【最新版】マレーシアへの不動産投資の市況を徹底解説|日本人が知るべき最新動向とは

マレーシアの不動産市場は、過去10年以上にわたる継続的な価格上昇と高水準の賃貸利回りを背景に、日本人投資家からも熱い視線を集めてきました。
本記事では、2025年時点の最新データをもとに、マレーシア不動産がなぜ「有望」なのかを「経済環境」「人口動態」「主要都市の市況」など多角的な視点から解説します。
安定成長を支える堅実な経済基盤と投資環境
マレーシアは2025年時点で実質GDP成長率4.5~5.5%と予測され、インフレ率は1.8%程度に抑制される見通しです。2024年の実質GDP成長率は5.1%と大きく加速し、国内経済の堅調さを示しています。世界的なインフレ動向の中でも堅実な金融政策が功を奏し、内需と輸出のバランスを取りながら着実に成長しています。
政府が掲げる「先進国入り」に向けた「Shared Prosperity Vision 2030」では、製造業の高度化やデジタルサービス分野の育成を重視しており、それに伴うオフィス需要や住宅需要が喚起され、不動産市場も安定的な拡大を見せるでしょう。
また、英語が通用し、外国企業の参入障壁が比較的低い法制度が整備されている点もビジネス面での「魅力」です。実際、多国籍企業の地域本部や工場が集積し、直接投資残高は2024年末時点で過去最高水準を更新。日本企業の進出も増え続けており、日系金融機関やIT企業、製造業の拠点としても注目度が高まっています。経済の安定成長は不動産市況の下支え要因となり、賃貸需要や物件価格の継続的な上昇に寄与しているのです。
下記グラフは2024年時点のGDP推移を示すイメージです。

人口動態と外国資本誘致策がもたらす長期的なチャンス
マレーシアの人口は2025年時点で約3500万人に達すると見られ、年1%弱のペースで増加しています。特に15~64歳の生産年齢人口が全体の約68%を占めるなど、若い労働力が豊富です。この「若年人口ボーナス」が内需拡大につながり、住宅購入需要も支えています。
また、政府は「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)」や長期投資家向けのビザ優遇など外国人資本を呼び込む施策を積極化しています。2023年12月に新しい申請基準が発表され、「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」の3つのカテゴリーが導入されました。プラチナは500万リンギット(約1億6000万円)、ゴールドは200万リンギット(約640万円)、シルバーは10万リンギット(約1600万円)の預金が必要で、2025年3月までに新制度下で782件のパスが承認されています。
中華圏や中東、欧州からの投資家が増加傾向にあり、近年は富裕層だけでなく幅広い層が不動産取得を検討するようになり、投資物件の需要も多様化が進んでいます。
下記表に人口やビザ施策等の要点をまとめました。
指標 | 数値 | 施策例 |
---|---|---|
総人口(2025年時点 予測) | 35,000,000人 | MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)の新カテゴリー導入により、 プラチナ:500万リンギット(約1億6000万円) ゴールド:200万リンギット(約640万円) シルバー:10万リンギット(約1600万円) |
年人口増加率 | 約1.0% | 外国投資家向けビザ優遇策強化により、 中華圏・中東などからの投資が増加 |
15~64歳割合 | 約68% | 若年労働力により国内需要拡大 (例:賃貸需要、住宅購入需要の増加) |
外国資本誘致策 | ― | ビザ優遇以外にも、 外国人が不動産を取得しやすい法整備(州ごとの最低価格設定など)を定期的に見直し |
押さえておきたい主要都市の不動産事情:クアラルンプールとジョホールバルの最新動向
クアラルンプール:国際ビジネスハブとしての存在感
首都クアラルンプール(KL)は、マレーシアの政治・経済・金融の中心地として発展してきました。KL市内の住宅価格は2010年代に年平均6~8%のペースで上昇し、2024年~2025年も年4%前後のマイルドな上昇が予測されています。特に中心部の高級コンドミニアムは海外駐在員や経営者層の需要が根強く、エリアによって平均賃貸利回りは3.0~5.14%と幅があります。
ローンを活用すれば自己資金を抑えて安定収益を狙えるケースも多いでしょう。ただし、過去に供給過剰と指摘された一部エリアでは空室率が高めです。投資家は物件の立地や開発元の信頼性、建物管理の体制などを慎重に見極める必要があります。

ジョホールバル:シンガポールとの連携が生む高いポテンシャル
マレー半島南端のジョホールバル(JB)は、シンガポールに隣接する地の利を活かした国際ビジネス環境を有しています。特に大規模開発計画「イスカンダル・マレーシア」により、工業団地や商業施設、テーマパーク、大学などが整備され、人口増加と経済活性化が同時に進行中です。供給過多が懸念された高層コンドミニアム市場も2023年以降は供給ペースが落ち着き、未販売在庫が徐々に吸収され始めています。
さらに、2025年に「ジョホール・シンガポール経済特区(JS-SEZ)」の導入が予定されており、両国間の経済連携がさらに強化される見込みです。シンガポールとの往来がスムーズになれば、JBでの生活コストの低さに魅力を感じるシンガポール人や国際ビジネスマンが増える可能性もあり、中長期的に賃貸需要が高まる「有望」エリアと言えるでしょう。
最新データで読み解く価格推移と賃貸需要の実態
リーマンショック後の2010年頃から2020年代前半にかけ、マレーシア住宅価格指数(MHPI)は年平均5~7%のペースで上昇してきました。GDP成長や個人所得の上昇、住宅ローン金利の低下が主因となり、都市圏での再開発プロジェクトがこれを一段と加速させました。
2020年以降、パンデミックの影響で一時的な取引停滞や価格調整が見られましたが、政府の補助策(印紙税免除など)も奏功して下支えされ、2024年の不動産取引額はRM2174.6億(約6.9兆円)と過去最高を更新。2025年も1,800億リンギ(約6兆1,200億円)と引き続き高水準を維持する見通しです。
注目すべきは、上昇率がかつてのような「二桁台」ではなく、安定成長軌道と呼べる水準に落ち着いている点です。過剰投機を防ぐ規制が効果を上げているとも言えます。
マレーシア住宅価格指数の推移を示す参考グラフです。2020年以降も堅調な上昇が続いていることがわかります。

マレーシア不動産を数字で比較:近隣諸国との相対評価
東南アジア各国と比べると、マレーシアの不動産価格はシンガポールや香港よりも格段に安く、かつ英語環境が整備されている点で外国人投資家にとって参入しやすい市場です。タイやフィリピンも高利回りが期待されますが、政情リスクや地震・台風などの自然災害リスクを懸念する投資家もいます。マレーシアは政治面・災害リスク面とも比較的安定しており、法整備やインフラ水準でもASEANトップクラスと評価されています。
さらに、外国人向け優遇策が定期的にアップデートされるため、オーナーシップや税制面でも柔軟性が高いといえます。こうした「投資のしやすさ」もまた、マレーシア不動産を選ぶ理由のひとつです。
下記表で近隣諸国との不動産価格や利回りを比較すると、マレーシアが依然として魅力的な投資先であることが見えてきます。
国・地域 | 平均不動産価格 (都心部 ㎡単価) | 表面利回り | 投資規制の有無 |
---|---|---|---|
マレーシア | 約180,000円 | 4~5% | 州ごとに最低価格設定あり。 条件を満たせば外国人でも区分所有や一部の一戸建て可 |
シンガポール | 約1,500,000円 | 3~4% | 高額追加印紙税(ABSD)が課される。 一戸建て購入は基本的に不可 |
タイ | 約350,000円 | 5~6% | 外国人はコンドミニアム所有が中心。 土地所有は不可(リース等で対応) |
フィリピン | 約250,000円 | 5~7% | 外国人は区分所有のみ可。 戸建てや土地は法人設立が必要 |
ベトナム | 約250,000円 | 4~6% | 現地での不動産購入枠に上限あり。 長期リース契約での投資が一般的 |
市場過熱の可能性は?最新データから検証するリスクと回避策
過去10年超の価格上昇を受け、「バブル」を懸念する声もないわけではありません。しかし、政府や中央銀行が投機抑制のためのクールダウン策を度々講じてきたこと、2020年代前半のパンデミック期に市場が調整を経験したことなどから、大幅な暴落リスクは低いとの見方が一般的です。
ただし、特定エリアやセグメントで供給過剰が続く可能性はあり、マレーシア不動産情報センターが公開しているデータによれば、一部の地域では「オーバーハングユニット」と呼ばれる売れ残り物件の数が把握できます。投資家は慎重に物件選択を行う必要があります。
また、為替リスクにも留意が必要です。日本円とマレーシアリンギットのレートはここ数年不安定な動きを見せており、投資時期や保有期間中の為替変動がキャピタルゲインに影響する点を理解しておきましょう。
今後の展開を予測:人口動態・経済指標が示すマレーシアの未来像
マレーシアは東南アジアの成長ドライバーとして、製造業とサービス業のハイブリッド型発展を志向しています。デジタル経済へのシフトが進むなかで外資系IT企業の誘致にも成功し、クアラルンプール周辺にはデータセンター関連の投資が集積。その結果、専門人材や駐在員の増加による高所得層の増加が見込まれます。
人口構造的にも30代以下の若年層が増加傾向で、中長期的には住宅需要や商業施設需要が膨らむと考えられます。政府はインフラ整備にも注力しており、MRTやLRTなど都市交通の拡充や高速道路網の開発が続行中です。これらのインフラが整えば、今まで開発の遅れていた周辺地域が新たな投資候補エリアとして注目を集めるでしょう。