【決定版】フィリピンへの移住を検討する日本人必見!物価や治安などのリアル事情

フィリピンの賃金・年収事情
フィリピンの平均的な賃金水準は日本と比べると大幅に低く、コスト競争力の源泉となっています。フィリピン統計庁(PSA)の最新データによれば、2024年時点のフィリピン人労働者の平均月収は約21,000ペソ(約52,500円・1ペソ≒2.5円換算)です。この数字は全国平均であり、都市部と地方、業種や職種によって大きく異なります。例えばマニラ首都圏の都市部では平均月収が3~4万ペソに達する一方、農村部では1.5万ペソ前後という地域もあり、地域格差も存在します。
日系企業が多く集まるマニラ首都圏やセブでは、製造業やIT業などの専門職でフィリピン人従業員の給与水準が比較的高めです。それでも一般スタッフレベルでは月給数万円程度に収まるケースが多く、日本人から見ると非常に人件費が安いことがわかります。この人件費の安さはJETROの調査でも日系企業が感じるメリットの第2位(約71%)に挙げられており、フィリピン進出の大きな魅力となっています。
一方で、現地に赴任・移住する日本人の給与事情も気になるところでしょう。日本からの駐在員として現地法人に派遣される場合、給与水準は日本本社と同等かそれ以上(各種手当込)になることが一般的です。例えばマネージャークラスの駐在員であれば、年間給与+手当で数百万円~1000万円以上の待遇も珍しくありません。
一方、現地採用としてフィリピンで就職する日本人の場合、その給与は職種や経験によって幅がありますが、月給5万~20万ペソ(約12.5万~50万円)が一つの目安と言われます。この水準は現地では高所得層にあたり、生活費を差し引いても十分な余裕が持てる給与です。日本人は英語力や専門スキルを評価されるため、現地企業や外資系企業で日本より好待遇で採用されるケースもあります。
図:主要地域・業種別の平均月収を棒グラフで可視化(イメージ)。
ポイント:マニラ首都圏と地方の給与格差を直感的に把握できる。
リアルな物価事情
フィリピンの物価(生活コスト)は日本に比べれば概して安いものの、近年は経済成長に伴うインフレも見られます。2022~2023年は世界的な物価高の影響を受け、フィリピンの消費者物価上昇率も2022年が5.8%、2023年が6.0%とやや高めでした。2024年は4.1%に落ち着き、2025年初頭では3.2%まで低下しています。政府の燃料・食品価格対策などが奏功し、足元では物価上昇が落ち着いてきています。長期的には年3~4%程度の緩やかなインフレに収まるとの見方が主流です。
では実際の生活費はどの程度か、主要項目で日本と比較してみましょう。以下にマニラ都市部と東京23区の概算コストを例示します。
項目 | マニラ(フィリピン) | 東京(日本) |
---|---|---|
ランチ(ローカル食堂) | 約200ペソ(¥500) | 約¥1,200 |
タクシー初乗り運賃 | 約50ペソ(¥125) | 約¥500 |
1LDK賃貸(都心部・月) | 約55,000ペソ(¥13.8万円) | ¥20万円前後 |
光熱費(2LDK想定・月) | 約6,000ペソ(¥15,000) | ¥12,000前後 |
ご覧の通り、現地での食事代や交通費、家賃などは東京に比べ格段に安いです。特にローカルフードや市場での食材購入は非常に安価で、庶民的な食堂なら1食150ペソ(約375円)以下で済むことも珍しくありません。タクシー代や公共交通も安く、都市部での日常移動コストは抑えられます。
一方、電気代などの光熱費はフィリピンでは東南アジア諸国の中で高め(電力は1kWhあたり約12ペソ≒30円)で、日本と同程度かやや割高に感じることもあります。エアコン利用が多いと月の電気代が数万円に達するケースもあり、節電意識も大切です。
また、海外からの輸入品(日本食材や高級品)は現地では割高になるため、日本で馴染みの食品や日用品を現地で求める場合、想像以上に費用がかかることがあります。このため、移住当初は日本からある程度お気に入りの品を持ち込むか、現地で安く手に入る代替品を探すなど工夫すると良いでしょう。
フィリピンのインフレ率推移を表すデータ
年 | フィリピン | 日本 | ASEAN平均 |
---|---|---|---|
2020 | 2.6% | 0.0% | 1.3% |
2021 | 3.9% | -0.2% | 2.8% |
2022 | 5.8% | 2.5% | 4.0% |
2023 | 6.0% | 3.3% | 4.9% |
2024 (est.) | 4.1% | 1.5% | 3.5% |
2025 (est.) | 3.2% | 1.2% | 3.2% |
折れ線グラフ化すれば「いつから物価が上がり始め、どのタイミングで落ち着いたのか」がひと目で分かります。
最新データをこまめにチェックして、急激なインフレに備えることが重要です。
フィリピンの主要エリアと治安事情
マニラ首都圏(NCR)
首都マニラを含む都市圏で、政治・経済の中心地です。日本企業や日本人コミュニティが集中し、生活インフラも最も整っています。その反面、人口過密による交通渋滞や大気汚染、物価高などの課題もあります。ビジネス重視で利便性を求めるならマニラ首都圏が有力でしょう。
治安面では、マカティやボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)、アラバンなどの高級エリアは比較的安全です。しかし、他の地域では夜間の一人歩きは避け、貴重品の管理に注意が必要です。特にマニラ旧市街やケソン市の一部エリアではスリや置き引きが報告されています。高級コンドミニアムや警備の行き届いた住宅地を選べば、安全に暮らすことができます。
セブ島
中部ビサヤ地域の経済拠点で、第2の都市圏です。リゾート地としても有名で、美しい海と都会の利便性を両立できます。マニラより物価が安く渋滞も少ないため、落ち着いた環境で暮らしたい移住者に人気です。BPO産業が盛んで外資企業も進出しており、日本人も比較的住みやすいでしょう。
治安面では、セブシティのビジネス地区やマクタン島の観光エリアは比較的安全ですが、繁華街では夜間の一人歩きは避けるべきです。近年は観光地としての整備が進み、セキュリティ体制も強化されています。セブ島への移住者は年々増加しており、2024年時点で約3,000人の日本人が暮らしています。
ダバオ
ミンダナオ島最大の都市で、比較的治安が良いことで知られます。農業や資源産業の拠点で、近年は商業開発も進んでいます。日本人はまだ少なめですが、自然豊かで物価も安いため、静かな環境を好む人には魅力的です。ただし東京からのアクセスは乗り継ぎが必要です。
治安面では、フィリピンの主要都市の中では最も安全と言われるほど治安対策が徹底しています。市内では24時間体制の警備と監視カメラが配備され、犯罪率も低い状態が維持されています。過去に長く市長を務めたドゥテルテ前大統領の厳格な治安政策が今も継続されており、外国人にとっても安心して暮らせる環境が整っています。
その他の地域
上記以外では、ルソン島中部のクラークやスービック(旧米軍基地跡の経済特区)、ビサヤ地方のイロイロ(新興の地方都市)、避暑地のバギオなどが注目されます。いずれも特徴的なエリアなので、目的に応じて現地視察して選ぶと良いでしょう。
医療・教育の現状
医療
フィリピンの医療水準は地域によって差があります。マニラ首都圏やセブには設備の整った私立病院(例: セントルークス病院やマカティメディカルセンター)があり、高度な医療サービスを英語で受けられます。ただし費用は高額になるため、民間の医療保険や海外旅行保険への加入が不可欠です。
2025年時点では、主要都市の大型私立病院では日本語通訳サービスを提供する施設も増えてきています。一方、地方の公立病院は設備や人材が不足しがちなので、持病がある方は都市部へのアクセスも考慮しましょう。万一に備えて、日本大使館や日本人会の医療案内を参考に、信頼できる病院を把握しておくことをおすすめします。
教育
日本人駐在員の子弟が通うマニラ日本人学校(小中学校)が首都圏にあります。セブ島にも2024年から日本人学校の分校が開設され、選択肢が広がりました。それ以外にも各都市に国際バカロレア認定のインターナショナルスクールがあり、英語で質の高い教育を受けることが可能です。ただし学費は年間数十万ペソ(数百万円)と高額です。
短期滞在の場合は日本人学校、長期定住ならインター校や現地校への進学など、子どもの年齢や将来計画に合わせて選択しましょう。教育費も見込んだ資金計画を立てることが重要です。
まとめ:フィリピン移住を成功させるために
最後に、フィリピン移住を円滑に成功させるためのポイントをチェックリストとして整理します。
項目 | JETROデータ参照 & 解説 |
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ビザ |
観光ビザは最長 3 年間 延長可(就労不可)。 就労ビザ(9(g))は企業を通じて申請し、 正式な契約後に労働許可とあわせて取得します。 |
生活コスト |
東京と比べるとおよそ 1/2 以下 の物価水準とされます。 ただし近年インフレ率は 5~6% 前後で推移しているため、 最新情報は随時チェックが必要。 |
医療保険 | 質の高い私立病院は英語対応可能ですが、高額 な治療費となる場合が多いため、 海外旅行保険または民間医療保険への加入を強く推奨します。 |
治安 |
大都市圏ではスリや置き引き等の軽犯罪が多発。 24h ガードマン が常駐する居住エリアを選択し、 防犯意識を徹底すること。 |
ネットワークづくり | JETROの情報や在フィリピン日本人コミュニティを活用し、 SNS 等で現地の最新ニュースやビジネス動向を得る。 日本人会や商工会への参加も有益。 |