済の安定化と民間主導の成長促進に取り組んでおり、為替制度の柔軟化や国営企業の民営化促進など、投資環境の改善に向けた構造改革が進められています。
これらの改革により民間企業の活躍余地が広がれば、エジプト経済の潜在成長力は一層引き出され、不動産市場にも恩恵をもたらすでしょう。特に注目すべきは、大規模インフラプロジェクトの推進です。エジプト政府は経済発展の基盤として全国的なインフラ整備を加速しており、新首都建設をはじめ各地で道路・交通網や公共施設の拡充が行われています。
例えば、カイロから新行政首都を結ぶ4本の主要高速道路はすでに完成し、地中海沿岸や紅海沿岸でも新たな高速道路建設が進んでいます。また、カイロ都市圏では地下鉄延伸やモノレール新設による公共交通網の強化が図られており、新首都と既存都市とのアクセス改善も計画されています。これらのインフラ整備は、都市間の移動や物流を円滑にするだけでなく、沿線地域の宅地開発や商業開発を促進し、不動産価値の底上げにつながっています。
実際、新首都とカイロを結ぶモノレール沿線に位置する「ニューカイロ」ではアクセス向上への期待から不動産需要が高まり、投資先としての安心感が増しているとの報告もあります。エジプトの投資優遇策も見逃せません。政府は2017年に新たな投資法(第72号)を施行し、税制優遇やワンストップサービスの提供など海外資本を呼び込む制度整備を進めてきました。
近年では外貨獲得を急務と位置付け、外国人投資家に対する各種規制の緩和にも踏み出しています。2025年3月24日には、政府は「外国人への不動産販売を通じて、年間100〜150億ドルの外貨を獲得する」方針を正式に発表しました。これは外国からより多くの資金を呼び込み、ドバイのような国際都市を創出する戦略の一環です。このような投資環境の整備強化により、海外からの直接投資も増加傾向にあります。
事実、湾岸アラブ諸国などからの対エジプト直接投資は近年拡大しており、欧州がエネルギー・インフラに注力する一方でアラブ諸国は不動産開発分野に積極投資しているとの分析もあります。巨額の海外マネーが不動産プロジェクトに流入することで、国内の建設ラッシュや新規開発が後押しされ、マーケット全体の成長余地(伸びしろ)はますます大きくなっています。
総じて、エジプトの投資環境は「高成長を支える土台作り」の段階にあり、経済発展とインフラ整備の恩恵が不動産セクターにも波及しています。堅調な経済と充実する基盤整備は、賃貸需要の増加や資産価値の向上という形で不動産投資にプラスに働きます。今後も改革と開発が進展すれば、エジプトは投資家にとって一層魅力的で実りある市場となるでしょう。
▼エジプトGDP成長率の推移(イメージグラフ)

主要都市・地区の不動産動向:セクター別に見る魅力
エジプトの不動産市場は国土の広範囲にわたりますが、主要都市圏ごとに特色ある成長を遂げています。中でも中心的存在は首都カイロを含む大カイロ都市圏です。同圏は人口約2,000万を抱える一大経済圏であり、現在エジプト国内の不動産投資の約56.1%がカイロに集中しています。カイロ市内および周辺では住宅・オフィス・商業施設すべてのセクターで需要が旺盛です。
著しい人口集中による市街地の過密化と老朽建物の更新需要を背景に、都市再開発や新規住宅プロジェクトが相次いでいます。また政府主導で建設中の新行政首都(NAC)は、カイロ東郊に位置する「エジプト近代化の象徴」とも言えるエリアです。NACでは行政機関の移転が進み、それに伴って民間企業による大規模開発プロジェクトが活発化しています。
実際、新首都で進行中のプロジェクトの85%以上は民間セクター主導であり、高級住宅地「R7地区」をはじめ、オフィスビルや商業施設の建設ラッシュとなっています。将来的な資産価値の向上が期待できる新首都は、今後も国内外の投資家にとって見逃せない有望エリアであり続けるでしょう。
カイロ近郊では、他にもニューカイロや6th of October City(6オクトーバー市)、シェイク・ザイード市といった新興都市が発展しています。ニューカイロはカイロ市街の東に位置する計画都市で、富裕層向け住宅地として整備されてきました。
すでに充実した都市インフラと良好な治安環境を備えており、高級アパートやヴィラへの需要が非常に高い地域です。政府系大学や行政機関の一部も移転してきているため、人口流入が続き不動産市場の活発さが維持されています。
一方、6オクトーバー市とシェイク・ザイード市はカイロ西側のギザ県に位置する衛星都市で、それぞれ独自の成長機会を提供する主要投資エリアです。これらの地区では近代的な住宅街や産業団地の開発が進み、中上流層の住宅需要や物流施設需要の受け皿として機能しています。
特に6オクトーバー市には多数の企業オフィスや工業施設が集積し、大型ショッピングモールなど商業開発も盛んです。シェイク・ザイード市も緑豊かな高級住宅街として人気で、首都圏の人口拡散を支える重要拠点となっています。
次に、エジプト第2の都市アレクサンドリアの動向にも触れておきましょう。地中海沿岸に位置するアレクサンドリアは人口約500万人の港湾都市で、古くから商業・貿易の中心地として栄えてきました。
近年は工業団地の造成や港湾の拡張整備が行われ、物流ハブとしての役割が増しています。これに伴い、市内および周辺の不動産市場でも工業用地や物流倉庫への需要が伸びています。
また、地中海リゾート地としての側面も持ち、夏季には国内外からの観光客が訪れるため短期賃貸物件やリゾートマンションの需要も存在します。アレクサンドリアの不動産価格水準はカイロほど高騰していないものの、経済成長と人口増加に支えられ緩やかな上昇傾向が続いています。観光開発や工業投資など多面的な発展機会を持つ同市は、カイロに次ぐ有望市場として注目されています。
さらに、エジプト各地に点在する新興開発エリアも見逃せません。例えば地中海沿岸のラース・エルヘクマ周辺では、アブダビ投資庁(ADQ)との提携による総額350億ドル規模のリゾート開発プロジェクトが進行中です。このプロジェクトではインフラから大型リゾート施設まで一体的に開発が行われ、うち240億ドルは外国直接投資(FDI)としてエジプトに流入しています。
美しいビーチを擁するラース・エルヘクマ地域は将来の国際的リゾート都市を目指しており、新たな雇用創出とさらなる海外資本の誘致が期待されています。紅海沿岸でも、ハルガダやシャルム・エル・シェイクといったリゾート都市でホテルや別荘開発が盛んです。これらの地域はエジプト屈指の観光地であり、欧州や中東からの観光客増加に合わせて不動産需要が高まりつつあります。
特にシャルム・エル・シェイクは2022年に国際会議(COP27)の開催地となるなど注目度が増しており、高級リゾート物件への投資案件も見受けられます。セクター別に見ると、エジプト不動産市場は住宅、オフィス、商業施設のいずれも底堅い需要があります。住宅市場では人口増と都市化により恒常的な住宅不足が続いており、新築住宅価格は前年比15~20%もの上昇を記録しています。
カイロ近郊の新都市や高級住宅地では富裕層や外国人投資家による物件購入が活発で、高層マンションやヴィラへの需要が高水準です。一方で、インフレと金利上昇により住宅ローン利用が難しくなっている影響から、中価格帯アパートメントへの需要も伸びています。オフィス市場では、新行政首都への政府機関移転を契機に最新鋭のオフィスビル需要が拡大しています。民間企業もそれに追随して一部を新首都へ移転する動きがあり、最新設備を備えたオフィス空間の供給が増えています。
また従来のカイロ都心部でもグレードAオフィスの不足から賃料は上昇傾向です。商業不動産については、経済成長と所得向上を背景に小売市場が堅調で、国内消費は力強さを維持しています。カイロ、ギザ、アレクサンドリアなど主要都市では大型ショッピングモールの新設・拡張が相次ぎ、外国ブランド店舗数の増加が報告されています。このようにエリアごと・用途ごとに明確な需要が存在し、多面的な成長を遂げているのがエジプト不動産市場の特徴です。
エジプト不動産投資の魅力:高利回り・分散効果を徹底解説
ここからは、エジプト不動産投資が持つ具体的なメリット(魅力)を掘り下げて解説します。日本人投資家にとっても魅力的なポイントは大きく分けて以下のとおりです。
高利回りの仕組みとポートフォリオ分散のイメージ
JETROのエジプト情報によると、国内金利が高水準で推移している背景から エジプトポンド建て資産は高い利回りを生み出す可能性があります。 一方で、円建て資産に比べると為替変動リスクやインフレリスクも考慮する必要があります。 しかし、両通貨を組み合わせることで、リスクを分散しながら成長の恩恵を狙えるのが魅力です。
円建て資産
- 国内預金・債券
- 日本株式・投資信託
- 国内不動産
特徴
比較的安定した資産。ただし低金利のためリターンが限定的になる場合がある。
エジプトポンド建て資産
- エジプト不動産
- 現地通貨預金
- 海外投資ファンド(エジプト向け)
特徴
高金利環境や経済成長の恩恵で高リターンが期待可能。ただし為替リスク・インフレリスクに注意。
↓ 分散投資によるリスク軽減 & 高利回りの可能性
円建てとエジプトポンド建ての両方を組み合わせた ポートフォリオを構築することで、国内市場の低金利による リターン不足や為替変動リスクを緩和しつつ、エジプトの高成長 と高金利のメリットを享受できる可能性があります。JETROの情報 を参照すると、エジプトではインフレ率が高止まりする一方で、 名目金利水準が依然として高く、不動産利回りも比較的高水準を維持 していることが確認できます。リスクを十分把握しながらも、 エジプトポンド建て資産を取り入れることで多様性と成長を狙った 戦略を立てることが可能です。
高い利回り
エジプト不動産最大の魅力は何といっても賃貸利回りの高さです。インフレ水準が高いエジプトでは銀行預金金利も二桁に達しており、不動産の賃貸利回りもそれに見合った高水準となる傾向があります。
実際、都心部の優良物件でも年間20%前後の利回りが狙えるケースがあるとも言われています。高級ブランド住宅は一般的な高級アパートと比べて、資産価値が25~35%高く、賃料収益も12%多いというデータもあります。
日本や他の先進国では到底望めないような二桁台後半の利回りが現地では可能であり、この点が投資妙味として注目されています。ただし、この利回りは現地通貨(エジプトポンド)ベースで算出されたものです。
為替変動による目減りリスクも考慮する必要はありますが、それを差し引いても非常に高いキャッシュフローを生み得る点は魅力です。物件価格が安い分初期投資額を抑えられることもあり、少ない元手で高収益物件を保有できるチャンスが広がっています。
ポートフォリオの分散効果
エジプト不動産への投資は、日本国内中心の資産ポートフォリオに地理的・通貨的な分散をもたらします。日本とエジプトでは経済環境や市場サイクルが異なるため、両市場に資産を分散することでリスクを分散できます。例えば、日本経済が低迷してもエジプト経済が成長していれば、その間エジプト物件からの賃料収入で損失を補える可能性があります。
また、投資通貨が円からエジプトポンド(または米ドル建て物件の場合は米ドル等)に分散されることで、特定通貨の下落リスクにも備えられます。エジプトポンドは近年大きく価値を下げましたが、その分現地資産を安価に取得できる好機とも捉えられます。将来的にエジプト経済の安定化に伴い通貨価値が上向けば、為替差益も得られる可能性があります(もっとも為替動向は不確実であり、慎重な見極めが必要です)。
このように、エジプト不動産は日本株や国内不動産と相関の低い資産として、長期的な運用リスクを軽減しつつリターンの底上げを図る手段となり得ます。
低い災害リスク
意外に思われるかもしれませんが、エジプトは自然災害リスクが極めて低い国でもあります。日本のような地震大国でもなく、台風や大雨による洪水も少ない乾燥地域です。そのため不動産物件が天災で甚大な被害を受けるリスクが小さく、保険コストも比較的低く抑えられます。
実際、エジプトでは大規模自然災害の報告例がほとんどなく、気候変動による海面上昇など限定的な影響を除けば、物理的リスクは低水準といえます。この点は日本や環太平洋地域の物件にはない安心材料であり、長期保有にも適した環境といえるでしょう。
税制上のメリット
エジプトの不動産にかかる税金は、先進国と比べても軽減されている場合が多いです。物件購入時の税負担(印紙税や登録税)は物件評価額の数%程度とされ、保有期間中の不動産税も評価額によっては免税枠があります。また賃貸所得に対する課税も累進制ですが、控除枠が比較的大きく設定されています。
加えてエジプトは日本と租税条約を結んでおり、二重課税防止措置も講じられています。総じて投資後のランニングコストが低めである点は、ネット利回り(手取り収益)を高める上で有利です。ただし税制は変更の可能性があるため、常に最新情報を確認し専門家に相談することが大切です。
以上のように、エジプト不動産投資には高利回りによる収益性とリスク分散や長期安定性といった魅力が数多く存在します。他地域への投資と比べても際立つ特徴が多いため、自身の投資目的に照らしてこれらメリットを最大限活かせるなら、エジプトは非常に有望な投資先となるでしょう。
最新データで見るエジプト不動産:市場規模・取引量の傾向
エジプト不動産市場の現在の姿を、最新データを用いて俯瞰してみます。まず市場規模について、エジプトの不動産・建設セクターは同国経済において非常に大きな位置を占めています。
2024年第2四半期の統計によれば、不動産セクターと建設セクターは前年同期比でそれぞれ3.75%・5.47%の成長率を記録し、両セクター合計でGDPの18.3%を占めました。これは不動産関連産業がエジプト経済の重要な柱であることを示す数字です。
同じ時期、エジプト経済全体も安定成長を続けており、不動産市場は経済の成長エンジンの一つとなっています。市場規模を金額ベースで見る推計もあります。民間調査会社の予測によると、エジプトの住宅不動産市場規模は2025年に約219.5億米ドル、2030年には約369.2億米ドルに達すると予測されています。
年平均成長率にして約11%もの伸びが見込まれており、この勢いが実現すれば今後数年で市場規模は現在の1.5倍以上に拡大する計算です。ただしインフレや為替の影響も含まれた数字である点には注意が必要ですが、少なくとも名目規模では大幅な拡大傾向が示唆されています。
次に取引量や投資動向を見てみましょう。前章でも触れたように、地理的には首都圏のカイロが不動産投資の過半を集めています。直近の統計では、エジプト国内で進行中の不動産プロジェクト全体のうち実に56.1%がカイロ圏に集中しており、依然としてカイロ一極集中的な市場構造となっています。これは人口・経済規模の面でカイロが突出しているためですが、同時に新行政首都(NAC)への投資が数字を押し上げている面もあります。
NAC単体では、全プロジェクト数の約20%弱を占めるとの推計もあり、今後NACが完成に近づくにつれてカイロ圏に占める割合はさらに高まる可能性があります。また興味深いデータとして、エジプト国内の不動産プロジェクトの主体別構成があります。2024年第2四半期時点で、進行中プロジェクトの68.6%は民間(プライベートセクター)によるもので、残りが政府など公共セクターによるものです。
つまり約7割を民間が担っており、特に新行政首都では85%以上が民間開発という状況です。政府主導プロジェクトは数は少ないものの一件ごとの規模は大きく、インフラ整備など都市開発の要となっています。このデータから、不動産市場の成長を牽引しているのは民間デベロッパーによる旺盛な開発投資であることが読み取れます。
一方で政府も土地供給や制度整備を通じて民間投資を下支えしており、官民が協調して市場拡大に寄与している構図です。取引量そのものに関する公式統計は限定的ですが、周辺指標から市場の活況ぶりが窺えます。例えば住宅販売件数や賃貸契約件数は、公的には公表されていないものの、現地不動産ポータルサイトのデータによれば主要都市の物件掲載数・成約数は前年同期比で増加していると報告されています。
また、コロナ禍を経て不動産売買のデジタル化も進み、Aqarmapのようなオンラインプラットフォームの利用者数が急増しました。2020年の外出制限下でも「オンラインでの不動産検索や予約数が増加した」との証言があり、若年人口の多いエジプトではITを活用したマーケットの拡大が続いています。こうした背景もあって、個人投資家や実需層による取引量は底堅く推移していると見られます。
また、海外からの不動産投資マネー流入もデータで確認できます。前述のように、アブダビ投資庁(ADQ)によるリゾート開発へのFDI参入(240億ドル)や、湾岸諸国からの不動産・開発分野への投資増加は、市場の取引量拡大を裏付けるものです。さらに2022年頃からは、中国や欧州の投資家グループがエジプトの物流施設やホテル物件に関心を示す動きも伝えられており、国際投資家層の参入で大型案件の取引も散見されるようになりました。
今後外国人の物件購入規制が正式に緩和されれば、中小規模の物件でも海外投資家による売買が活発化し、取引量は一段と増える可能性があります。総合すると、最新データが示すエジプト不動産市場は「堅調な成長トレンド」にあります。市場規模は拡大を続け、取引も活発化の兆しを見せています。
もっとも、これらのデータは主に名目値であり、高インフレ下では数字が膨らみやすい点には留意が必要です。しかしインフレ調整後の実質でも需要は増大していると考えられ、人口動態や都市化の進展を踏まえればこの傾向は今後も継続すると見られます。定量データを通じて確認できる市場の勢いは、投資判断において大きな後押し材料となるでしょう。
年 | 不動産セクターの市場規模 (億USD) | 建設セクターのGDP占有率 (%) |
---|---|---|
2021 | 200 | 12.5 |
2022 | 220 | 13.2 |
2023 | 250 | 13.8 |