【2025年最新版】日本人向けベトナムの入国ビザの取得手続きガイド

2025年最新のベトナムビザ手続きの制度変更により、渡航や滞在に関するルールが近年アップデートされています。 特に2023年の法改正以降、日本人が取得できるビザの種類や有効期間に大きな変更がありました。
本ガイドではビザの種類と取得方法に完全にフォーカスし、最新のベトナムビザ手続き情報を専門的かつ実務的に解説します。具体例や最新データを交えながら解説していきます。
ベトナムビザの主要種類|2025年版の最新区分
まずは、2025年時点で日本人投資家に関係するベトナムビザの主要な種類と最新区分を整理します。ベトナムの入国管理法は2020年に改正され、ビザ区分が細分化されました。現在、渡航目的に応じて様々なビザタイプが存在しますが、中でも投資活動に関連する代表的な種類は以下のとおりです。
ビザ免除(短期滞在)
日本を含む一部の国の国民は、一定期間の滞在においてビザが免除されます。2023年8月の新政策により、日本人はこれまでの15日間から最大45日間までビザ無しでベトナムに滞在できるようになりました。
ただしビザ免除で入国した場合、滞在目的は観光など短期訪問に限られ、延長も原則できません。45日以上の長期滞在や正式な投資活動には別途ビザが必要になります。
観光ビザ(DL)
観光目的で訪越するためのビザです。通常は1か月(30日)または3か月(90日)単位で発給され、シングルエントリー(一回限り入国)かマルチプルエントリー(期間中出入り自由)を選択できます。
日本人は観光客として訪問する際、先述のビザ免除(45日以内)を利用するか、より長期なら観光ビザを取得することになります。2023年の法改正後は電子ビザ(e-visa)制度が拡充され、観光ビザも最長90日までオンライン申請が可能となりました。例えば電子観光ビザであれば最長90日間の滞在が許可され、マルチプルエントリー(期間中の出入国自由)にも対応しています。
商用ビザ(DN)
ビジネス目的、商談や会議出席などのために取得するビザです。新法ではDN1とDN2の2種類に細分化されています。DN1ビザは「ベトナム国内の合法的な企業・組織と協働する外国人向け」、DN2ビザは「国際条約に基づきサービス提供や商業的プレゼンス設立のために入国する外国人向け」と定義されています。
いずれも最長1年間有効なビザで、ビジネス渡航者向けに発給されます。短期の商用目的であれば電子ビザで代用することも可能ですが、長期商用滞在や現地でのビジネス活動には商用ビザ(DN)の取得が推奨されます。
投資家ビザ(DT)
ベトナムに対して実際に資本投下(投資)を行う外国人投資家向けのビザです。日本人が現地企業に出資したり、不動産プロジェクトに投資したりする場合、この投資ビザが該当します。投資額の規模に応じてDT1からDT4までの4区分に分類され、それぞれ許可される滞在期間も異なります。2020年の改正入管法に基づく各カテゴリーの要件は以下のとおりです(投資額目安はベトナムドン表示、括弧内は円換算の概算)。
投資ビザ区分 | 要求される投資額規模 | ビザ有効期間 |
---|---|---|
DT1 | 資本金1000億ドン以上(約500億円以上) | 最長5年 |
DT2 | 資本金50億〜1000億ドン未満(約25億円〜500億円未満) | 最長5年 |
DT3 | 資本金3億〜50億ドン未満(約1.5億円〜25億円未満) | 最長3年 |
DT4 | 資本金3億ドン未満(約1.5億円未満) | 最長1年 |
(※注:1億ドン=約50〜60万円程度。為替レートにより円換算額は変動します)
上記のとおり、投資額が大きいほど長期間有効なビザが発給され、比較的短期間で更新が必要なDT4から、最長5年間滞在可能なDT1まで幅があります。例えばベトナム政府が定める「投資優遇分野」に該当する大規模投資を行う場合はDT1ビザとなり、5年間の在留が許可されます。
一方、小規模投資の場合はDT4ビザで有効期間1年に留まるなど、自身の投資計画に見合ったビザ区分を選択する必要があります。投資家ビザを取得すると、就労許可証(ワークパーミット)の免除を受けることも可能であり(一定の条件下では投資家は就労許可不要とみなされます)、さらに後述する一時滞在許可証の取得によって長期的な居住も実現できます。
以上が主なビザタイプの概要です。日本人投資家の場合、短期の物件視察や市場調査であればビザ免除や観光ビザの範囲で滞在し、具体的な商談フェーズでは商用ビザ、実際に現地で企業設立・投資実行となれば投資家ビザを検討するといった形で、状況に応じて適切なビザを選択することが大切です。
ビザ種類の比較
ベトナムへの渡航目的や滞在期間に応じて、ビザ免除・観光ビザ・商用ビザ・投資家ビザといった複数の選択肢があります。 下記の図解では、それぞれの「滞在可能日数」・「延長の可否」・「主な用途」を比較しています。 ご自身の計画に合ったビザを選択する際の参考にしてください。
ビザ種類 | 滞在可能日数 | 延長の可否 | 主な用途 |
---|---|---|---|
ビザ免除 (短期滞在) | 最長45日間 | 原則不可(延長なし) | 短期観光 短期訪問 |
観光ビザ(DL) | 最大90日(シングル/マルチ選択可) | あり(条件により延長可能) | 観光目的 余裕をもって長期観光したい方 |
商用ビザ(DN) DN1 / DN2 | 最長1年間 | あり(スポンサー企業と協議) | ビジネス渡航 商談・会議出席 事業拠点の調査 |
投資家ビザ(DT) DT1〜DT4 | 最大5年(投資額に応じ区分) | あり(投資プロジェクト継続時) | ベトナム企業への投資 法人設立、不動産投資 長期ビジネス計画 |
※最新の投資動向やビザ情報は JETROベトナム(公式サイト) をあわせてご確認ください。
ビザ取得の流れ|オンライン申請から現地手続きまで
次に、主要なビザをどのような手順で取得するか、オンライン申請から現地での手続きまでその流れを解説します。ベトナムビザの取得方法はビザの種類によって異なりますが、大きく分けて以下の方法があります。
まずは大まかに「短期(45日以内)」か「45日以上の長期滞在」かを分け、それぞれに応じた申請経路を選ぶことが大切です。以下のフローチャートで、ご自身の渡航目的や滞在期間に合った手順を確認してください。
ビザ取得手順のフローチャート
以下のフローチャートでは、「目的別」および「申請経路」で枝分かれしながら、最適なビザ取得ルートを選択できるようにしています。短期・長期で最適な申請方法が異なるため、まずは渡航目的と期間を明確にしてから確認しましょう。
STEP 1
渡航目的を明確にする
短期観光・商談・長期投資など、滞在目的をまず整理。
※目的によりビザ免除・商用ビザ・投資家ビザなど適用範囲が変わります。
STEP 2
滞在予定期間を確認
45日以内ならビザ免除(短期)または電子ビザも検討可能。
45日以上の長期滞在は別途ビザが必要。
STEP 3
短期(45日以内)の場合ビザ免除もしくは電子ビザ(e-visa)で対応。
45日以上の長期またはビジネス目的の場合:商用ビザ・投資家ビザを検討。
STEP 4
申請方法を選択
- 電子ビザ(e-visa):公式サイトよりオンライン完結(短期~中期向け)。
- ビザオンアライバル:Approval Letterを事前取得し、空港でビザ発給。
- 大使館・領事館申請:長期滞在や投資家ビザ(DT)などで必要。
STEP 5
書類準備と申請手続き
- 必要書類を確認(パスポート、証明写真、申請フォーム、他)
- オンライン申請や大使館窓口で提出
- 審査完了後、ビザ発給または承認レター取得
※最新情報は JETROベトナム にてご確認ください。
申請に必要な書類一覧|書類不備を回避するための実務ガイド
ビザ申請をスムーズに進めるには、必要書類を漏れなく準備することが不可欠です。ここではベトナムビザ取得にあたり典型的に要求される書類をリストアップし、不備を回避するためのポイントを解説します。
ビザ種別によって求められる書類は多少異なりますが、共通する基本書類と、投資家ビザなど特定ビザで追加となる書類に分けて整理します。下記の表をチェックリスト代わりにご活用ください。
必要書類一覧
ビザ申請時には、以下の共通必須書類と、ビザ種別によって追加が必要となる書類を用意してください。 下記の表に簡易説明を添えているので、不備がないようチェックリストとして活用できます。
書類項目 | 部数 | 簡易説明 |
---|---|---|
共通必須書類 | ||
パスポート | 1原本 | 残存有効期間が6か月以上あるもの。コピーも一部用意しておくと安心。 |
証明写真 | 2枚 | 4×6cmサイズ、背景白。6か月以内に撮影したもの。 |
ビザ申請書 | 1部 | 電子ビザの場合はオンライン入力、その他の場合は所定の紙フォーム。 |
追加書類(ビザ種別によって異なる) | ||
投資登録証明書(IRC) | 1部 | 投資家ビザ(DT)取得時に必要。公証済みコピーを用意。 |
企業登録証明書(ERC) | 1部 | スポンサー企業がすでに登記済みの場合に提出。公証済みコピーを準備。 |
承認レター(Approval Letter) | 1部 | ビザオンアライバルや商用ビザなどで必要。ベトナム入国管理局が発行。 |
招聘状・招請レター | 1部 | 商用ビザ(DN)申請時に必要。現地法人からの招請レター等を提出。 |
※最新の書類要件や発行手続きについては JETROベトナム も併せてご確認ください。
ビザの延長・更新手続き|長期滞在を見据えた準備
ベトナムでの長期滞在や継続的な投資活動を行う場合、取得したビザの延長(Extension)や更新(Renewal)手続きを理解しておくことも重要です。ビザに定められた滞在期限を超えて滞在を継続するには所定の手続きが必要であり、これを怠るとオーバーステイ(ビザ超過滞在)となり罰金等のペナルティの対象となります。
以下では長期滞在に備えた延長・更新手続き、および関連する在留制度について解説します。
ビザ延長 (Extension)
ビザ延長とは、現在保有しているビザの滞在許可期間を国内で延ばす手続きです。例えば「30日間滞在の観光ビザ」を持っている場合にさらにもう30日滞在延長する、といったケースです。
延長申請はビザの有効期限が切れる数日前までに入国管理局で行う必要があります(通常、7営業日前までの申請が推奨されています)。延長が認められると、新たな滞在許可期間が与えられ、出国せずにそのまま滞在継続できる点がメリットです。
延長可能な期間は、現在のビザ種別によって異なります。一般的に最長3か月ビザを持っている場合はさらに3か月の延長が、1か月ビザの場合は1か月延長が認められます。例えば90日シングルの観光ビザを取得した人は、一度の延長でさらに90日滞在を伸ばせる可能性があります。
ただしビザの種類や入国目的によって延長回数や期間に制限がある点には注意が必要です。また延長手続きには手数料がかかります(延長は新規ビザ取得に比べ費用が安い傾向にあります)。
ビザ更新 (Renewal)
更新とは、現在のビザを一旦終了させて新しいビザを国内で取得し直す手続きです。更新が必要となる典型例は、「ビザ免除(ノービザ)で入国したが滞在延長したい場合」や「現在のビザでは希望する延長期間を満たせない場合」です。
例えば日本人がビザ免除45日で入国してさらに滞在延長したい場合、一度出国し別のビザで再入国するか、この更新手続きを取る必要があります。更新申請が認められるとパスポート上に新しいビザのスタンプとステッカーが貼付され、そこに記載の期間滞在が可能となります。
更新によって得られるビザの最長期間は通常3か月で、1か月から3か月までのシングル/マルチエントリーが選択できます。更新手続きは延長に比べ手数料が高く、新規発給に準じた料金(スタンプ代等を含む)となります。ビザ免除で入国したケースでは延長はできず更新(新規ビザ取得)が必要になる点、またシングルエントリーをマルチエントリーに変更したい場合なども更新扱いになります。
一時滞在許可証(TRC)の取得
投資家としてベトナムに長期滞在する場合、ビザをその都度延長・更新する代わりに一時滞在許可証(Temporary Residence Card, TRC)を取得する方法があります。
TRCは在留カードのようなもので、対象となるビザ保有者に対して2〜10年の長期滞在許可が与えられる制度です。例えばDT1〜DT3区分の投資家ビザ所持者は、それぞれ最長10年から2年までのTRCを申請できます。
TRCを取得すれば、その期間中はビザ更新なしでベトナムに居住でき、出入国もカード提示でスムーズになります。投資を継続する中長期的な計画がある場合、ビザ取得後にTRCへの切り替えを検討する価値は高いでしょう。TRC申請にはビザ以上に厳格な審査と書類(無犯罪証明など)が必要ですが、一度取得すればベトナムでの生活基盤を安定させることができます。
延長・更新手続きの実務ポイント
延長や更新を行う際は、期限管理が何より重要です。ビザの残存日数が少なくなってから慌てないよう、カレンダーに予め更新期限を記入しておきましょう。
また手続きはベトナム入国管理局の各オフィス(ハノイ、ホーチミン市、ダナンなど主要都市に所在)で行います。言語や手続きに不安がある場合は、ビザ代行業者に依頼すると良いでしょう。その場合でもパスポート原本を預ける期間が発生するので、信頼できる業者を選定してください。
仮に延長手続きを失念しオーバーステイになってしまった場合、空港で罰金支払いと出国許可手続きが必要になります。最悪の場合、再入国禁止など将来の投資活動に影響を及ぼしかねません。不測のトラブルを避けるためにも、計画的に延長・更新に取り組みましょう。
以上のように、長期滞在を見据える投資家にとってビザの延長・更新手続きは避けて通れないテーマです。特に投資家ビザから一時滞在許可証への移行は、長期的なビジネス展開を考える上で有効な選択肢となります。適切なタイミングで必要書類を揃え、余裕を持って手続きを行うことで、現地滞在に中断が生じるリスクを最小限に抑えましょう。
延長と更新の違いを示す図解
ビザの有効期限が近づいた際、延長(Extension)と更新(Renewal)という2種類の手続きが存在します。どちらを選択すべきか迷う方のために、それぞれの違いや適用ケースを簡易図解にまとめました。無計画な滞在延長や誤った手続きによるトラブルを避けるため、下記を参考にしてください。
延長 (Extension)
- 目的:現在のビザ期間をそのまま“追加”する
- 対象:同じビザ種別で滞在を延ばしたい場合
- 注意点:ビザの種類や入国目的によって、延長可能な回数や日数が限られる
例)30日間の観光ビザを追加で30日延長して計60日にする
現在のビザが無効にならないよう、有効期限が切れる前に申請する必要があります。
⇄
更新 (Renewal)
- 目的:現在のビザを終了し、“新しいビザ”を取得する
- 対象:今のビザ種別のまま延長できない/新たなビザ種別に切り替えたい場合
- 注意点:ビザ免除で入国した場合や延長回数の上限に達した場合は更新手続きを行う
例)ビザ免除で入国後、長期滞在したいので新規ビザを取得
新規ビザ発給と同様の手数料・審査が必要となるため、事前に計画的な申請を行いましょう。