【最新版】ベトナムの不動産購入マニュアル|日本人必見の手順・注意点を一挙公開

ベトナムの不動産市場は、2015年の法改正により外国人投資家にも開放されて以来、高い経済成長と人口増加を背景に世界中から注目を集めています。 日本人投資家にとっても、比較的安価な物件価格や将来の値上がり益が期待できるベトナム不動産は魅力的な投資先です。 しかし、海外物件の購入には現地特有の法規制や手続きが伴い、事前に注意すべきポイントをしっかり把握しておく必要があります。
本記事は【最新版】ベトナム不動産購入マニュアルとして、 日本人個人投資家がベトナムで物件を取得する際に役立つ実務的な情報を網羅しました。 法規制の確認から物件選定、契約手続き、デューデリジェンス、引き渡し、税金対応まで、 最新制度に基づく手順と注意点を7つのステップで詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
ベトナム不動産購入で押さえておくべき注意点|法規制と外国人所有制限
まず初めに、ベトナムで不動産を購入する際に日本人を含む外国人投資家が知っておくべき法規制と所有制限について整理します。 ベトナムでは土地の私有が認められておらず、すべての土地は国家の所有となります。 そのため、たとえ不動産(建物部分)を購入しても、土地自体は「土地使用権」という形で最大50年間まで利用できる権利を取得する仕組みです(外国人の場合。50年経過後は一度限り延長申請が可能で、最長100年まで延長できます)。
加えて、2015年施行の改正住宅法によって外国人の不動産購入が解禁されたとはいえ、 以下のような外国人所有に関する制限が定められています。
購入戸数の制限
外国人個人が購入できるのは、集合住宅(マンション等)の場合は全戸数の30%まで、 戸建住宅(ヴィラやタウンハウス等)の場合は1つの分譲プロジェクトにつき最大250戸までと規定されています。 この制限により、外国人による一棟丸ごとの買占めや、大規模開発物件の独占購入が防がれています。 購入を検討する物件がこの上限枠内かどうか、事前に確認することが重要です。
購入可能な物件の種類
外国人が購入できる不動産は基本的にデベロッパーが新規開発した新築プロジェクト物件に限られます。 つまり、完成済みの中古物件を自由に買えるわけではありません。 ただし例外として、既に外国人が所有している中古物件を別の外国人が購入することは可能です(この場合、前オーナーの残存所有期間を引き継ぐ形となります)。
一方で、外国人がまったく購入できないエリアも存在します。 国防・治安に関わる特定地域の不動産については外国人への販売が禁止されていますので、 物件の所在地が制限区域に該当しないか注意しましょう。
ベトナム入国と在留資格
外国人がベトナムで不動産を購入するためには、有効なパスポートとビザでベトナムに入国できることが条件です。 2015年以降、「ベトナムに入国可能な外国人」であれば不動産取得が認められていますが、 長期的に現地に滞在しない場合でもベトナム現地での銀行口座開設や各種手続きが必要になります。
また、外国人が不動産を購入した場合、その所有権証明書(通称「ピンクブック」)には50年間の使用期限が明記されます。 ベトナム人配偶者がいる場合にはこうした期間制限なく通常通りに不動産を所有できる例外規定もあります。
以上のように、ベトナム不動産購入における法規制や外国人所有制限を理解しておくことが、 失敗しない投資の第一歩です。 特に所有期間の制限や購入枠の上限は、日本にはない概念ですので、事前に把握して計画を立てましょう。
なお、2023年には住宅法の改正が行われ、 外国人への権利証発行手続きの明確化など一部制度が見直されています。 基本的な枠組み(50年の使用権や30%ルール等)は従来通り維持されています。 ただし、最新の政令により細則が変更される可能性もあるため、 現時点での公式情報を信頼できる専門家や仲介業者から入手するようにしてください。
物件タイプ | 上限戸数 / 枠 | 所有制限 |
---|---|---|
マンション(集合住宅) | 全戸数の30%以内 | 最長50年(延長申請可) |
戸建住宅(ヴィラやタウンハウス等) | 1プロジェクトにつき 最大250戸 | 最長50年(延長申請可) |
物件選定の手順①:予算設定と資金調達のポイント
ベトナム不動産の購入を進める上で、最初に取り組むべきは購入予算の設定です。 物件価格だけでなく、購入時には税金や手数料、登記費用、家具の調達費など付随費用も発生します。
また、購入後には管理費や維持コスト、将来的に売却する際の費用も考慮に入れる必要があります。 目安として物件価格の約10〜15%程度を諸費用として見積もり、無理のない資金計画を立てましょう。 たとえばホーチミン市内中心部の新築コンドミニアム(50㎡程度)の場合、 2025年時点で3,000〜6,000万円前後の価格帯が一般的ですが、 この場合でも数百万円規模の税金・諸費用が別途かかる点に注意が必要です。
資金調達の方法についても検討します。 基本的に外国人投資家がベトナム現地で不動産ローン(住宅ローン)を利用することは 非常にハードルが高いのが現状です。
法律上は可能であっても、現地銀行は外国人への融資に消極的であり、 仮に借りられても金利が年10%前後と高金利になるためです。 そのため、多くの日本人投資家は自己資金を用意して全額現金で購入するケースが一般的です。 場合によっては日本国内の銀行から不動産担保ローン等で資金を調達し、 それをベトナムに送金して支払いに充てる方法も検討しましょう。
なお、ベトナムで物件を購入する際は現地銀行の口座開設がほぼ必須となります。物件代金の支払いや将来の賃料・売却代金の受け取りは、すべて現地口座を通じて行う必要があるためです。
口座開設にはパスポートなどの身分証明書が必要で、現地銀行での手続きが求められます。早めに現地渡航して口座を作成し、日本から必要資金を送金しておくと良いでしょう。為替レートの変動リスクにも留意し、レートが有利な時期に資金を移しておく、あるいはドル建てで送金して現地でドンに両替するなど、コストを抑える工夫も重要です。
このように、物件選定に入る前の段階で資金面の準備を万全にしておくことで、 後の手続きがスムーズになります。 予算の上限を明確にすることで、自身のニーズに見合った物件タイプ(コンドミニアム、高級住宅、郊外のヴィラなど)の絞り込みもしやすくなるでしょう。 資金計画と調達方法をしっかり固めた上で、次のステップである信頼できる仲介業者選びと市場リサーチに移ります。
購入時にかかる費用の内訳イメージ
上記グラフはあくまで目安です。 実際には物件価格の約10〜15%を諸費用として見込むと
より安全に資金計画を立てることができます。 また、JETROで公開されている経済指標や金利情報も
資金調達には大きく影響するので、随時チェックしておきましょう。
物件選定の手順②:信頼できる仲介業者の選び方と市場リサーチ
十分な予算と資金プランが固まったら、次は信頼できる不動産仲介業者を選定し、 本格的な市場リサーチに取り掛かります。 海外の不動産取引では現地事情に精通した仲介会社の存在が不可欠であり、 特に言語や商習慣の壁があるベトナムでは、頼りになるパートナー選びが成功への鍵となります。
仲介業者選びのポイント
- 外国人投資家の取引実績が豊富か:日本人スタッフが在籍する、または日本人顧客のサポート経験が豊富な仲介業者ですと、 意思疎通や手続き対応もスムーズです。 過去の取引事例や顧客の声を確認し、外国人(日本人)向けの実績があるかチェックしましょう。
- 現地での信頼性と公式資格:ベトナムの宅地建物取引に必要な免許を取得している正規の不動産会社であることが大前提です。 現地で評判の良い企業や、大手デベロッパーと提携関係にある仲介会社は比較的安心できます。 逆に、「必ず値上がりする」など過度な宣伝をする業者や契約を急がせる業者には注意が必要です。
- サービス内容とサポート体制:購入手続きだけでなく、物件の管理運用や売却時まで見据えたサポートを提供しているかも重要です。 購入後に賃貸運用を予定している場合、賃貸管理サービスの有無や、税務申告サポートなどワンストップで対応できるか確認しましょう。 契約書の日本語訳や法律専門家の紹介など、実務面で心強いサポートがある業者だと安心感が違います。
- コミュニケーションの取りやすさ:担当者との相性も大切です。 レスポンスが速く、こちらの要望をきちんと理解して提案してくれるかどうかを見極めましょう。 海外投資は不安も伴うため、疑問点に丁寧に答えてくれる誠実な担当者かどうかが信頼関係の構築に繋がります。
仲介会社が決まったら、いよいよ具体的な市場リサーチに入ります。 まず、投資対象とする都市やエリアを絞り込むことから始めましょう。 ベトナムは地域によって不動産市場の特性が大きく異なります。
市場リサーチ
ホーチミン市(南部)
ベトナム最大の経済都市で、外資系企業や駐在員が集中しています。 不動産価格の上昇率が高く、賃貸需要も旺盛です。
中心部の1区や新都心開発が進む2区(トゥーティエム地区)では高級コンドミニアムが人気です。特に1区レタントン通り周辺は「日本人街」として知られ、日本人駐在員向け高級マンションが多く、 日本人投資家にも馴染みやすいエリアです。
ハノイ市(北部)
ベトナムの首都で政治・文化の中心地。 商業規模ではホーチミンに次ぎますが、政府関連機関や大使館が集まり独自の需要があります。
西湖(タイホー)周辺やバーディン区は外国人居住者が多く、高級サービスアパートやコンドミニアムの開発が進んでいます。 ホーチミンに比べ価格上昇は緩やかな傾向ですが、長期的な安定投資先として注目されています。
ダナン市・その他都市
ダナンは中部のリゾート都市で、美しいビーチと豊富な観光資源から 近年不動産投資先として脚光を浴びています。 リゾートコンドミニアムや別荘タイプの物件が中心で、投資目的もリゾート運用やセカンドハウス需要がメインです。 ただし、賃貸需要や売却流動性はホーチミン・ハノイに比べ限定的なため、 中長期の視点で慎重に検討する必要があります。
上記のような情報収集は、仲介業者から提供されるマーケットレポートや現地ニュース、統計データなどを活用して行いましょう。 可能であれば実際に現地を訪れ、気になる物件のモデルルーム見学や周辺環境の視察を行うことをおすすめします。 写真や資料だけでは掴みにくい街の雰囲気や生活利便性を肌で感じることで、より確かな投資判断ができるでしょう。
また、複数のプロジェクトを比較検討し、デベロッパーの信頼性(過去のプロジェクト完成実績や品質)や物件の将来性(周辺のインフラ計画や開発予定)なども総合的に評価します。
ベトナム主要都市マップ
ホーチミン・ハノイ・ダナンはそれぞれ特徴が異なり、
投資目的や賃貸需要も大きく変わります。
現地視察を行い、実際の雰囲気や生活利便性を感じ取るのが最善です。
市場リサーチを通じて「どの都市のどの物件を狙うか」の目星がついたら、 次はいよいよ具体的な購入手続き段階である契約交渉と売買契約書のチェックに進みます。
購入手続きの手順③:契約交渉と売買契約書のチェックポイント
目星を付けた物件が見つかったら、売主(デベロッパーまたは個人オーナー)との契約交渉に入ります。 新築案件の場合、提示価格があらかじめ設定されているケースが多く、大幅な値引き交渉は難しいかもしれません。 しかし、支払いスケジュールの調整や複数ユニット購入時の割引、家具付きプランへの変更交渉など、 交渉の余地がある事項も存在します。
また、人気プロジェクトでは購入希望者が殺到するため、 予約申込金(デポジット)を払い抽選や先着順で購入権を得る手法が一般的です。 抽選に当たった場合は契約時に予約金が物件代金の一部に充当され、外れた場合は返金されます。 予約金の相場は物件にもよりますが、一般的なコンドミニアムで数十万円、 高級物件では数百万円程度となっています。
中古物件を外国人同士で売買するケースでは、 売主との間で価格や引渡条件の交渉を行います。 不動産仲介業者が間に入っている場合、市場相場や物件状態を踏まえて適切なオファー金額を助言してくれるでしょう。 交渉がまとまったら、合意内容を書面にした予約契約書(または売買仮契約)を締結し、手付金を支払います。
手付金は通常物件価格の5〜10%程度が相場で、正式契約前に支払っておきます。 この手付金は買主都合で契約を辞退した場合は返金されず、売主都合で契約解除となった場合には倍額返還される、 といった契約解除時の取り決めも明確にしておく必要があります。
続いて行われる本契約(売買契約)の締結時には、 売買契約書の内容を細部までしっかり確認することが重要です。 契約書はベトナム語で作成され、英語訳が添付されるケースが一般的ですが、 日本人にとって理解が難しい条項も含まれるため、必要に応じて日本語訳を用意したり専門家のチェックを受けたりすると安心です。
売買契約書で確認すべき主なポイント
物件の基本情報
物件の所在地、部屋番号、専有面積、付帯設備、付属駐車場の有無などが正確に記載されているか。 図面と照らし合わせて、購入予定のユニットに相違がないか確認します。契約当事者の情報
買主(自分)の氏名・住所・パスポート番号、売主(デベロッパーまたは個人)の情報が正確に記載されていること。 外国人名の綴りミスなどがあると後々修正が困難になるため、この段階でチェックしてもらいましょう。売買代金と支払条件
物件価格(税抜きか税込みか)、付加価値税(VAT 10%)の扱い、支払い総額が明記されているか。 支払いスケジュール(いつまでに何%を支払うか)も詳細に定められます。 新築デベロッパー物件の場合、契約時に30%程度、以降建築の進捗に合わせ数回の分割払い、引き渡し時に残額清算というスケジュールが一般的です。 このスケジュールが無理のない範囲か、また銀行振込先や通貨(通常はベトナムドン建て)についても確認します。権利引渡しと登記
契約書には物件引き渡しの時期や条件、そして引き渡し後に所有権証明書(ピンクブック)を取得するための手続きについて言及があります。 デベロッパーとの契約では、完成引渡し後に一定の期間内に権利証発行申請を行う旨が記載されていることが望ましいです。 中古取引の場合、公証人役場での売買契約締結・所有権移転手続きに関する記載がなされます。
違約時の取り決め
買主が支払い遅延した場合の違約金や、売主が引き渡し遅延した場合の補償(ペナルティ)が定められているか。 特に開発案件で完成が遅れた場合に日割りの違約金支払いが明記されているかは要チェックです。 万一契約当事者の一方が契約不履行となった場合の措置(契約解除条件や損害賠償範囲)も確認しておきます。
その他の費用負担
物件購入に際し必要となる諸経費の負担者が誰かを明確にします。 例えば、登記税(0.5%)や公証手数料、物件引き渡し時に徴収される管理準備金・修繕積立金(新築マンションの場合、物件価格の2%が一般的)などについて、 契約書上で買主負担として規定されているか確認しましょう。
賃貸や転売の制限
購入後に賃貸運用を考えている場合、賃貸に出すための条件(デベロッパーへの通知義務など)が契約上あるか確認します。 また将来的な転売に制限がないか(何年間は転売不可等の条件が付いていないか)も念のため目を通します。
契約書のチェックポイントは多岐にわたりますが、 不明点があれば署名・押印前に必ず質問し、納得してから契約を締結することが大切です。 言語の壁もあるため、可能であれば弁護士など専門家に契約内容を精査してもらうと安心です。 売買契約書に双方が署名し正式に契約が成立したら、いよいよ物件のデューデリジェンス(詳細調査)と 引き渡しに向けた準備段階に進みます。
予約申込金
支払い
契約交渉
本契約
手付金支払い
正式契約
権利証
申請・発行
チェックポイント:契約交渉や売買契約書の署名前には、
法規制・外国人所有枠・税金・管理費・物件の物理的状態などを
十分に確認しておきましょう。
また、JETROの最新情報を参考に、
現地の投資動向や法改正に関するニュースもチェックしておくと安心です。
実務的な注意点①:デューデリジェンス(物件調査)で見落としがちな点
契約締結後から物件引き渡しまでの間に、投資家として行っておきたいのが デューデリジェンス(Due Diligence、取引前の詳細な物件調査)です。 購入前に基本的な情報は収集していても、見落としがちな項目や専門的な確認ポイントが存在します。 ここでは、日本人投資家がついうっかり見逃しやすいチェック事項を整理します。
チェック項目 | 補足コメント |
---|---|
法務面 | ・外国人所有枠(マンション30%、戸建1プロジェクト250戸)を確認。 ・ベトナム政府の許認可(JETRO参照)も要確認。 ・対象物件の法的な権利関係や購入資格を調査。 |
権利証の発行状況 | ・「ピンクブック」の発行が可能か事前に確認。 ・政府への土地使用料納付や書類不備が原因で遅延することがある。 ・発行手続きの進捗を担当業者に問い合わせる。 |
物件状態 | ・建物の老朽化や設備の不備、水圧・排水状況などを内覧時にチェック。 ・南部(ホーチミン周辺)では雨季(5~10月頃)の浸水リスクあり。 ・必要に応じてプロのインスペクションや専門家に相談。 |
売主の信頼性 | ・デベロッパーや個人オーナーの実績や評判を確認。 ・過去にプロジェクト遅延やトラブルがないか情報収集。 ・偽装名義や税金未納などのリスクも要チェック。 |
収益見通し | ・周辺の賃貸相場や空室率、実質利回りを試算。 ・固定費(管理費、税金)や潜在的な修繕コストを考慮。 ・最新の投資環境はJETROの情報を活用。 |
これらのデューデリジェンス項目を丁寧に実施することで、 事前にリスクを洗い出し、予防策を講じることができます。 多少手間に感じるかもしれませんが、事前の確認不足が後のトラブルに直結するのが海外不動産投資です。 慎重すぎるくらいでちょうど良いという姿勢で、納得できるまで物件のあらゆる側面をチェックしておきましょう。
実務的な注意点②:必要書類と引き渡し時の手順
物件の引き渡し段階で慌てないように、事前に必要書類を準備しておきましょう。 外国人がベトナム不動産を取得する際には、本人確認や法定手続きを行うためにいくつかの書類提出が求められます。 代表的な必要書類を以下に挙げます。
主な必要書類の例
- パスポートとビザのコピー:有効な渡航書類として必須です。公証役場での手続き時には、パスポートのベトナム語翻訳文に公証を付けて提出を求められる場合もあります。
- 現地銀行口座情報:購入資金を確保している証拠として、口座残高証明や送金控えを提出します。
- 売買契約書の写し:権利証(ピンクブック)発行申請時等に必要となります。
- 支払い証明書(領収書類):デベロッパーへの支払い済み金額を証明する領収書や送金記録。全額一括の場合は全額分、分割払いの場合はその時点までの支払い分を揃えます。
- 婚姻関連書類(必要に応じて):既婚なら配偶者の同意書や婚姻証明書、未婚なら独身証明書を日本で取得して公証・翻訳しておくケースもあります。
- その他:物件引き渡し通知書、権利証発行申請書、場合によっては委任状(代理人を立てる場合)など状況に応じた書類。
仲介業者や売主から事前に案内されますが、不備がないよう早めに準備を始めましょう。 日本で取得する書類には領事認証など時間がかかるものもあるため注意が必要です。
続いて、物件の引き渡し当日の具体的な手順です。 新築・中古いずれの場合も、引き渡しには概ね以下の流れで進行します。
物件引き渡し時の主な流れ
- 最終支払いの完了:引き渡し前日までに売買契約書で定められた残代金・諸費用を全額支払います。 新築の場合は修繕積立金(物件価格の2%が目安)等もこのタイミングで納付。 中古の場合は公証契約時に残金支払いを完了させます。
- 物件の最終確認(立会い検査):売主・買主立ち会いで物件の状態をチェック。 新築なら施工が契約通りか、不具合がないかを確認。 問題があれば補修リストを作成し、売主に対応してもらいます。
- 引き渡し書類への署名:状態確認後、物件引渡証明書(ハンドオーバー書類)に署名し、正式に引き渡し完了とします。 併せて保証書や設備マニュアル等の関連資料も受領します。
- 鍵や備品の受け取り:物件の鍵、カードキー、駐車場リモコンなど必要なものを全て受け取ります。 新築マンションでは管理組合関連の案内もここで渡されます。
- 所有権移転手続き(登記):引き渡し後、所有権移転登記の申請を行い、登記税(0.5%)を納付してピンクブック発行を申請します。 新築ならデベロッパーが一括代行することも多いですが、中古なら自ら土地局に申請します。 発行された権利証に所有期間や条件が記載されているので受領時に確認しましょう。
引き渡し後はすぐ物件の使用や賃貸運用が可能になります。 賃貸運用する方は、並行して入居者募集や管理会社との契約、電気・水道の名義変更などの実務も進めましょう。 最後に、物件取得後にかかる税金や諸経費の申告について解説します。
事前に準備する
書類
検査・立会い
書類署名
(公証など)
鍵の受け取り
(名義変更)
登記・
所有権移転
賃貸運用へ
補足:事前に必要書類を揃えたら、JETROの最新情報を確認しながら、
証明書や公証手続き、名義変更を順を追って進めてください。
鍵の受け取り後、最後に登記手続きを完了し、
所有権移転が終われば賃貸運用などの投資活動に移行できます。
税金・諸経費の算出と申告の流れ|トラブルを防ぐための対策
ベトナムで不動産を購入・所有すると、日本と異なる税金や費用が発生します。 事前にその金額や支払い方法、申告手続きについて理解し、滞りなく対応することが重要です。 また、適切に処理しないと将来的なトラブルや罰金の対象になる可能性もあります。 以下、主な税金・諸経費とその対策を確認しましょう。
タイミング | 税金・費用 | 税率 | トラブル防止策 |
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購入時 | 付加価値税 (VAT) | 10% | ・物件価格の税抜表示に注意し、 別途10%を加算して予算を組む。 ・JETROの最新情報で税制改正を確認。 |
購入時 | 登記税 | 0.5% | ・所有権移転時に 地方の税務当局へ納付。 ・支払い忘れで登記遅延に注意。 |
賃貸収入 | 所得税5% + VAT5% (合計10%) | 10% | ・家賃収入の申告タイミングを徹底。 ・管理会社が代理納付するケースも確認。 ・二重課税を防ぐため日本で控除申請。 |
売却時 | 譲渡所得税 | 2% | ・売却額に対し一律2% (差額課税でない点に注意)。 ・公証役場で契約締結時に納税確認が必要。 |
保有中にかかる税金・費用
- 固定資産税(土地税):毎年課税される税金で、土地に対して0.03〜0.15%程度(累進税率)課されます。 コンドミニアムの場合も敷地按分持分に応じて負担が発生します。税額は5年ごとに政府公示の地価などで算定され、 毎年年初に地元税務局から納付通知が来ます。
- 管理費:コンドミニアムの場合、毎月の管理費支払いが必要です。 物件規模やサービス内容によりますが、ホーチミン市の高級案件では月数千円〜1万円程度の管理費が一般的です。 滞納するとペナルティが科されることもあるので口座振替などで確実に支払いましょう。
- 所得税(賃貸収入):物件を賃貸に出し家賃収入を得た場合、年間所得に対し5%の個人所得税が課されます。 さらに家賃には5%のVATが付加されるため、実質的な税負担は家賃収入の約10%となります。 これらは現地で確定申告を行い、納税する必要があります。 多くの場合、管理会社が代理で納税手続きを行うか、または入居者が源泉徴収として家賃支払い時に天引きする形になります。
売却時にかかる税金・費用
- 譲渡所得税(キャピタルゲイン税):物件を売却して利益が出た場合、その利益に対し課税されます。 ただしベトナムでは、売却額に対して一律2%の譲渡税を納める方式が採られています(取得額との差額ではなく売却総額に対する定率課税)。 この2%は、売却時に公証役場で売買契約を結ぶ際に納税確認が行われます。
- その他売却時費用:公証料や仲介手数料(通常売主負担5%前後が目安)、譲渡税の納税手続き代行料などが発生します。 仲介業者に売却を依頼する場合はこれらを含めた費用を見積もっておきます。
二重課税と税務申告
日本人投資家の場合、日本にも納税義務が生じる可能性に注意しましょう。 日本の税法上、海外不動産からの所得も原則として申告が必要です。 ただし現地で納めた税金は外国税額控除として日本の税金から差し引ける場合があります。
具体的には、ベトナムで支払った賃貸収入の所得税や売却時の譲渡税は日本の確定申告で控除対象となり得ます。 毎年の確定申告時期には現地税務署の納税証明を入手し、適切に申告しましょう。 税務処理を誤ると後日追徴課税を受けるリスクもあるため、税理士など専門家のサポートを受けることをお勧めします。
トラブルを防ぐための対策
- 最新情報のウォッチ:現地税務のルールは変わる可能性があるため、 政府発表や信頼できる情報源からのアップデートを得る習慣をつけましょう。 特に税率改定や新税導入が議論されている場合は注意が必要です。
- 納税や申告の締め切り管理:カレンダーに記録して、遅延がないようスケジュールを把握します。 海外在住などで自分で難しい場合は、代理人を立てる手続きを現地で行い、期日に代理納税してもらうこともできます。
- 早めの相談:万が一トラブルが発生した場合(例:権利証の発行遅延、物件の瑕疵発覚、税金の過誤請求など)、 契約書の条項や法律の規定に基づいて落ち着いて対処することが大切です。 必要に応じて仲介業者や弁護士に早めに相談し、適切な交渉・解決を図りましょう。