【2026年1月施行】サウジアラビアが外国人の不動産所有を解禁|新法の仕組み・Saudi Properties・購入方法を完全解説

「サウジアラビアで外国人が不動産を持てるようになった」という情報を耳にして、本当なのかどうか気になっている方は多いのではないでしょうか。2026年1月に施行されたサウジアラビアの外国人不動産所有解禁に関する新法は、中東不動産投資の地図を大きく塗り替える可能性を持つ、歴史的な制度変更です。

この記事では、新法の仕組みから政府プラットフォーム「Saudi Properties」の使い方、実際の購入手順、注意すべきリスクまで、海外不動産投資を検討する日本人投資家の視点でわかりやすく解説します。

正確な情報をもとに判断するための羅針盤として、ぜひ最後までお読みください。

目次

サウジアラビア不動産市場の現状と2026年の最新動向

サウジアラビア不動産投資タイプ比較

外国人所有解禁の背景:ビジョン2030と不動産市場の関係

サウジアラビアは、国家変革計画「ビジョン2030」のもとで、石油依存型経済からの脱却を目指して大規模な改革を推進しています。その一環として、外国人投資家の誘致・定着を促すための法整備が段階的に進められてきました。

従来、サウジアラビアでは外国人による不動産の所有は原則として厳しく制限されており、特定の商業用途や外国人居住区(コンパウンド)を除いて、外国人が自由に土地・建物を取得することはほぼ不可能に近い状況でした。日本でも外国人による不動産取得に事実上の制限はありませんが、サウジアラビアでは宗教・文化的な背景からこうした規制が長年維持されてきた経緯があります。

しかし、ネオム(NEOM)やロシュン(Roshn)などの大型開発プロジェクトへの外国資本呼び込みを強化するため、サウジアラビア政府は段階的に規制緩和の方針を打ち出してきました。

その集大成が、2026年1月に施行された外国人不動産所有に関する新法です。この法律は、指定された開発区域や都市エリアにおいて、外国人個人・法人が一定の条件のもとで不動産を所有できることを正式に認めるものとして、国際社会から大きな注目を集めています。

なお、制度の詳細や対象エリアの範囲については継続的に更新されている部分もあるため、投資判断の前には必ず最新の公式情報を確認することを強くお勧めします。

サウジアラビア不動産市場の最新価格動向

サウジアラビアの不動産市場は、ビジョン2030関連の大型インフラ投資と人口増加(2026年時点で約3,517万人、2030年には3,500万〜4,000万人程度に達すると予測されています)を背景に、主要都市を中心に価格上昇傾向が見られると広く報告されています。

特にリヤド(首都)・ジェッダ(西部の商業都市)・ダンマム(東部の石油産業の中心)の三大都市圏では、住宅用不動産・商業用不動産ともに需要が高い状態が続いています。具体的な価格帯については物件タイプ・エリア・開発段階によって大きく異なるため、以下のテーブルでは一般的に報告されている傾向を示します。

エリア物件タイプ価格帯(㎡あたり)市場の特徴
リヤド(中心部)住宅・商業概ね5,000〜6,100 SAR/㎡首都機能・需要旺盛
ジェッダ住宅・観光概ね4,000〜4,500 SAR/㎡紅海沿岸・観光開発進行中
ダンマム・コバール商業・工業概ね3,600〜9,500 SAR/㎡(アパート3,600〜3,900、ヴィラ9,500が目安)石油産業・外国人駐在需要
NEOM(ネオム)開発中・先行販売販売開始直後のため㎡単価データなし(ユニット最低価格帯:目安SAR 150万〜)超大型プロジェクト・高リスク高リターン

出典:Raghdan Real Estate、Sands of Wealth(JLL Research・Cavendish Maxwell等の集計データに基づく) ※価格は時期・物件・エリアにより大きく変動します

成長率・取引件数に関する概況

サウジアラビアの不動産セクターは、ビジョン2030の政策的後押しを受けてGDP(国内総生産)への貢献度を高めることが目標として掲げられています。

国際通貨基金(IMF)やワールド・バンク(世界銀行)の各種レポートでもサウジアラビア経済の多角化戦略が注目されており、不動産・建設セクターはその重要な柱の一つとして位置づけられています。

取引件数・成長率の具体的な最新数値については、サウジアラビア統計庁(General Authority for Statistics)や不動産総局(Real Estate General Authority、REGA)が定期的に公表しているデータを参照されることを強くお勧めします。

指標2025年2026年(直近)前年比
実質GDP成長率(サウジアラビア全体)4.5%IMF予測4.5〜4.7%程度ほぼ横ばい〜微増
2024年上半期の不動産取引額1,273億SAR前年同期比+38%
REGA不動産価格指数(Q1 2026)104.9107(予測)上昇基調

出典:ジェトロ・ビジネス短信(GASTAT・IMF発表)、Arab News

日本の不動産市場との比較

日本では、外国人・外国法人による不動産取得は基本的に日本人と同等の権利のもとで行えます(一部の安全保障上の観点から規制議論はあるものの、2026年時点で民間不動産の購入自体は広く認められています)。

一方、サウジアラビアでは長年にわたって外国人所有が原則禁止されていたことを考えると、今回の新法施行がいかに画期的なものかがわかります。

また、日本の不動産市場は成熟・安定型であり、東京23区の区分マンション表面利回り平均約5.3%、都心一等地・駅近は3〜4%が目安とされることが多いのに対し、サウジアラビアのような新興・開発途上の市場では、より高いリターンが期待できる反面、制度的なリスクも相応に存在します。この点は投資判断において重要な視点ですので、必ず念頭に置いてください。

【新法詳細】外国人不動産所有の仕組みとSaudi Propertiesの活用法

2026年新法の骨子:何が変わったのか

2026年1月に施行されたサウジアラビアの外国人不動産所有に関する新法(以下「新法」)は、それまで原則禁止とされていた外国人による不動産所有を、一定の条件と手続きのもとで認めることを正式に規定したものとして広く報道・報告されています。

新法の主な要点として一般に報告されているのは以下の通りです。

  • 対象エリアの指定:すべての地域が解禁されたわけではなく、サウジアラビア政府が指定した開発区域・都市エリアが対象とされています。メッカ・メディナなど宗教的に特別な地域については、引き続き非ムスリムの所有に関して制限が設けられていると報告されています。
  • 所有形態の条件:個人の外国人投資家、外国法人、いずれも一定の条件(ビザの種類、滞在資格、投資額の下限など)を満たすことが求められるとされています。
  • 用途制限の存在:住宅用・商業用などの用途区分によって、所有できる物件のタイプや面積に上限が設けられる可能性があります。
  • 政府承認プロセスの必須化:所有にあたっては、後述するSaudi Properties等を通じた政府の正式承認手続きが必要とされています。

制度は施行後も細部にわたる運用規則の整備が続いており、「新法が施行された=誰でもどこでも買える」と単純に解釈するのは危険です。必ず最新の公式ガイドラインを確認し、現地の法律専門家や信頼できる不動産エージェントに相談することを欠かせません。

Saudi Propertiesとは何か:政府公式プラットフォームの概要

「Saudi Properties」は、サウジアラビア政府が外国人投資家向けに整備した不動産情報・手続きプラットフォームとして報告されています。このプラットフォームの主な機能として一般に紹介されているのは以下の通りです。

  • 物件情報の一元提供:外国人が購入可能な物件リストを政府が認定した形で提供することで、詐欺的物件や違法物件への接触リスクを下げる役割が期待されています。
  • オンライン申請手続き:購入申請・承認手続きをデジタル化し、現地に足を運ばなくとも一定の手続きが進められるよう設計されていると報告されています。
  • 多言語対応:英語での利用が主体となっており、現時点では日本語対応は確認できていません。アラビア語が必要な場面もあると報告されているため、現地の認定エージェントや弁護士への代行依頼をおすすめします。

▼ちなみに、同じ中東でも圧倒的な外国人投資家向けの整備が進んでいるドバイ(UAE)の事例は、サウジアラビアの今後の方向性を理解する上でも参考になります。

所有できる・できない物件の区別

新法施行後も、外国人がすべての物件を自由に購入できるわけではありません。一般に報告されている区分として以下が挙げられます。

  • 所有可能(一定条件下):リヤド・ジェッダ・ダンマムなどの主要都市の指定エリアにある住用・商業用物件、ロシュン(Roshn)などの政府系デベロッパーが手がける開発物件
  • 所有制限あり・要確認:メッカ・メディナの聖地周辺エリア(非ムスリムへの制限が続くとされています)、農地・特定の戦略的土地
  • 要個別確認:ネオム(NEOM)などの超大型開発プロジェクト内物件は、プロジェクトごとに異なる規定が設けられている可能性があります

具体的にどの物件が購入可能かは、必ずSaudi Propertiesまたは現地の認定不動産エージェントに個別に確認することを強くお勧めします。

通貨と為替リスクについて

サウジアラビアの通貨はサウジリヤル(SAR)で、米ドルとのペッグ制(固定相場制)を採用しています。1USD=3.75SARの固定レートが長年維持されており、ドルとの為替リスクは基本的にない一方、日本円との関係では円安・円高の影響を受けます。

例えば、100万SAR(2026年8月26日時点でSAR/JPY=42.3円につき、100万SAR=約4,230万円(※記事執筆時点)の物件を購入する場合、購入時と売却時の円/ドルレートの変動が実質的なリターンに影響します。為替リスクの管理手法についても、専門家に相談することを欠かせません。

サウジアラビア不動産の具体的な購入手順(Step by Step)

購入前の準備・事前調査

サウジアラビアでの不動産購入は、日本国内での購入以上に事前準備が重要です。特に、外国人所有が認められているエリア・物件かどうかの確認、現地の法律専門家(弁護士)の確保、信頼できる不動産エージェントの選定は、最初に行うべき最優先事項です。

1
投資目的と予算の明確化

賃貸収益目的か値上がり益目的か、あるいは両方かを明確にしてください。予算は購入価格だけでなく、登記費用・エージェント手数料・維持管理費・将来の税負担も含めて試算することが重要です。
費用:無料(自己作業)。
期間:1〜2週間。
注意点:SAR建て・USD建て・JPY建てそれぞれでの試算を行い、為替リスクも計算に入れてください。

2
現地の法律専門家・不動産エージェントの選定

サウジアラビアの法律・規制は日本とは大きく異なり、かつ制度が急速に変化しています。外国人投資家の取引実績がある現地弁護士と、REGA(不動産総局)に登録された認定エージェントを必ず選んでください。
費用:弁護士費用は案件により個別見積もり(物件価格・案件複雑度による)。
期間:1〜3週間。
注意点:日本語対応の弁護士・エージェントは限られているため、早期確保が不可欠です。

3
Saudi Propertiesへの登録・物件調査

Saudi Propertiesプラットフォームに外国人投資家として登録し、購入対象物件が外国人所有可能リストに含まれているかを確認します。物件の登記状況・権利関係・法令適合性のデューデリジェンス(精査)を弁護士と協力して行ってください。
費用:登録自体は無料〜低額とされていますが、公式手数料表は今後REGAが公表する見込みです。
期間:2〜4週間。
注意点:プラットフォーム上の情報だけを鵜呑みにせず、必ず弁護士による独立した精査を行うことが絶対条件です。

4
政府への所有申請・事前承認の取得

新法のもとでは、購入前または購入と並行してサウジアラビア政府の所管機関への申請・事前承認が必要とされています。必要書類(パスポートコピー、投資目的の申告書、資金源証明など)を揃え、弁護士を通じて申請を行います。
費用:申請手数料は物件価格に応じて別途設定される見込みで、現時点で統一料率は確認できていません。
期間:数週間〜数ヶ月(REGAが2026年第1四半期に公表予定の「地理的区域文書」の詳細により変動)。
注意点:承認が得られる前に売買契約を締結することは極力避けてください。

5
売買契約の締結

承認取得後、弁護士立ち会いのもとで売主との売買契約を締結します。契約書はアラビア語で作成されることが多く、英語・日本語への翻訳確認が必須です。手付金の金額・支払いスケジュール・キャンセル条件・引渡し条件を必ず明確に確認してください。
費用:弁護士費用・翻訳費用別途。
期間:1〜2週間。
注意点:サインする前に必ず弁護士が内容を確認した後にのみ署名してください。

6
代金の支払い・資金送金

日本から外貨送金を行う際は、外国為替及び外国貿易法(外為法)の規定に従った手続きが必要です(一般に、一定金額以上の海外送金には銀行への目的申告が必要とされています)。送金先口座・エスクロー(第三者預託)の利用可否を弁護士と確認してください。
費用:送金手数料・為替コスト(銀行・送金額による)。
期間:数日〜1週間。
注意点:送金先が正規の口座であることを必ず複数の方法で確認し、振込詐欺に注意してください。

7
登記・所有権移転

サウジアラビアの不動産登記機関(不動産総局REGAおよび法務省関連機関)において、正式な所有権移転登記を行います。登記完了後に発行される権利証(ソック/صك)が所有権の公式証明となります。
費用:登記費用は物件価格の一定割合(外国人の場合、売却時のREGA手数料は最大5%と確認できていますが、購入時の登記費用単体の公式料率は未確認)。
期間:数週間〜数ヶ月。
注意点:登記が完了するまでは法的な所有権は移転しておらず、引渡しを受けても登記完了を急いでください。

8
物件管理・運用体制の整備

日本から遠隔地で物件を管するには、現地の信頼できるプロパティマネジメント会社との契約が不可欠です。賃貸に出す場合は、テナントの選定・賃貸借契約・家賃回収・修繕対応などを委託することになります。
費用:管理手数料は月次賃料の8〜12%程度が一般的です(ジェッダの例:8〜12%、リヤドの例:5〜10%)。
期間:継続的。
注意点:管理会社の選定は購入と同時並行で進め、引渡し後すぐに運用を開始できる体制を整えてください。

費用・税金の全体像

サウジアラビアでの不動産購入に際して一般的に発生するとされる費用の概要は以下の通りです。ただし、具体的な費用は案件・時期・エリアにより大きく変動するため、必ず専門家に個別見積もりを依頼してください。

  • 不動産取引税(移転税):物件価格の5%(RETT)。全ての不動産取引に原則適用されます。
  • VAT(付加価値税):サウジアラビアでは15%のVATが適用されています(住宅用不動産の賃貸は非課税)。
  • 登記手数料:外国人の処分(売却)時にREGA手数料が最大5%課されます(RETT5%とは別枠)。合計で取引時に約10%程度を見込む必要があります。
  • 仲介手数料:物件価格の2.5%(サウジアラビア不動産仲介法により法定上限として規定。VAT込みで実質約2.875%)。
  • 弁護士・法務費用:物件価格・案件複雑度により個別見積もり(目安:数千SAR〜。定額の公式相場は存在しないため、複数の弁護士から見積もりを取ることを推奨)。
  • 翻訳・公証費用:契約書量・言語ペアにより個別見積もり(アラビア語→英語/日本語の契約書翻訳が必要になるケースが一般的)。

日本では不動産取得税・登録免許税・仲介手数料など購入総額の数パーセント程度の諸費用が一般的ですが、サウジアラビアでは制度移行期にある現在、予想外の費用が発生することも想定してください。余裕のある資金計画が重要です。

出典:ZATCA(サウジアラビア・ザカート税関税庁)RETTガイドライン、REGA不動産仲介法(Royal Decree No. M/130)、ジェトロ税制レポート

日本への税務報告義務

日本居住者が海外不動産から賃貸収入や売却益を得た場合、日本の所得税・住民税の課税対象となる可能性があります(日本の税法は全世界所得課税を原則としています)。

サウジアラビアと日本の間に租税条約が存在するかどうか、二重課税防止の規定が適用されるかどうかについては、必ず日本の海外不動産に詳しい税理士に相談することを強くお勧めします。

サウジアラビア不動産投資のメリットと魅力

ビジョン2030が生む巨大な需要と成長ポテンシャル

サウジアラビアが国家戦略として掲げる「ビジョン2030」は、観光・エンターテインメント・製造業・金融など多様なセクターへの投資を呼び込むための大規模な改革プログラムです。この国家プロジェクトの一環として、住宅・商業・ホスピタリティ分野での不動産開発需要が急拡大していることは広く知られています。

特に以下の点が、長期的な需要拡大の根拠として挙げられることが多いです。

  • 人口の若さ:サウジアラビアは人口の過半数が若年層と報告されており、住宅需要の増大が見込まれています。
  • 都市化の進展:リヤドをはじめとする主要都市への人口集中が続いており、都市部不動産の需要基盤は強固と見られています。
  • 大型インフラ投資:NEOM・紅海プロジェクト・ディルイーヤなど世界的な注目を集める大型開発が進行中です。
  • 観光客受け入れ拡大:ビザの開放やエンターテインメント規制の緩和により、観光業への投資が加速しています。

本の不動産市場では少子高齢化による人口減少が長期的な課題となっている一方、サウジアラビアでは人口増加と都市化という需要拡大の基本ドライバーがしっかりと働いている点は、投資対象としての大きな魅力の一つです。

米ドルペッグによる通貨安定性

前述のとおり、サウジリヤル(SAR)は米ドルに固定されているため、投資収益をUSDベースで考える場合のドル-リヤル間の為替変動リスクは実質的にありません。

これは、管理変動相場制や自由変動相場制を採用している新興国通貨への投資と比較して、通貨リスクの一部を排除できるという点で評価されることがあります。

▼ちなみに、東南アジアの新興国市場への投資では通貨リスクが重要な検討事項となります。マレーシアやフィリピンでの不動産投資事例も参考にしながら、リスク分散の観点で比較検討することも有益です。

キャピタルゲインへの課税構造(日本側の税率)

サウジアラビアでは、個人の不動産売却益(キャピタルゲイン)に対する課税の取り扱いが日本とは異なるとされています。

日本では、不動産売却益に対して所有期間に応じた譲渡所得税が課されます(短期譲渡(所有5年以下)は約39.63%〔所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%〕、長期譲渡(所有5年超)は約20.315%〔所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%〕が一般的に知られています)。

サウジアラビアにおける外国人投資家のキャピタルゲイン課税については、新法施行後の運用規定を含めて専門家による最新情報の確認が必要です。税制は制度が変わる可能性があるため、断定的な情報ではなく最新の公式発表を必ず確認してください。

外国人所有解禁という歴史的な「先行者優位」

新法施行直後の現時点は、外国人投資家にとっていわば「市場への参入初期」にあたります。制度が成熟し、国際的な投資家の認知度が高まる前に良質な物件・エリアに目をつけておくことで、将来の値上がり益や良好なテナント確保につながる可能性があります。

これは、ドバイ(UAE)が外国人所有を開放した初期段階に多くの先行投資家が恩恵を受けたとされる事例と対比して語られること多いポイントです。

ただし、「先行者有利」は同時に「制度リスク・情報不足リスク」と表裏一体であることも忘れないでください。焦って飛び込むのではなく、十分な情報収集と専門家への相談を経た上での判断を強くお勧めします。

リスクとよくある失敗事例:新法施行後に特に注意すべき落とし穴

失敗事例:「外国人も買える」という情報だけを信じて購入を急ぎ、対象外物件を契約してしまうケース

新法施行のニュースが広がると、「外国人でも買えるようになった」という情報だけが一人歩きし、実際には外国人所有の対象外となっているエリア・物件タイプの購入を試みるケースが懸念されます。

新法が適用されるのは政府が指定した範囲に限られており、すべての物件が対象ではないことを十分に理解する必要があります。

特に注意が必要なのは、「メッカ・メディナ周辺の物件を紹介された」「農地や未登録の土地を紹介された」「小規模な地場業者から直接購入を勧められた」などのケースです。このような場合、後になって所有権が認められないリスクがあります。

⚠️ 注意:対象外物件への誤った投資

対策:購入前にSaudi Propertiesプラットフォームまたはサウジアラビア不動産総局(REGA)の公式リストで対象件であることを確認してください。弁護士による法的精査(デューデリジェンス)を必ず実施し、対象エリア・用途・所有形態の適法性を書面で確認した後にのみ契約に進んでください。

失敗事例②:為替変動リスクを軽視し、円換算での収益計算を誤るケース

サウジリヤルはドルペッグですが、日本円とドルの為替レートは大きく変動します。例えば、購入時に1USD=150円(1SAR≒40円)だったものが、売却・送金時に1USD=120円(1SAR≒32円)になれば、SAR建てでは利益が出ていても円換算では大幅な目減りが生じます。

日本人投資家は最終的な収益を円で受け取ることが多いため、この為替変動リスクの管理が極めて重要です。

また、購入資金を日本円で用意して送金する際にも、円安・円高の状況によって実際の調達コストが変わります。「SARで見れば順調なのに、円に換算すると損失」というパターンは、海外不動産投資全般でよく見られる失敗のパターンです。

⚠️ 注意:円換算での収益計算ミス

対策:投資計画の段階から「円で見たシナリオ分析」を複数パターン(円安シナリオ・円高シナリオ)で行ってください。為替ヘッジの手段(先物・オプション等)についても金融の専門家に相談し、リスク許容度に応じた対策を検討することを欠かせません。

失敗事例③:現地の法律・慣行を理解せずに日本の感覚で進め、契約トラブルに巻き込まれるケース

サウジアラビアは、イスラム法(シャリーア)を基盤とする独自の法体系を持っています。契約・紛争解決・相続・担保設定などに関する考え方が、日本とは根本的に異なる場合があります。

例えば、日本では一般的な「手付金の放棄によるキャンセル」という概念が、サウジアラビアの取引慣行では同様に機能しないケースがあります。また、契約書がアラビア語のみで作成されている場合、内容を正確に理解しないまま署名してしまうリスクがあります。

加えて、現地の不動産エージェントや売主との交渉において、日本のビジネス慣行(書面重視・明示的な合意形成など)と異なるアプローチが求められることもあります。

⚠️ 注意:現地法体系の無理解による契約トラブル

対策:アラビア語契約書の日本語翻訳・精査を必ず弁護士に依頼してください。口頭での合意や約束事は必ず書面化することを徹底し、「言った・言わない」のトラブルを防ぐことが重要です。紛争解決条項(どの国の法律に基づくか・仲裁機関はどこか)についても事前に明確にしておくことを強くお勧めします。

失敗事例④:制度移行期のグレーゾーンを突いた詐欺的案件に巻き込まれるケース

新法施行直後のような制度移行期には、規制が整備されていないグレーゾーンを悪用した詐欺的な不動産案件が現れることがあります。

「新法で解禁されたから特別に案内できる」「今だけ先行予約できる」「政府公認の物件だから安心」などの甘言で近づいてくる悪質なブローカーには十分注意が必要です。

また、実在しない物件・重複販売・権利のない第三者による販売なども、新興市場では一般的な注意点として知られています。

⚠️ 注意:制度移行期の詐欺的案件

対策:REGA(不動産総局)に登録された認定エージェントのみと取引してください。「急かされる」「今だけ」「特別案件」などの言葉には冷静に距離を置き、必ず独立した弁護士に案件の適法性を確認してもらってください。入金の前に法的精査を完了させることは絶対条件です。信頼できる第三者(弁護士・エスクロー機関)を介さない直接送金には原則として応じないことを強くお勧めします。

エリア・物件タイプ別の選び方:あなたの投資目的に合うのはどれか

リヤド(首都):安定需要と長期保有向け

リヤドはサウジアラビアの政治・経済の中心であり、政府機関・多国籍企業・金融機関が集積しています。外国人駐在員・ビジネスパーソンの住宅需要が安定して見込まれるエリアです。

物件タイプ:高級アパートメント・複合用途ビル・商業用テナントビル

価格帯:5,000〜6,100 SAR/㎡(北部高級エリアは9,000〜16,000 SAR/㎡まで上昇)

想定利回り:表面利回り5.8〜8.9%程度(エリアにより大きく異なり、供給不足の北部プレミアムエリアで高め)

特徴:需要が安定しており、長期的な賃貸収益を重視する投資家に向いています。ただし、価格は三大都市の中でも高い傾向があるとされています。新法の対象エリアの中でも優先的に外国人案件が処理されると見込まれています。

どんな投資家に向いているか:安定を重視し、長期保有で安定的な賃貸収益を得たい30〜60代の投資家。初めての海外不動産投資として慎重に進めたい方にも、情報が比較的多いリヤドは適しているとされています。

ジェッダ・紅海沿岸エリア:観光・ホスピタリティ投資向け

ジェッダはサウジアラビア最大の港湾都市であり、紅海に面した商業・観光都市です。ビジョン2030の観光戦略の下、紅海プロジェクト(Red Sea Project)など大型リゾート開発が進行中で、ホテル・サービスアパートメント・観光施設への投資需要が高まっています。

物件タイプ:リゾートコンドミニアム・サービスアパートメント・商業施設

価格帯:4,000〜4,500 SAR/㎡(アパート中心。沿岸部プレミアムエリアは5,000〜8,500 SAR/㎡)

想定利回り:表面利回り6〜10%程度(観光需要・稼働率による変動が大きい。短期賃貸物件は10%を超えるケースも報告されています)

特徴:観光客受け入れ拡大政策の直接的な恩恵を受けるエリアです。短期賃貸(バケーションレンタル)需要の拡大も期待されていますが、観光業の変動リスクも念頭に置く必要があります。

どんな投資家に向いているか:中東観光市場の成長に賭けたい、ある程度のリスクを取れる積極的な投資家。短期賃貸運用に慣れている、または専門の管理会社に委託できる方。

ダンマム・東部州:エネルギー産業関連の安定需要

東部州(イースタン・プロビンス)はサウジアラビアの石油・エネルギー産業の中心地であり、アラムコ(Saudi Aramco)をはじめとするエネルギー関連企業の本拠地として外国人駐在員の需要が根強く存在します。

物件タイプ:外国人向けコンパウンド・住宅用アパートメント・商業テナント

価格帯:3,600〜9,500 SAR/㎡(アパート3,600〜3,900、ヴィラ9,500が目安)

想定利回り:表面利回り約6.2%程度(安定したテナント需要が背景。リヤド・ジェッダより高めの利回りが報告されることもあります)

特徴:石油産業の動向と連動する側面があります。エネルギー価格の上下が地域経済・不動産需要に影響を与える可能性があります。一方で、外国人駐在員向け物件の需要は比較的安定していると報告されています。

どんな投資家に向いているか:石油・エネルギー産業の動向に精通しており、安定テナント需要を重視する投資家。法人投資・企業の社宅需要を取り込みたい方。

NEOM・大型開発プロジェクト内物件:高リスク・高ポテンシャル型

NEOM(ネオム)は、サウジアラビア北西部で計画されている世界最大級のスマートシティ開発プロジェクトです。「THE LINE」「OXAGON」「TROJENA」などのコンセプトが世界的に注目されていますが、2026年時点では開発が途中段階にあり、物件の先行販売・予約申込みが行われている案件もあると報告されています。

物件タイプ:先行分譲・開発中物件(オフプラン)

価格帯:販売開始直後のため確立した市場相場はまだ存在しません(THE LINEの高級アパートは約$50万〜〔目安SAR 187万〜〕、ヴィラは$100万〜が最低ラインとして報告されています)。

想定利回り・キャピタルゲイン:開発完成後の評価による。稼働開始後の想定利回りは6〜8%程度との報道もありますが、あくまでインフラ成熟後の見込み値です。完成・入居開始時期のリスクは高い。

特徴:世界的な注目度の高さからキャピタルゲインへの期待は大きい一方、プロジェクトの規模や開発スケジュールの変更・遅延リスクも相応に存在します。開発計画の変更・中断リスクを十分に理解した上で判断することが必要です。

どんな投資家に向いているか:長期(10年以上)の視点を持ち、高いリスクを受け入れられる投資経験が豊富な方。ポートフォリオの一部として「高リスク・高ポテンシャル枠」に位置づけられる方。初めての海外不動産投資としては非常に難易度が高いため、慎重な判断を強くお勧めします。

▼ちなみに、東南アジアにも同様の「開発途上エリアへの先行投資」という選択肢があり、フィリピンではその特性・リスクを踏まえた投資が行われています。比較検討の参考にしてください。

よくある質問

Q. 日本人(個人)でもサウジアラビアの不動産を購入できますか?
新法のもとでは、外国人個人投資家も一定条件下で購入可能とされています。
ただし、購入できるエリア・物件タイプには制限があり、政府の事前承認手続きが必要です。
また、購入時のビザ・滞在資格の状況や投資額の要件についても確認が必要です。日本人の場合、現地に長期滞在しながら手続きを進めるか、信頼できる代理人(弁護士・エージェント)を通じて手続きを行うことになります。
制度は施行後も細部が整備中のため、必ず最の公式情報と専門家への相談を経て判断してください。
Q. Saudi Propertiesはどこでアクセスできますか?日本語で使えますか?
Saudi Propertiesはサウジアラビア政府・REGA(不動産総局)が運営する外国人向け不動産情報・手続きの公式プラットフォームです。
saudiproperties.rega.gov.saからアクセスできます。
現時点では英語・アラビア語での利用が主体で、日本語には対応していません。物件の閲覧、所有資格の確認、申請の提出・進捗確認などの手続きがこのポータルを通じて行えますが、書類はアラビア語または英語ベースとなるため、現地の認定エージェントや弁護士に代行・サポートを依頼することを強くお勧めします。
Q. メッカ・メディナの物件は外国人が購入できますか?
メッカ・メディナは宗教的に特別な地域であり、ムスリムの外国人による不動産所有については引き続き制限が設けられているとの報告があります。ただし、制度の詳細・例外規定については継続的に確認が必要です。
「聖地エリアの物件を紹介する」という案件には特に慎重を期し、必ず法律専門家に確認してください。
制度は変わる可能性がありますので、最新の公式ガイドラインを参照することが必要です。
Q. サウジアラビアの不動産収益に対して日本で確定申告は必要ですか?
日本の居住者が海外不動産から収益を得た場合、原則として日本での確定申告が必要です。
日本は全世界所得課税を採用しており、海外での賃貸収入・売却益も原則課税対象となります。
サウジアラビアと日本の間の租税条約の状況・二重課税控除の適用可否については、必ず海外不動産に詳しい日本の税理士に相談してください。
申告を怠ると加算税・延滞税が発生するリスクがあります。早めの専門家相談を強くお勧めします。
Q. 購入後、日本に住んだまま物件を賃貸で運用できますか?
現地の信頼できるプロパティマネジメント会社に管理を委託することで、日本在住のまま賃貸運用を行うことは一般的に可能とされています。
ただし、テナントの選定・家賃回収・修繕対応・法的問題への対処などは現地管理会社の質に大きく依存します。管理会社の選定は物件購入と同等に重要な判断であることを忘れないでください。
また、賃貸契約はサウジアラビアの法律に基づいて作成される必要があります。遠隔管理においては定期的な物件状況確認の仕組み(報告書・現地訪問など)も整備することを欠かせません。

まとめ:今すぐ始める3つのアクション

2026年1月に施行されたサウジアラビアの外国人不動産所有に関する新法は、ビジョン2030を背景とした歴史的な制度変更であり、日本人投資家にとっても新たな投資機会の扉が開かれたことを意味します。

しかし同時に、制度移行期特有のリスク・情報不足・法制度の複雑さも存在します。この記事で解説した通り、成功する投資には「正確な情報収集」「現地専門家との連携」「リスクを正しく理解した資金計画」の三つが不可欠です。

日本では外国人の不動産取得が比較的自由に行える一方、サウジアラビアでは購入プロセスの各段階で政府機関との関わりが必要であり、手続きの複雑さは格段に高いと言えます。だからこそ、「一人で進めようとしない」ことが最大のリスク回避策です。

サウジアラビア不動産投資に関心を持たれた方に、今すぐ取り組んでいただきたいアクションは以下の3つです。

  • アクション1:最新情報の収集 
    サウジアラビア不動産総局(REGA)・Saudi Propertiesの公式情報を定期的にチェックし、新法の運用状況・対象エリアの最新情報を把握してください。制度は継続的に更新されています。
  • アクション2:専門家への相談 
    現地の認定不動産エージェント・弁護士、および日本の海外不動産専門家に相談し、ご自身の投資目的・予算・リスク許容度に合ったアドバイスを得てください。相談は早ければ早いほど選択肢が広がります。
  • アクション3:資金計画の試算 
    購入価格だけでなく、諸費用・為替変動・税務コスト・管理費用を含めたトータルの資金計画を、複数シナリオで試算してください。焦って資金を動かす前に、計画をしっかり固めることが長期的な成功への第一歩です。

「まず話を聞いてみたい」「自分の状況に合うかどうか確認したい」という段階でのご相談も大歓迎です。海外不動産専門メディア「オクマン」では、専門スタッフによる無料個別相談を承っています。LINEでのお問い合わせもお気軽にどうぞ。

出典元

*1 サウジアラビア政府「Vision 2030公式サイト」

*2 Real Estate General Authority(REGA)「サウジアラビア不動産総局公式サイト」

*3 General Authority for Statistics(サウジアラビア統計庁)公式サイト

*4 International Monetary Fund(IMF)「Saudi Arabia経済概況」

*5 World Bank「Saudi Arabia Overview」

※本記事中の具体的値については[要・運用者確認:数値]として記載している箇所があります。最新の公式情報をもとに運用者が加筆・更新してください。法律・税制情報は制度が変わる可能性があり、最終的な投資判断は必ず専門家にご確認ください。

執筆者

高橋 卓のアバター 高橋 卓 海外不動産のオクマン 代表

2014年:はぐくみカンパニー株式会社、代表取締役に就任
2017年:株式会社純な、代表取締役に就任
2018年:はぐくみカンパニー株式会社を株式譲渡し退任
2023年以降:日本企業の進出コンサルティングと海外不動産メディアの運営に注力(バンコクのベイカリーショップ、小麦の王国立ち上げ等)

現在バンコク在住。海外不動産投資のことならお気軽にご相談ください。

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