ロンドン移住のリアルを解説|物価・治安・平均年収などを徹底ガイド

ロンドンへの移住を検討している日本人にとって、2025年の最新情報は極めて重要です。英国の首都ロンドンは、世界的な金融センターとして多くの日本企業が進出し、現在も数万人の日本人が生活しています。本ガイドでは、実際の生活コストから治安情報、平均年収まで、移住前に知っておくべき全ての情報を包括的に解説します。

目次

【2025年版】ロンドン移住の概要を数字でチェック|【図解あり】

ロンドンの人口・気候・日本人比率を把握

ロンドンの2025年現在の人口は984万1,000人で、前年比0.95%の増加を記録しています(*1)。大ロンドン地域全体では880万人が生活しており、その46%が黒人・アジア系・少数民族で構成される多様性豊かな都市です(*2)。

気候は温帯海洋性気候で、年間平均気温は14℃(57°F)、降水量は年間約52インチ(約132cm)となっています(*3)。

注釈:

  • 2015〜2023年のデータは英国国家統計局(ONS)の公式統計に基づく実績値
  • 2025年*は ONS 2022-based 予測の線形補間値(予測値)
  • 2021年は国勢調査(Census)基準の確定値、2023年は暫定値
  • 10年間で約50万人(5.8%)の人口増加トレンドを示す
  • 出典:ONS mid-year population estimates (ons.gov.uk)

日本人コミュニティについては、2001年の統計で英国在住の日本生まれの住民の半数以上がロンドンに居住しており(*4)、特にアクトンやフィンチリー、クロイドンなどの地域に集中しています。1990年代の調査では、日本企業の中間管理職はイーリング、フィンチリー、ゴールダーズ・グリーンに住む傾向があり、上級管理職はハムステッドやセント・ジョンズ・ウッドを選ぶことが多いとされています(*5)。

多文化共生の環境で、日本人にとっても住みやすい基盤が整っています。

月いくらで暮らせる?平均生活コストの早見表

2025年のロンドンでの生活コストは、単身者で月額2,000〜3,000ポンド(約40万〜60万円)、カップルで月額3,000〜4,500ポンド(約60万〜90万円)が目安となります(*6)。これは家賃を含む全ての生活費で、ライフスタイルや居住エリアによって大きく変動します。

単身・カップル別 1か月生活費内訳(2025年ロンドン)
項目 単身者 (£) カップル (£) 出典
家賃 1,500 2,200 本文試算(ゾーン3/2)
食費 300 500 本文 & JETRO 食品価格調査 2025年3月
交通費 200 350 TfL 2025料金表
光熱費 100 150 JETRO「投資コスト比較」水準
その他 100 300 本文平均
合計 2,200 3,500 月額生活費総額

注釈:

  • 単身者はゾーン3、カップルはゾーン2の物件を想定した試算
  • 食費は自炊中心の場合。外食頻度により大幅に変動
  • 交通費はOysterカード利用時の月間上限額を基準
  • 光熱費は住宅規模と使用量により変動
  • その他には通信費、娯楽費、雑費等を含む

具体的な内訳として、単身者の予算パターンでは、ゾーン3での家賃1,500ポンド(約30万円)、食費300ポンド(約6万円)、交通費200ポンド(約4万円)、光熱費100ポンド(約2万円)、その他100ポンド(約2万円)で合計2,200ポンド(約44万円)となります(*6)。

快適な生活を送りたい場合は、ゾーン2での家賃1,800ポンド(約36万円)、食費400ポンド(約8万円)、交通費250ポンド(約5万円)、娯楽費200ポンド(約4万円)を含めて月額3,000ポンド(約60万円)程度を見込む必要があります。

移住準備にかかる初期費用とタイムライン

ロンドン移住の初期費用は総額8,400〜17,000ポンド(約168万〜340万円)が目安で、6ヶ月前から計画的な準備が必要です。移住6〜4ヶ月前にはビザ申請(1,400〜2,500ポンド(*7)、約28万〜50万円)を開始し、3〜2ヶ月前には住居探しと保証金の支払い(3,000〜6,000ポンド(*7)、約60万〜120万円)を行います。

ロンドン移住準備スケジュールと費用
-6〜-4ヶ月
-3〜-2ヶ月
-2〜-1ヶ月
-1ヶ月
到着直後
1〜2ヶ月後
ビザ申請
£1,400-2,500
申請書類準備、健康診断、申請料、バイオメトリクス登録
住居探し
£3,000-6,000
物件検索、内見、敷金・前払い家賃、リファレンスチェック
学校・サービス
£500-2,000
学校申請、NHS登録、銀行口座開設、保険加入
渡航準備
£1,000-2,000
航空券、荷物輸送、海外転出届、最終手続き
初期生活費
£2,000-3,000
家具・家電購入、食料品、交通費、緊急時資金
追加生活費
£500-1,500
生活用品補充、職場環境整備、コミュニティ参加費
移住準備総費用
£8,400 – £17,000
(約168万円 – 340万円)

注釈:

  • 費用は個人の状況やビザタイプにより大幅に変動する場合があります
  • 住居費用は地域・物件タイプにより最も変動幅が大きい項目です
  • 為替レート変動により円換算額は変動します(1ポンド=200円で計算)
  • 緊急時や予期しない出費に備えて、予算の10-20%の余裕を持つことを推奨
  • 各段階で専門家(移民弁護士、不動産エージェント等)への相談費用も考慮してください

2〜1ヶ月前には学校への申請や各種サービスの手配(500〜2,000ポンド、約10万〜40万円)、1ヶ月前には渡航準備や最終手続き(1,000〜2,000ポンド、約20万〜40万円)を完了させます。到着後の初期生活費として2,000〜3,000ポンド(約40万〜60万円)、完全な定住までの1〜2ヶ月間で追加の500〜1,500ポンド(約10万〜30万円)を見込んでおく必要があります。

段階的な準備により、スムーズな移住が実現できます。

生活費と物価のリアル|家賃から日用品まで

家賃と光熱費の目安|物件タイプ別

ロンドンの家賃は交通ゾーンによって大幅に異なり、ゾーン1の1ベッドルームで月額2,500ポンド(約50万円)以上、ゾーン2で1,800ポンド(約36万円)、ゾーン3で1,500ポンド(約30万円)(*9)程度が相場です。2025年5月時点でのロンドン全体の平均家賃は月額2,088ポンド(約42万円)ですが、ロンドン以外の英国平均は1,124ポンド(約22万円)と大きな差があります(*8)。

注釈:

  • ゾーン1(中心部)からゾーン4(郊外)への移住で月額最大1,300ポンド(約26万円)の節約効果
  • 英国平均と比較してもロンドンゾーン4は約7%高い水準
  • 1ベッドルーム物件の平均値。物件タイプや設備により大幅に変動
  • 2025年5月時点の市場データに基づく
  • 出典:JETRO「投資コスト比較 2024」住宅賃料行、各種不動産サイト調査

光熱費については、2025年の電気料金が年間729.81ポンド(約15万円)、ガス料金が年間803.85ポンド(約16万円)となっており、これに日割り計算の基本料金(電気53.80ペンス/日、ガス32.67ペンス/日)が加算されます。

住宅規模別では、1〜2ベッドルームで年間1,326.40ポンド(約27万円)(*10)、3〜4ベッドルームで1,849.27ポンド(約37万円)、5ベッドルーム以上で2,612.14ポンド(約52万円)が電気・ガス合計の目安となります。

食費・外食費の実例|スーパー価格とレストラン相場

食費については、スーパーマーケットでの買い物が最も経済的で、2025年5月時点でAldiが最安値(82品目で135.48ポンド、約2.7万円)、続いてLidl(135.79ポンド、約2.7万円)、Asda(149.94ポンド、約3万円)となっています。一方、Waitroseは184.03ポンド(約3.7万円)と最も高額で、最安値との差は36%に達します(*11)。

注釈:

  • 最安値のAldi(£135.48)と最高値のWaitrose(£184.03)の価格差は36%
  • ディスカウント系(Aldi、Lidl)と高級系(Waitrose)で約£50(約1万円)の差
  • 同一82品目での比較調査。ブランド品・プライベートブランド混在
  • 価格は店舗立地や時期により変動する場合があります
  • 出典:Which? 月次調査(2025年5月)- 英国消費者団体による定期価格調査

💡 節約ポイント: Aldi・Lidlでの買い物により、年間約£600(約12万円)の食費節約が可能

外食費用は立地によって大きく異なり、カジュアルレストランでのランチが12〜20ポンド(約2,400〜4,000円)、中級レストランでのディナーが25〜50ポンド(約5,000〜1万円)、高級レストランでは70〜150ポンド(約1.4万〜3万円)以上となります。

2025年は食品価格の上昇が予想されており、レストランでは平均8%の値上げ(*12)が見込まれ、2023年中期以降で合計28%の価格上昇となる可能性があります。自炊を中心とした食生活により、大幅な節約が可能です。

交通費・通信費の節約ポイント

ロンドンの公共交通機関では、Oysterカードまたはコンタクトレス決済の利用が必須で、現金利用の場合は一律7ポンド(約1,400円)と割高になります。2025年3月からの料金改定により、ゾーン1〜2の日額上限は8.90ポンド(約1,780円)、ゾーン1〜6では16.30ポンド(約3,260円)となっています(*13)。

通信費については、eSIMプランが最も経済的で、月額2.90ポンド(約580円)から利用可能です。データ通信量別では、1GBで月額3.50〜5.00ポンド(約700〜1,000円)、3GBで4.00〜6.00ポンド(約800〜1,200円)、20GBで6.90ポンド(約1,380円)程度が相場となっています(*14)。

eSIM/SIM 月額料金比較(データ別)
プラン名 データ量 月額料金 (£) 円換算 GB単価 (£)
Spusu Basic 1 GB 2.90 約580円 2.90
Mozillion 24M 1 GB 3.50 約700円 3.50
Spusu Plus 10 GB 5.90 約1,180円 0.59
iD Mobile 20 GB 6.00 約1,200円 0.30

💰 最安値

Spusu Basic
1GB: £2.90/月

📊 コスパ最高

iD Mobile
20GB: £0.30/GB

🎯 中容量

Spusu Plus
10GB: £5.90/月

注釈:

  • 料金は2025年6月時点の標準プラン。キャンペーン価格は除く
  • Mozillion 24Mは24ヶ月契約時の料金。短期契約では料金が異なる場合あり
  • 円換算は1ポンド=200円で計算(為替変動により変動)
  • データ超過時の追加料金や速度制限は各社異なります
  • eSIM対応可否は事前に各社へ確認することを推奨

📱 選び方のポイント

軽量ユーザー(1-3GB)
→ Spusu Basic(£2.90)
中量ユーザー(5-15GB)
→ Spusu Plus(£5.90)
大容量ユーザー(15GB+)
→ iD Mobile(£6.00)

国際通話が多い場合は、専用アプリやVoIPサービスの併用で費用を大幅に削減できます。適切なプラン選択により、通信費を月額1,000円以下に抑えることも可能です。

平均年収と手取り額の実態|業種別データで解説

主な業界別の平均年収とキャリアパス

ロンドンでは業界によって年収に大きな差があり、金融・保険業界が最高で週給1,332ポンド(年収約69,264ポンド、約1,385万円)、続いて情報通信業が週給1,178ポンド(年収約61,256ポンド、約1,225万円)となっています(*15)。専門・科学・技術サービス業は週給1,010ポンド(年収約52,520ポンド、約1,050万円)、建設業は792ポンド(年収約41,184ポンド、約824万円)、公共部門は761ポンド(年収約39,572ポンド、約791万円)が平均となります。

注釈:

  • 金融・保険業界(£1,332/週)と公共部門(£761/週)の週給差は約£571(年収差約£29,692)
  • 情報通信業界は金融に次ぐ高収入業界で、週給£1,178(年収約£61,256)
  • 週給データはONS ASHE 2024の公式統計に基づく
  • 年収換算は週給×52週で計算
  • 出典:ONS Annual Survey of Hours and Earnings (ASHE) 2024 (ons.gov.uk)

💰 最高収入

金融・保険
£1,332/週 (年収約£69,264)

💻 IT関連

情報通信
£1,178/週 (年収約£61,256)

🔧 技術系

専門・科学技術
£1,010/週 (年収約£52,520)

📊 キャリア選択のポイント

高収入を目指すなら: 金融・保険業界が圧倒的に有利(年収約1,385万円)

IT・テック系: 情報通信業界で安定した高収入が期待可能(年収約1,225万円)

ワークライフバランス重視: 公共部門は収入は控えめだが安定性と福利厚生が充実

ロンドン全体の平均週給は950ポンドで、これは英国全体の平均716ポンドを大幅に上回り、地方都市と比較して最大30%高い水準となっています(*15)。

キャリア進展においては、金融業界では管理職レベルで年収10万ポンド(約2,000万円)超も珍しくなく、IT業界でも専門職として経験を積むことで着実な昇進が期待できます。

税引き後手取り額シミュレーション

英国の税制では、個人所得税率が年収12,570ポンド(約251万円)まで0%、12,571〜50,270ポンド(約251万〜1,005万円)で20%、50,271〜125,140ポンド(約1,005万〜2,503万円)で40%、125,140ポンド(約2,503万円)超で45%となっています。これに加えて国民保険料が週給242ポンド以上で8%、967ポンド以上の部分は2%が課されます(*16)。

具体例として、年収50,000ポンド(約1,000万円)の場合、所得税7,486ポンド(約150万円)、国民保険料3,046ポンド(約61万円)で合計10,532ポンド(約211万円)が控除され、手取りは39,468ポンド(月額約3,289ポンド、約66万円)となります。

年収70,000ポンド(約1,400万円)では所得税15,486ポンド(約310万円)、国民保険料4,646ポンド(約93万円)で手取り49,868ポンド(月額約4,156ポンド、約83万円)となり、税負担率は約29%に達します(*16)。

生活費とのバランス指標で見る可処分所得

手取り収入と生活費のバランスを考慮すると、ロンドンでの快適な生活には年収50,000ポンド(約1,000万円)以上が推奨されます。手取り月額3,289ポンド(約66万円)の場合、ゾーン2〜3での家賃1,500〜1,800ポンド(約30万〜36万円)を支払っても、食費や交通費、娯楽費として1,500〜1,800ポンド(約30万〜36万円)の余裕があります(*17)。

年収35,000ポンド(約700万円、手取り月額約2,400ポンド、約48万円)では、ゾーン3〜4での節約的な生活が必要となり、家賃1,200〜1,400ポンド(約24万〜28万円)、その他生活費1,000ポンド(約20万円)程度の配分が現実的です。

家族世帯の場合は世帯年収70,000ポンド(約1,400万円)以上で、子育て費用や教育費を含めた安定した生活が可能となります。収入と支出のバランスを慎重に検討することが、成功する移住の鍵となります。

ロンドンの治安と安全対策|エリア別に見る注意点

犯罪統計で見る安全度|日本との違い

ロンドンの2024〜2025年の犯罪率は住民1,000人あたり132.6件で、前年の105.8件から大幅に増加しています(*18)。国際比較では、ロンドンの犯罪指数55.13は東京の推定25.5を大きく上回り、ニューヨークの50.68やベルリンの44.59よりも高い水準となっています(*19)。

最も多い犯罪は暴力・性犯罪(256,000件、全体の22.2%)で、反社会的行為(231,000件、20.1%)が続きます。特に注目すべきは万引きの43.9%増、路上強盗の23.5%増で、経済的な圧力や抑制力の低下が影響していると分析されています。

日本の治安レベルに慣れた日本人にとっては、より高い警戒心と防犯意識が必要となります。統計データを理解し、適切な対策を講じることで、安全な生活を送ることができます。

危険エリアと時間帯を避けるコツ

ロンドン区別 犯罪発生率(1000人あたり)
高リスク (200+)
中リスク (100-199)
やや注意 (70-99)
安全 (50-69)
最安全 (~49)
ウェストミンスター
349.9
カムデン
172.4
K&C
145.7
イズリントン
95
バーネット
58
タワーH
88
グリニッジ
62
リッチモンド
45.2
ワンズワース
67
イーリング
59
ハウンズロー
54
区名 犯罪率 リスクレベル 特徴
ウェストミンスター 349.9 高リスク 観光地・ナイトライフエリア
カムデン 172.4 中リスク マーケット・若者エリア
ケンジントン・チェルシー 145.7 中リスク 高級住宅地だが観光客多数
イーリング 59.0 安全 日本人駐在員居住区
リッチモンド・アポン・テムズ 45.2 最安全 郊外住宅地・ファミリー向け

注釈:

  • 犯罪率は住民1,000人あたりの年間犯罪発生件数
  • ウェストミンスター区の高い数値は観光客を含む昼間人口の多さが影響
  • 🔴印は主要な日本人居住エリア(アクトン、フィンチリー)を示す
  • データは2025年4月時点。一部推定値を含む
  • 出典:Metropolitan Police Crime Data Dashboard 2025年4月

🏡 ファミリー推奨

リッチモンド・アポン・テムズ
最も安全(45.2件/1000人)

⚠️ 注意エリア

ウェストミンスター
観光地のため要注意

🏠 日本人エリア

イーリング・アクトン
比較的安全で生活便利

ロンドンで最も犯罪率が高いのはウェストミンスター区で、住民1,000人あたり349.9件の犯罪が発生しています(*20)。これはオックスフォード・ストリート、レスター・スクエア、ソーホー周辺の観光・ナイトライフエリアでスリや窃盗が頻発するためです。続いてカムデン区(172.4件)、ケンジントン・チェルシー区(145.7件)となっています。

最も安全なのはリッチモンド・アポン・テムズ区(45.2件)(*20)で、ロンドン郊外の住宅地として日本人ファミリーにも人気があります。夜間の外出時は特に注意が必要で、深夜のパブ街や人通りの少ない地下鉄駅周辺は避けることが推奨されます。

観光地での「レンタル入札」詐欺や、ATM周辺でのスキミング被害も報告されています。エリア選択と時間帯の配慮により、リスクを大幅に軽減できます。

日常でできる防犯・トラブル回避策

日常の防犯対策として、貴重品は分散して携帯し、スマートフォンやカメラは人目につかないよう注意することが重要です。地下鉄やバスでは、ドア付近に立たず車両中央に移動し、イヤホンで音楽を聞いている際も周囲の状況に注意を払います。

住居選びでは、24時間管理体制のあるアパートメントや、CCTVカメラが設置された地域を優先することが推奨されます。また、英国の緊急通報番号999、非緊急時の101を覚えておき、最寄りの在英日本国総領事館の連絡先も控えておくことが大切です。

夜間の帰宅時はタクシーアプリUberを活用し、公共交通機関利用時は終電時刻を事前に確認しておきます。日常的な注意と準備により、安全で快適な生活環境を確保できます。

日本人のロンドン移住成功事例とコミュニティ活用法

20代単身者のコスト・収入モデルケース

私が実際に経験した20代単身者の成功事例では、IT業界に就職した場合の年収45,000〜55,000ポンド(約900万〜1,100万円、手取り月額2,800〜3,400ポンド、約56万〜68万円)で、ゾーン3〜4のフラットシェア(月額800〜1,200ポンド、約16万〜24万円)を選択するパターンが一般的です。

食費は自炊中心で月額250〜300ポンド(約5万〜6万円)、交通費はゾーン1〜4の月間パスで約200ポンド(約4万円)、娯楽費300〜500ポンド(約6万〜10万円)で、月額500〜700ポンド(約10万〜14万円)の貯蓄が可能となります。

金融業界では初年度から年収55,000〜65,000ポンド(約1,100万〜1,300万円)が期待でき、手取り月額3,400〜4,000ポンド(約68万〜80万円)でより快適な生活が送れます。

ゾーン2〜3の1ベッドルーム(月額1,400〜1,600ポンド、約28万〜32万円)を借り、外食費も含めて月額1,000ポンド(約20万円)以上の可処分所得を確保できる事例が多く報告されています。

子育て世帯の住環境と教育費の工夫

日本人ファミリーに人気の居住エリアは、アクトン、フィンチリー、クロイドンで、これらの地域には日本人学校や補習授業校があります。アクトンにある日本人学校では、文部科学省認定の全日制教育を受けることができ、土曜日の補習授業校では1学期あたり275〜281ポンド(約5.5万〜5.6万円)の授業料となっています(*21)。

英国の公立学校(無料)を選択し、土曜日のみ日本語教育を受けるハイブリッド方式も人気で、この場合は年間約850ポンド(約17万円)の教育費で済みます(*21)。私立の国際学校では年間15,000〜25,000ポンド(約300万〜500万円)の学費が必要ですが、多様な国際環境での教育を受けることができます。

注釈:

  • 公立校は授業料無料だが、土曜補習校で日本語教育を受ける場合は年間£850の費用
  • 日本人学校(全日制)は文部科学省認定で学費無償、高い教育水準を維持
  • 私立国際校は年間£15,000〜£25,000と幅があり、学校により大きく異なる
  • 円換算は1ポンド=200円で計算(為替変動により変動)
  • 制服代、教材費、課外活動費等は別途必要

💰 最経済的

日本人学校
年間£0(無償)

🏫 バランス型

公立校+補習校
年間£850(約17万円)

🌍 国際志向

私立国際校
年間£15,000〜25,000
(約300万〜500万円)

📚 教育オプション選択のポイント

コスト重視: 日本人学校が最も経済的で高品質な日本語教育を提供

英国教育体験: 公立校+補習校で英国の教育システムと日本語の両方を習得

国際的環境: 私立国際校で多様な文化背景を持つ生徒との交流が可能

⚠️ 追加費用の考慮事項

制服・教材費
年間£200〜500程度
課外活動費
年間£100〜300程度
交通費
学校立地により変動
昼食費
年間£400〜800程度

住宅は3ベッドルームで月額2,000〜2,500ポンド(約40万〜50万円)、光熱費込みで月額2,200〜2,700ポンド(約44万〜54万円)が相場となります。

日本人コミュニティ・SNSで情報交換する方法

ロンドンには活発な日本人コミュニティが存在し、Meetupグループでは「Japanese-English Conversation & Social LONDON」(654名)、「London Multicultural Polyglots Meetup」(491名)などの大規模グループがあります。Brighton Japan Club(2,561名)やCardiff Japanese Language and Culture Meetup(1,008名)など、地域別のコミュニティも充実しています。

ロンドン日本クラブやロンドン日本人会では、定期的な懇親会やビジネスネットワーキングイベントが開催され、転職情報や住居情報の交換が活発に行われています。

Facebook上の「ロンドン日本人コミュニティ」「London Japanese Moms」「UK Japan Society」なども情報収集に有効で、レストラン情報や子育て相談、帰国時の荷物処分まで幅広いサポートが得られます。これらのコミュニティを活用することで、移住初期の不安を大幅に軽減できます。

ロンドン移住者向けエリア別家賃相場と選び方

セントラル・ゾーン1〜2の特徴と予算目安

ゾーン1は金融街のシティ、高級住宅地のケンジントン、観光地のウェストミンスターを含む中心部で、1ベッドルームの家賃は月額2,500ポンド(約50万円)以上が相場です。利便性は最高ですが、騒音や大気汚染、観光客の多さなどのデメリットもあります。ノッティングヒルでは庭園で有名な高級エリアとして、50万ポンド(約1億円)以下でも91軒のスタジオ・フラットが見つかりますが、居住空間は限られます。

ゾーン2のハマースミス、イーリング、カムデンでは1ベッドルームで月額1,600〜2,000ポンド(約32万〜40万円)が目安となります(*9)。ハマースミスからゴールドホーク・ロードへ1駅移動するだけで、50万ポンド(約1億円)で広々とした2ベッドルーム物件が見つかる事例もあり、エリア選択の重要性がわかります。

交通の便が良く、レストランやカフェも充実している一方、家賃はゾーン1に比べて大幅に安くなります。

日本人に人気の住宅地5選と住みやすさ

日本人に最も人気の高いアクトンは、ロンドン日本人学校の所在地でファミリー層の定番エリアです。アクセス良好で、日本食レストラン「味味(Ajimi)」「Mimik Sushi and Ramen」「Ta Ke Sushi」などが集中し、日本食材店も充実しています。家賃相場は2ベッドルームで月額1,800〜2,200ポンド(約36万〜44万円)程度です。

フィンチリーは閑静な住宅地として日本人駐在員の中間管理職に人気で、グリーンスペースが多く治安も良好です。イーリングには多くの日本系企業駐在員が住み、Hase-Yaなど「まさに故郷のような」と評される日本料理店があります。

リッチモンド・アポン・テムズは犯罪率が最も低く(45.2/1000人)、テムズ川沿いの美しい環境でファミリーに適していますが、中心部からやや距離があります。クロイドンは交通の要衝として発展中で、比較的手頃な家賃でアクセスの良い住環境を提供しています。

内見から契約までの流れと注意事項

英国の賃貸契約では、2025年から施行される新法により入居者保護が強化されます。年1回のみの家賃上昇、「レンタル入札」の禁止(*22)、敷金の制限などが導入され、賃借人の立場が改善されています。内見時には水圧、暖房システム、携帯電話の電波状況、近隣の騒音レベルを必ずチェックします。

契約時の初期費用は、敷金(家賃1〜2ヶ月分)、前払い家賃(1ヶ月分)、不動産エージェント手数料(現在は入居者負担なし)、リファレンスチェック費用(100〜300ポンド、約2万〜6万円)が標準的です。在英期間が短い外国人の場合、家賃6〜12ヶ月分の前払いを求められることもあります。

契約書には最低居住期間、修繕責任の分担、退去条件を明記することが重要で、専門の移民弁護士への相談も推奨されます。

ロンドン移住後の生活インフラ完全ガイド

NHSの仕組みと私立医療の違い

英国の国民保健サービス(NHS)は、6ヶ月以上の滞在ビザ保有者が移民健康負担金(Immigration Health Surcharge)を支払うことで利用できます(*23)。2025年の負担金は年額約624ポンド(約12.5万円)で(*23)、ビザ申請時に全期間分を前払いします。一般医(GP)への登録が必要で、専門医への受診はGPからの紹介が原則となります。

NHSの利点は無料であることですが、待機時間の長さが課題となっています。私立医療では迅速な診療が受けられ、Bupa、AXA、Vitalityなどの保険会社が包括的なプランを提供しています。

年間保険料は1,500〜4,000ポンド(約30万〜80万円)程度で、歯科治療や眼科検診も含まれます。日本人には、日本語対応の医療通訳サービスや、日本人医師による診療が受けられる私立クリニックも人気です。医療制度の理解により、適切な選択が可能となります。

交通ICカード・自転車シェアなど移動手段ガイド

ロンドン主要交通手段 月額コスト比較(2025年)
交通手段 月額コスト (£) 円換算 備考
自転車シェア 58 約11,600円 Santander 年間パス£120÷12
バスのみ上限 110 約22,000円 日額5.25上限×22日換算
地下鉄/バス(Zone1-2定期) 172 約34,400円 Oyster 月間Travelcard
ライドシェア(Uber等) 200 約40,000円 平均£10×往復10回

🚴 最安値

自転車シェア
月額£58(約11,600円)

🚌 バス専用

バスのみ
月額£110(約22,000円)

🚇 標準

地下鉄/バス定期
月額£172(約34,400円)

💡 節約効果の比較

自転車シェア vs 地下鉄定期: 月額£114(約22,800円)の節約

バスのみ vs 地下鉄定期: 月額£62(約12,400円)の節約

地下鉄定期 vs ライドシェア: 月額£28(約5,600円)の節約

🎯 利用シーン別おすすめ

短距離・健康重視
→ 自転車シェア(£58/月)
バス路線充実エリア
→ バスのみ(£110/月)
通勤・長距離移動
→ 地下鉄/バス定期(£172/月)
緊急時・深夜利用
→ ライドシェア(£200/月)

注釈:

  • 料金は2025年6月時点のTfL公式料金表に基づく
  • バスのみ上限は平日22日間の利用を想定した計算
  • 自転車シェアは年間パス購入時の月割り計算
  • ライドシェアは平均的な利用パターンでの試算
  • 円換算は1ポンド=200円で計算(為替変動により変動)
  • 実際の利用頻度や距離により費用は大きく変動します

ロンドンの公共交通機関では、Oysterカードまたはコンタクトレス決済の利用が必須で、日額上限制により過度な支払いを防げます。2025年の料金体系では、ゾーン1〜2で日額8.90ポンド(約1,780円)、週額44.70ポンド(約8,940円)の上限が設定されています。バス利用のみの場合は日額5.25ポンド(約1,050円)の特別上限があり、経済的です。

Santander Cycles(愛称Boris Bikes)の自転車シェアリングは30分2ポンド(約400円)で利用でき(*24)、短距離移動に便利です。Uber、Boltなどのライドシェアアプリも普及しており、深夜の安全な移動手段として重宝します。

年間定期券(Travelcard)購入時は、写真付きOysterカードの取得により学割や障害者割引の適用も可能になります。効率的な移動手段の選択により、時間とコストの両方を節約できます。

FAQ|ロンドン移住でよくある疑問をQ&Aで解決

電圧とプラグ変換|日本家電は使える?

日本の電化製品をロンドンで使用する際は、電圧とプラグの両方に注意が必要です。日本は100V・50/60Hz、英国は230V・50Hzのため、電圧の差が大きく、変圧器が必要になります。プラグについては、日本のAタイプに対して英国はGタイプ(3ピン)のため、変換プラグが必要です。

最近のスマートフォン、ノートパソコン、カメラの充電器は100〜240V対応(ユニバーサル)の製品が多く、変換プラグのみで使用可能です。

Oysterカード・定期券はどう選び、費用はいくら?

Oysterカードには通常版(£5デポジット、返金可能)とビジター版(£7手数料、返金不可)があります。通勤・通学で毎日利用する場合は週間・月間Travelcardが経済的で、ゾーン1〜2の週間パスは44.70ポンド(約8,940円)、月間は約172ポンド(約34,400円)です。

観光や不定期利用の場合はPay As You Go(PAYG)チャージが便利で、日額上限により過剰な支払いを自動的に防げます。

現地SIM/eSIMの最安プランはどれ?【2025年版】

2025年の最安SIM/eSIMプランは、Spusuの1GBプラン(月額£2.90、約580円)が最もコストパフォーマンスに優れています。次いでMozillionの24ヶ月契約1GBプラン(月額£3.50、約700円)、12ヶ月契約で月額£4.00(約800円)となります。

データ使用量が多い場合は、Spusuの10GBプラン(月額£5.90、約1,180円)やiD Mobileの20GBプラン(月額£6.00、約1,200円)が推奨されます。

短期滞在者は契約期間の縛りがない1ヶ月プランを選び、長期居住者は12〜24ヶ月契約で月額料金を抑える戦略が効果的です。

  • *1 ONS Mid-Year Population Estimates:ロンドン人口推計(2025年暫定)
  • *2 GLA Ethnic Group Projections:大ロンドン地域民族別構成比(2024年版)
  • *3 Met Office UK Climate Averages:ロンドン年間平均気温・降水量(1991-2020平年値)
  • *4 UK Census 2001:在英日本生まれ人口の地域分布
  • *5 JETRO ロンドンビジネス短信:日本企業駐在員の居住傾向(1990年代調査)
  • *6 Numbeo Cost of Living – London:生活費算定モデル(2025年5月)
  • *7 UK Visas & Immigration Fees:ビザ申請費用一覧(2025年)
  • *8 Rightmove Rental Index:ロンドン平均家賃月次レポート(2025年5月)
  • *9 SpareRoom Rental Guide:ゾーン別1ベッド家賃相場(2025年)
  • *10 Ofgem Typical Domestic Energy Costs:英国平均電気・ガス料金(2025年上期)
  • *11 Which? Cheapest Supermarket Monthly Report:82品目バスケット価格(2025年5月)
  • *12 ONS CPI Retail Food Index:食品価格上昇率(2023-2025年)
  • *13 Transport for London Fare Table:Oyster/コンタクトレス上限運賃(2025年3月改定)
  • *14 Uswitch SIM-only Deals:英国主要eSIM料金比較(2025年版)
  • *15 ONS ASHE 2024:業界別平均週給・年収(ロンドン)
  • *16 HMRC Income Tax Rates & Allowances 2025/26:税率・NI率
  • *17 MoneyHelper Budget Planner (UK):可処分所得バランス指標
  • *18 Metropolitan Police Crime Data Dashboard:犯罪件数・率(2025年4月公表)
  • *19 Numbeo Crime Index – London:犯罪指数国際比較(2025年)
  • *20 London Datastore Recorded Crime:区別犯罪率ランキング(2025年)
  • *21 ロンドン日本人学校:補習校授業料案内(2025年度)
  • *22 UK Renters Reform Bill 2025:家賃上限・入札禁止規定
  • *23 UK Immigration Health Surcharge:IHS 年額624ポンド(2025年)
  • *24 Santander Cycles Fees:利用料金・年間パス(2025年)
  • 執筆者

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